【依頼者側】店舗の内装工事費用の勘定科目は何が適切?開業やリフォームで損をしない計上方法とは。

工事費用の勘定科目 建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

店舗の内装工事をした場合、勘定科目はどのように仕訳したらいいか悩まれている方も多いのではと思います。店舗の内装工事の会計処理は頻繁にあることでは無いため、ご自身で処理されている方には頭の痛いところですよね。

実は店舗の内装工事の勘定科目はそれほど多くありません。コツを押さえておけば、ご自身でも勘定科目の仕訳は可能です。また、内装工事は節税にも有効的です!この記事で勘定科目を把握し、経費を削減してみましょう。

工事に付随したデザイン設計費用の仕訳方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。内装解体工事とセットで形状が必要な場合もありますので、ぜひ合わせてご参照ください。

店舗の内装工事で使う勘定科目

具体的に店舗の内装工事で使う勘定科目を紹介します。主に使う勘定科目は4種類です。ここで注意していのが「建物」と「建物付属設備」の違いです。この科目はいちばん迷いやすいですが、メインで使うのは「建物付属設備」と覚えておくといいでしょう。

①建物

建物

「建物」として計上するのは、物件が新築であることが条件です。そのため内装工事で「建物」を勘定科目として利用することは少ないでしょう。この科目で想定される内装工事には以下が挙げられます。

  • 木工工事
  • ガラス工事
  • 防水工事

②建物付属設備

建物付属設備

建物付属設備は多くの方が迷う勘定科目です。備品と迷う方もいらっしゃいますが、自動で機械が動かしてくれるものが「建物付属設備」という認識にしておくと仕訳しやすいと思います。具体的なものは以下の通りです。

  • 電気設備
  • 冷暖房設備
  • ガス設備
  • 自動開閉設備

それぞれ簡単に解説いたします。

電気設備

電気設備は、電気を使うための配線工事や照明設置工事などが該当します。

冷暖房設備

冷暖房設備は店舗に設置するエアコン工事が該当し、その金額が20万円以上であることが条件です。また冷房・暖房ともに正常に動くことも求められています。

ガス設備

とくに飲食店に該当する内装工事で、ガス設備の設置やガス配線、元栓などの工事が該当します。

自動開閉設備

自動開閉設備と聞くとピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。この費用に該当するのは自動ドアです。内装工事と同時に自動ドアを設置する場合は「建物付属設備」として計上できます。

③諸経費

諸経費

諸経費には下記のものが該当します。諸経費の内容は明確に提示されていないことも多いため、詳細は専門家に確認する方がいいでしょう。

  • 立替費用
  • 人件費
  • 官公庁手続き

④備品

勘定科目:備品

「建物付属設備」と間違いやすい「備品」ですが、機械が自動で動かない設備が該当すると覚えておくといいでしょう。具体的には下記などが挙げられます。

  • 家具
  • 複合機
  • 消耗品

備品は店舗に必要なもの、かつ20万円以上のものが経費として計上可能です。10~20万円未満のものは、一括償却資産勘定として計上してください。

内装工事の勘定科目を仕分ける際のポイント

内装設計の勘定科目を仕分ける際のポイント

なかなか複雑な勘定科目の仕訳ですが、ポイントは「建物付属設備」から片付けること。この科目がいちばん迷う部分なので、初めに仕訳しておくと後が楽になります。また、勘定科目を楽に仕分けるためには、工事内訳書を発行してもらうのもおすすめです。請求書だけでは細かい仕訳ができないこともあるので、工事内訳書を使って正しく仕訳しましょう。

店舗の内装工事は節税対策に使える!

冒頭にも触れたように、店舗の内装工事は節税対策として使えます。そのポイントは固定資産です。固定資産は耐用年数に応じ、減価償却として勘定科目に計上できます。減価償却は数年にわたって経費に計上できるため、結果として節税につながります。

減価償却とは

減価償却とは、高額な固定資産を数年かけて経費に計上していくことです。固定資産に分類されるものはさまざまですが、店舗の内装工事も固定資産にあたるため、減価償却として計上できます。減価償却のポイントは、分割して経費に計上すること。支払ったときに計上するわけではないため、毎年控除として受けられます。

減価償却の仕組み

毎年2月~3月にかけて確定申告を行いますが、固定資産は高額なものは購入年度に全額経費として計上できません。そのとき救世主となるのが減価償却です。高額な固定資産は耐用年数に応じ、少しずつ経費として計上していきます。店舗の内装工事は初期投資が高額になるため、減価償却をうまく使って節税につなげられます。

減価償却の対象になるもの

減価償却の対象になるものは、高額かつ長年にわたって利用できるものに限ります。具体的には、20万円以上の固定資産(内装工事費や設備など)は減価償却の対象です。細かい詳細は後ほど詳しく説明します。

減価償却の耐用年数をおさえる

減価償却として経費に計上するためには、耐用年数を把握しておかなければいけません。例えば個人事業主で白色申告者の場合、10~20万未満の固定資産は3年で計上します。また計上する勘定科目によっても耐用年数は変わります。

「建物」を計上する場合

店舗の内装工事で利用することは少ないですが「建物」として計上する場合は、10~50年と使用できる期間も長いのが特徴。これは木造か鉄筋造によって耐用年数が異なります。

「建物付属設備」を計上する場合

いちばん勘定科目で苦労するのが「建物付属設備」ですが、こちらに該当するものは耐用年数が15年です。いずれにせよ、毎年均等に経費として計上する必要があることは覚えておきましょう。

費用を抑えるためには減価償却のポイントを理解することが大切です。こちらの記事では節税ポイントの減価償却についてさらに詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

勘定科目を理解し、一つずつ仕訳していきましょう!

勘定科目を理解し、一つずつ仕訳していきましょう!

内装工事の勘定科目は、科目数は少なくても仕訳が思いのほか大変です。それぞれの勘定科目を理解し仕訳していきましょう。また冒頭でも述べたように、高額な固定資産は減価償却として計上可能です。毎年、少しずつ経費として計上することで控除になりますので、節税対策として利用してみてください。

坪単価や施工費など店舗設計の費用区分に関しましてはこちらの記事でも詳しく解説しています。仕分けを行うタイミングで、かかった費用やコストを見直しておきましょう。ぜひこちらも合わせてご参照ください。