設計図面の種類と役割|店舗デザイン会社が基本設計図・実施設計図・施工図の違いを解説します

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建築設計デザインの基礎知識
「店舗を一から作りたいと考えているけど、設計図の内容がわからない」
「基本設計図・実施設計図・施工図の違いを詳しく知りたい」

このように、店舗や家を一から造りたいと考えているけど、設計図について理解できていない方は、多いのではないでしょうか。この記事では、店舗や家を造る際に関わる設計図面(基本設計図・実施設計図・施工図)の違いについて詳しく解説していきます。

店舗や家を一から造るとなると、欠かせないのが設計図面。設計図面に沿って店舗・家造りをおこなうため、設計図面に抜けや漏れがあると、理想の店舗や家にならない可能性があります。

設計図面を理解しておくと、設計図の抜けや漏れを防ぐことができるでしょう。店舗や家造りで失敗しないためにも、この記事をチェックしてみてください!

建築図面とは?

建築図面とは

建築図面とは、店舗や家を造る際の根幹となる図面。建築図面を建築主や設計者、施工業者と共有することで、店舗や家を建てることができます。建築図面は、建築主と設計者が話し合いをして、建築士の資格を保有している者が設計します。

ここで、設計者だけに任せきりにしていると、思い描いていた店舗や家にならない可能性があるでしょう。建築主は大まかな設計図を理解しておくと、抜けや漏れを防ぐことができます。また、建築図面は目的に応じて、基本設計図と実施設計図、施工図の3種類に分類されます。それぞれを、理解しておくと施工までがスムーズに進むでしょう。

基本設計図面とは?

基本設計図面とは

基本設計図面は、設計者でなくとも目にすることの多い、間取りや構造、材料、設備などの建物の根幹部分を図面化したものになります。建築主と設計者が話し合い、どのような建物にするかを決める重要な工程です。

建物を建てるときに考慮しなければならない、建築基準法や都市計画法などの規制に沿う必要があるので、建築主の要望が全て通るわけではありません。基本設計図面の話し合いでは、建物の使用用途や規模、耐用年数、仕様、敷地の立地条件、地盤の状態、建築基準法・都市計画法の制約、収支計画、近隣環境などを主に取り上げます。

設計者は、建築主にわかりやすく説明してくれますが、事前に建築主が建築図面の知識を持ち合わせていると、スムーズに話し合いが進むでしょう。基本設計図面が決まると、実施設計図や施工図の作成に進みます。

実施設計図とは?

実施設計図とは

実施設計図は、建設会社に工事の依頼をするために必要となる設計図です。実施設計図に沿って建設会社が店舗や家を建てることになります。実施設計図は主に「意匠図」「構造図」「設備図」の3種類に分かれます。またさらに、その3種類から細分化されます。

意匠図の種類

意匠図は、建物の全体構成や間取り、デザイン、仕様などを取り上げます。主に8種類から構成されます。

・平面図

建物の中を上から見下ろした際に、どのようになるのかを表した図面になります。賃貸などの物件を探す際に見る、間取り図をイメージするといいでしょう。間取りや建具の種類・位置、開口部や雨戸の位置、壁の種類や位置などを明示します。

・断面図

断面図は、建物の中を横から見た時の図面になります。高さの最高点や天井、各階の高さ、地盤面の高さ、床の高さ、基礎深さなどを明記するのが一般的です。

・立面図

建物の外観を表すのが立面図です。全方向から見た時の外観の屋根や外壁、開口部などの位置や形を明記します。

・矩計図

指定された位置の横から見た際の図面が矩計図です。床や柱、屋根、壁などの高さや種類、仕様などを明記します。

・天井伏図

各階の天井の形状やデザイン、照明の位置、寸法、材料などを明記するのが天井伏図です。

・展開図

展開図は、各部屋の内部を4方向から見た図面になります。部屋の壁の形状や寸法、材料などを明記します。

・平面詳細図

平面から見た時の構造躯体、仕様、寸法関係を詳細を明記した図面です。

・配置図

敷地と建物、道路が関わる図面が配置図です。敷地の形状や敷地と建物の位置関係、敷地内外の高低差と方位、道路との関係などが明記されます。

構造図の種類

構造図は、建物の安全性に関わる構造部材を明記します。柱や梁などが建物の主要部分が該当します。

・床梁伏図

建物の各階の床を上から見た際に、床に接している柱や梁などの構造材の寸法や位置、仕様などを平面図で明記します。荷重に耐えるのに必要とされる構造体の明記も必須となっています。

・軸組図

建物の構造体を横から見たどうなるかを表した図面が軸組図です。躯体の高さや方向の内容、土台や梁、柱、小屋束、母屋、継ぎ手などの寸法や材料を明記します。

設備図の種類

水道管やガス管、コンセント配線、照明配線などのインフラにまつわる図面が設備図です。各設備の位置や数を明記します。

・電気設備図

別名配線図とも呼ばれるのが電気設備図です。分電盤から各部屋に配線される経路やコンセント、照明、換気扇、電話線、エアコンなどの電気に関わる設備の位置が明記されます。

・空調換気設備図

室外機やエアコン、換気扇などを明記した図面が空調換気設備図です。室外機とエアコンの配管や換気扇の位置、換気効率などを明記します。

・給排水衛生設備図

上下水道の給排水設備の配管経路や材質、蛇口の位置、トイレの位置などが明記されます。飲食店などを開業する場合は、特に重要となる図面でしょう。

施工図とは?

施工図とは

施工図は、建物の構造や細部の作りを網羅した図面です。施工業者が施工図を確認しながら施工するため、建物の形状や寸法、使用部材が細かく記載されます。施工図は主に3種類に分類されます。

平面詳細図

内装の仕上げ部分に大きく関わるのが平面詳細です。意匠図の平面図を拡大して書く図面です。建具や壁厚、躯体などの寸法が細かく明記されます。

フローリングの方向や屋内の高さなどを断面の状況を考慮しながら、詳細に記載します。平面詳細図に誤差があると、建物内部が完成しません。

躯体図

建物の根幹となる構造部分に関わるのが躯体図です。構造図と平面詳細図を基に作られ、躯体図を見ながら、建物の柱、壁、梁、床、天井、屋根、階段などの骨組みを作る躯体工事を進めます。

コンクリートの打設位置や寸法、コンクリートの断面寸法、通り芯、壁芯などが明記されるのが特徴です。躯体図に誤差があると、倒壊しやすい建物になってしまいます。

総合図

設備図と平面詳細図から作成されるのが総合図です。電気設備、空調設備、衛生設備などの各設備機器の情報が明記されます。建築の情報だけでなく、設備情報も入ってくるため総合図と呼ばれています。総合図に誤差があると、設備関係が動作しない事態に陥る可能性があるでしょう。

まとめ

設計図面の違い

この記事では、店舗や家を造る際に関わる設計図面(基本設計図・実施設計図・施工図)の違いについて詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。

  • 建築図面は、建築主と設計者が話し合いをして、建築士の資格を保有している者が設計する
  • 実施設計図は、建設会社に工事の依頼をするために必要となる設計図のこと
  • 実施設計図は主に「意匠図」「構造図」「設備図」の3種類
  • 意匠図は、建物の全体構成や間取り、デザイン、仕様などを取り上げる
  • 構造図は、建物の安全性に関わる構造部材を明記する
  • 水道管やガス管、コンセント配線、照明配線などのインフラにまつわる図面が設備図
  • 施工図は、建物の構造や細部の作りを網羅した図面

設計図面の知識を持ち合わせているのといないのとでは、店舗・家を造る際の期間が変わってきます。理想の店舗・家を実現させるには、設計図面の知識が必要となることがあるでしょう。理想の店舗・家を成功させるためにも、上記のポイントを参考にしてみてください。

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