このように、店舗の開業を考えているオーナーの方で、天井の高さが人に与える影響を知りたいと思っている方は多いのではないでしょうか。この記事では、天井の高さが人に与えるイメージ、最適な天井の高さ、天井高のメリットデメリットを詳しく解説していきます。
店舗の運営で気にしなければならないのが、お客さまが感じる居心地です。居心地の良さ悪さは、集客・売上に直接的な影響を与えます。店舗の居心地に関わってくるひとつの要因が、天井の高さです。店舗の天井の高さによる集客・売上の獲得で苦労しないためにも、この記事を参考にしてみてください。
天井の高さが人に与えるイメージとは?
天井の高さはその空間の居心地に大きな影響を与えます。天井の高さが人に与える心理的影響をカテドラル効果と言います。天井の高い場合と天井の低い場合で、カテドラル効果がどのように居心地へ影響するかを詳しくみていきましょう。
天井が高い場合
人に抽象的・創造的な思考を生み出させるのが、高い天井です。会話を楽しんだり仕事を捗らせる際は、高い天井が向いています。長時間お客さまを滞在させたい場合は、高い天井が最適でしょう。フォーマルな空間が求められる高級店や、静かな空間が求められる店舗は基本的に天井の高い店が多いです。また、天井が高いとデザイン性が増すので、おしゃれな印象を与えやすくなります。
天井が低い場合
天井が低い場合、人は具体的な思考や細かい思考を掘り下げる思考が芽生えます。集中力を必要とする作業は、低い天井が向いているといっていいでしょう。しかし、必要以上の神経を使用してしまうこともあり、居心地が悪いと感じてしまう可能性があるのが、低い天井の特徴です。居心地を悪く感じさせてしまいますが、滞在時間を短くさせる効果があります。低めの天井は回転率を重要視する店舗に向いていると言ってもいいでしょう。
一般的な店舗の天井の高さの平均とは?
飲食店・小売店・美容室などの店舗の天井高の平均は、2500mm〜2600mmほどです。焼肉屋や焼き鳥屋など、焼き物をする店舗の天井高は3000mmを超えことが多いです。多くの人は天井の高さが2700mmを超えてくると、開放感のある空間と感じやすくなります。
しかし、天井は高ければ高いほどいいというわけではありません。天井の高さが3000mmを超えてくると、落ち着かない空間になってしまう可能性もあります。また、天井が高くなるにつれて空調効率が悪くなってしまうので、光熱費が高くなってしまいます。店舗デザインを考える際に、必要な天井の最低限度の高さを考えておきましょう。
天井に関わる法律とは?
建築基準法の内装制限で天井高の最低ラインが定められています。一般的な建物の天井高は、2.1m以上なければなりません。2.1mを下回る天井高は無いと覚えておくといいでしょう。内装制限では、天井高の最低ラインの他にも天井に使用する材料の制限なども定められているので、確認しておきましょう。
参照:日本壁装協会(https://www.wacoa.jp/fire/pdf/naisouseigen20190128.pdf)
【業種別】天井の最適な高さ
天井の最適な高さを「飲食店」「小売店」「美容室」の3つの業種に分けて解説していきます。開業する店舗の参考にしてみてください。
飲食店
高級店やカフェなどの落ち着いた雰囲気が必要なお店は、天井高を高めに設計するとよいでしょう。開放感が生まれ居心地のいい空間を作ることができます。加えて、煙が出る焼肉屋や焼き鳥屋、鉄板焼き屋なども天井高を高くして、煙が充満しないようにすべきです。
一方、回転率が重要なラーメン店やファストフード店などは、あえて天井高を低めに設定する手法も見られます。あえて少し窮屈な空間を作り出すことで、お客さまの滞在率を短くすることができます。飲食店に関しては、お店のコンセプトに合わせて、天井高を決めるのがベストな選択です。
小売店
小売店は、基本的に天井高を高くすべきでしょう。小売店は、お客さまに長居してもらうと購買率が高まります。できるだけお客さまが長居してくれる開放感があり、落ち着ける空間を作ることが大切です。ロードサイドのユニクロなどが良い例ですね。
特にアパレルショップや雑貨店などは天井高を高くすることで、床と天井の空間にディスプレイすることができます。アパレルショップや雑貨店は、おしゃれな空間づくりが求められるので、できるだけ高い天井のテナントを選ぶといいでしょう。
美容室
美容室が求めらるのもは落ち着いた静かな空間。美容室も小売店と同じく高い天井が適しているでしょう。特に美容室は、髪の毛を洗う際にお客さまは天井を見ることになります。
天井が低いと圧迫感を感じ、居心地が悪いと思ってしまうでしょう。一方、高すぎても違和感やぎこちなさを感じてしまうお客さまもいるので、3000mm程度までにするのが最適です。
低い天井を高く見せる方法
そうはいってもテナントによってはどうしても低めの天井となっている造りもあります。低い天井を高く見せる方法は、「内装の色を明るくする」「照明効果を利用する」の2つです。内装の色では、店舗全体を明るい色(白やクリーム、パステルカラー)などでまとめるといいでしょう。
天井以外の内装を落ち着いた色にした場合は、天井を明るい色(白など)にして、内装の色を寒色系でまとめるといいでしょう。天井と天井以外の内装の色でコントラストが生まれ、天井高が高く見えるようになります。
照明効果では、シャンデリアやペンダントライトなどを使用するといいでしょう。上部から光がでる照明を使用することで、天井全体に光が行き渡り、低い天井が高く見るようになります。光の方向を意識しながら間接照明などを取り入れると、よりいいでしょう。
天井の低さをメリットに変えるには
窓の外に庭などの風景が広がっている場合は、天井の低さを有効活用することができます。窓の外の風景に意識を向ける店舗デザインにすることで、開放感のある魅力的な空間を作り出すことができるでしょう。
狭い空間から広い空間を見ることになるので、人は錯覚します。錯覚を利用することで、特別な空間を作ることができ、他店舗との差別化を図ることができます。
まとめ
この記事では、天井の高さが人に与えるイメージから最適な天井の高さを業種別に紹介、低い天井がメリットに変わる時などを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 天井の高さが人に与える心理的影響をカテドラル効果と言う
- 開放感のある高い天井は、長時間お客さまを滞在させたい場合に最適
- 窮屈感がある低い天井は、お客さまの滞在時間を短くさせた場合に最適
- 店舗の天井高の平均は、2500mm〜2600mmほど
- 天井が高すぎると空調効率が悪くなり光熱費が上がる
- 高級店やカフェなどは高い天井が最適
- ラーメン店やファストフード店は低い天井が最適
- アパレルショップや雑貨店はできるだけ高い天井のテナントを選ぶべき
- 店舗の内装を明るい色でまとめると天井を高く見せることができる
- 天井全体に光が行き渡る照明効果を利用すると天井を高く見せることができる
天井の高さがお客さまに与える心理的影響は大きいです。開業する店舗の業種によって、最適な天井高を見極めるべきでしょう。店舗の天井高で失敗しないためにも、上記のポイントを参考にしてみてください。
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