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廻り縁(まわりぶち)とは?種類と役割を店舗デザインの観点から解説します。

建築設計業界の用語解説
建築設計業界の用語解説
「店舗の内装を考えるさいにまわりぶちってでてきたけど、なんなんだろう?」
「店舗デザインに廻り縁が必要なのかを知りたい」

このように、店舗デザインを考える中で「まわりぶち」という言葉を聞いたことがあるけど、よく理解できていないオーナーの方は、多いのではないでしょうか。

この記事では、店舗デザインに関わる廻り縁の役割から種類までを詳しく解説していきます。廻り縁は店舗や家の内装デザインに携わったことがないと聞き慣れない言葉でしょう。廻り縁は場合によって内装デザインに欠かせない部材になります。

しかし、なにも考えずに廻り縁を取り付けてしまうと、店舗デザインの失敗を招いてしまう可能性が。廻り縁で店舗デザインの失敗をしないためにも、この記事をチェックしてみてください。

廻り縁(まわりぶち)とはなにか?

廻り縁(まわりぶち)とは

廻り縁は、天井と壁の境目に設置する部材のことを指します。天井と壁の境目にある出っ張りをイメージするとわかりやすいでしょう。形状や色、サイズはさまざまで種類が豊富なのも廻り縁の特徴です。

廻り縁(まわりぶち)の役割とは?

廻り縁(まわりぶち)の役割とは

天井と壁の境目は凹凸しやすいので、きれいな一直線にするのが難しい特徴があります。廻り縁を取り付けることにより、手軽に天井と壁の境目をきれいに見せられるというわけです。昔は多くの店舗や住宅に廻り縁が取り付けられていましたが、最近では取り付けない店舗や家も増えてきています。

廻り縁(まわりぶち)のメリットは主に2つ

廻り縁を取り付けるメリットは以下2つが挙げられます。

  • すき間を隠せる
  • 内装のデザインをよく見せられる

上記2つそれぞれのメリットを詳しくみていきましょう。

すき間を隠せる

廻り縁を取り付ける最大のメリットは、天井と壁のスキマを隠せることです。天井の仕上げでは、部屋の中央部分から端に向けてクロスを貼っていきます。

クロスを最後に端部分で切るさいにどうしても壁との境目に隙間ができてしまうので、スキマを埋める目的で廻り縁を取り付けます。

また、店舗ができあがった当初はスキマがなかったとしても、クロスの経年劣化でクロスが収縮してしまい、壁とのつなぎ目にスキマができることもよくある例です。クロスの経年劣化を見越したうえで、廻り縁を取り付けるのも一つの手段でしょう。

内装のデザインをよく見せられる

廻り縁を取り付けることで、高級感を出すことができます。たとえば、廻り縁を落ち着いた色の無垢材にすると、廻り縁が上品な空間を作り出してくれるでしょう。

また、壁の色とメリハリをつけることで、ヴィンテージ感のある空間も作りだすことができます。加えて、廻り縁はシンプルなものから曲線的なデザイン、太さをさまざまありバリエーションに富んでいます。太い廻り縁を使用すると存在感が出て、より高級感のある雰囲気を出すことができるでしょう。

廻り縁(まわりぶち)のデメリット

廻り縁を取り付けるデメリットは以下2つです。

  • 内装のスッキリ感・開放感がなくなる
  • 廻り縁を含めた内装デザインを考える必要がある

廻り縁を取り付けると天井と壁の間に線が増えるため、見た目での内装のスッキリ感がなくなってしまいます。店舗内装に開放感や見た目のスッキリ感を重要視しているのであれば向かないでしょう。また、廻り縁自体にデザイン要素があるので、廻り縁を含めた内装デザインを考えなければなりません。廻り縁

以外の内装の素材に合わせて廻り縁の素材を選ぶと、費用が余計にかかってしまう可能性があります。一方、廻り縁のデザインを考慮しないで内装デザインを作ってしまうと店舗の印象が変わってしまうので注意が必要です。

廻り縁(まわりぶち)の形状は主に2つ

廻り縁(まわりぶち)の形状

天井と壁のスキマにただ貼ってあるだけのように思われる廻り縁ですが、廻り縁にも以下の2種類の形状があります。

  • コ型廻り縁
  • 十手廻り縁

上記2つそれぞれの特徴は以下です。

・コ型廻り縁
カタカナの「コ」の字に似ている形状をしている廻り縁で、コ型の面の部分を壁にぶつけて納めます。廻り縁の納まりがオーソドックスなため、店舗や住宅などでよく使用されるまわりぶちがコ型廻り縁です。
・十手廻り縁
形状が時代劇にでてきる十手(棒のようなもの)に似ていることから名付けられたのが十手廻り縁です。別名で目隠しタイプと呼ばれることもあります。十手廻り縁は壁仕上げ材と天井仕上げ材との間が奥まって見える特徴があるため、コ型廻り縁と比べて仕上がりが美しく見えます。
コ型廻り縁と十手廻り縁のどちらがいい悪いはありませんが、内装の雰囲気を綺麗にしたい店舗には十手廻り縁が向いている形状といえるでしょう。

廻り縁(まわりぶち)の種類

廻り縁(まわりぶち)の種類

よく使用される廻り縁の種類は以下3つです。

  • 木製の廻り縁
  • 金属の廻り縁
  • 塩化樹脂の廻り縁

上記3つの種類それぞれの特徴を押さえて、どれを取り付けるか考えてみてください。

木製のまわりぶち

天然の木材が持つ木目や質感が、落ち着いた雰囲気を作り出してくれるのが木製の廻り縁です。木製のまわりぶちでも無垢材や集成材など種類が豊富で、バリエーションに富んでいます。

無垢材の廻り縁だと色の変化などの経年変化を楽しむことができのもポイントです。おしゃれな雰囲気を出したい店舗に向いているでしょう。

金属の廻り縁

ツヤのある光沢感が特徴的な金属の廻り縁は、高級感のある空間を作りたい店舗に最適です。金属の廻り縁はアルミやステンレスが一般的です。

金属の廻り縁がお客さまの目を引くこと間違いないでしょう。しかし、塩ビなどと比べて高価であり他の内装デザインと上手く組み合わせないと廻り縁だけが浮いてしまうで注意が必要です。

塩化樹脂の廻り縁

一般的な店舗や住宅などで使用されているのが塩化樹脂の廻り縁です。白色で細めなシンプルなデザインであることが多いです。

塩化樹脂は木製や金属よりもやわらかいため、曲げられる廻り縁を取り入れれば、曲線の天井と壁のスキマにフィットする可能性が高いでしょう。また、木製よりも火に強く環境にやさしいので、現在では一番注目されている素材です。

まとめ

店舗デザインに関わる廻り縁の役割

この記事では、店舗デザインに関わる廻り縁の役割から種類までを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。

  • 廻り縁は、天井と壁の境目に設置する部材のこと
  • 廻り縁を取り付けると手軽に天井と壁の境目をきれいに見せられる廻り縁を取り付ける最大のメリットは、天井と壁のスキマを隠せること
  • クロスの経年劣化を見越したうえで、廻り縁を取り付けるのも一つの手段
  • 廻り縁を取り付けると天井と壁の間に線が増えるため、見た目での内装のスッキリ感がなくなる
  • 廻り縁を含めた内装デザインを考える必要がある
  • コ型廻り縁は廻り縁の納まりがオーソドックスなため、店舗や住宅などでよく使用される
  • 十手廻り縁はコ型廻り縁と比べて仕上がりが美しく見える
  • 一般的な店舗や住宅などで使用されているのが塩化樹脂の廻り縁
  • 高級感を出すには廻り縁を木製か金属製にする

廻り縁は店舗の内装の雰囲気を大きく左右する部分といっても過言ではないでしょう。上記のポイントを参考にし、廻り縁を上手く活用して理想の店舗づくりを目指しましょう。