【店舗オーナー必見】配電盤・分電盤・制御盤・動力盤の違いをわかりやすく解説します。店舗開業で知っておきたい電気知識!

建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

これから店舗オーナーになるにあたって、覚えておくと便利なのが「電気知識」。電気の知識の中でも、店舗内にはさまざまな電気に関する盤があり、それぞれに意味を知っておくと、トラブルが起きた際に早急に対処できます。

本記事では、配電盤・分電盤・制御盤・動力盤の違いを分かりやすく解説します。本記事を参考にして、店舗開業の前の知識を深めておきましょう。

電気や建築に関する基礎用語に関しては、こちらの記事カテゴリで解説しています。店舗オーナーになる前に、覚えておくと便利な基礎知識をまとめていますので、ぜひ合わせてご参照ください。

電気知識を身に付けておく必要性

私たちの身のまわりには、たくさんの電気設備があります。照明やコンセントなど、なくてはならないものばかりで、生活するにあたって必要不可欠な存在となっています。

しかし、そんな身近な存在でも、意外に知らないのは電気の知識です。電気の知識がなければ、ブレーカーが落ちたり(トリップ)、漏電したりした際に、早急な対処ができません。また、店舗オーナーであれば、なおさら電気知識を付ける必要があります。

店舗の場合、もし停電などのトラブルが起きた際、復旧まではサービスを提供できないため、売上低下につながるリスクがあります。そのために、店舗開業前までに必要最低限の電気知識を身に付けておきましょう。

配電盤・制御盤・分電盤・動力盤の役割や見分け方

工事区分

店舗の中には、当たり前のように設置されているさまざまな電気の盤があります。それぞれ名前が異なり用途も変わってきます。ここでは、配電盤・分電盤・制御盤・動力盤の役割や見分け方について解説していきます。

  • 配電盤(発電所から店舗内に送られてくる電気を受ける盤)
  • 制御盤(機械や設備をコントロールするための盤)
  • 分電盤(各電気設備に電気を供給するための盤)
  • 動力盤(分電盤の一種、容量が大きな動力設備に電気を供給する)

今回は、大きく4つの電気に関係する盤を詳しく紹介していきます。これから店舗開業を行う方は、それぞれの役割を理解しておきましょう。

配電盤

配電盤は、発電所から店舗内に送られてくる電気を受ける盤です。受変電設備とも呼ばれ、金属製の箱型に入っている「キュービクル式」と、フレームパイプで組まれている「オープンフレーム式」に分けられます。

古い店舗や建築物には、オープンフレーム式が使われていましたが、現在は安全性が高く容易に触れれないキュービクル式が主流となっています。よく「分電盤」と間違われますが、役割や見た目は全く異なるため、次の項目で詳しく見ていきましょう。

配電盤の役割

配電盤には、大きく2つの役割があります。1つは、各分電盤に電気を送る役割で、それぞれに設置されている分電盤へ電気を供給しています。そのため、配電盤にトラブルが起きてしまうと各分電盤に電気が送れないため、電気事業法に基づいた定期点検を行いましょう。

もう1つの役割は、変圧を行う役割です。発電所から送られてきた電気は、6,600Vの高圧のため、そのままでは照明やコンセントなどに使えません。そんな大きな電圧を配電盤内にある「変圧器(トランス)」によって、電圧を100Vや200V(400V)に下げてから各分電盤に供給します。

流れとして、発電所から6,600Vが配電盤に送られ、配電盤で変圧した100Vや200Vを各分電盤に流し、照明やコンセントに使われるイメージです。

配電盤の見分け方

配電盤の見分け方として、一般的に下記のように表記されています。

  • 高圧受電版
  • 高圧配電盤
  • 高圧コンデンサ版

上記の表記は、一例のため地域や施設によっては名称が異なる場合があります。また、「変電設備」や「高圧危険」などと赤色やオレンジ色で目立つように表記がされているのも特徴です。

制御盤

制御盤

制御盤は、さまざまな機械や設備をコントロールするための盤です。制御盤の中には、「シーケンサー」と呼ばれる制御装置が組み込まれており、シーケンサーによって設備や機械を動かしたりできます。

また、シーケンサーが使われている代表的な例として上げられるのが、信号機です。青色・黄色・赤色の光を、自動的に時間を決めて順番に点灯させています。

制御盤の役割

制御盤の主な役割は、店舗内の機械や設備を自動的に制御を行うことです。制御盤での制御を行うと、一定の動きを決められたり、ボタンを押すなどによって動きを制御したりできます。

また、店舗内で身近にある制御回路が組み込まれた機械や設備の一例は、以下の通りです。

  • 空調や吸排気設備、外灯照明など
  • エレベーターやエスカレーターなど
  • 大型冷蔵庫や保冷室など

このように、さまざまな場面で制御盤は重要な役割を担っています。

制御盤の見分け方

制御盤の見分け方は、盤の扉部分に「制御盤」と書かれている場合が多いです。また、中には「端子盤」や何も書かれていないなどの場合もあります。

分電盤

分電盤

分電盤は、私たちの生活の中で1番身近な盤です。分電盤は、「電灯盤」とも呼ばれ、後ほど紹介する「動力盤」も分電盤の1つになります。

電灯盤は、照明やコンセントなどに電気を供給する盤で、単相100と単相200Vが盤の中にあります。よく使われる用途としては、「照明器具」「コンセント」「換気扇」「小型のエアコン」などの電気機器です。

動力盤に関しての説明は、後ほどご紹介していきます。また、家の中にも分電盤はあり、照明やコンセントなどのブレーカーが納められている箱体の物が分電盤です。

分電盤の役割

分電盤は、各電気設備に電気を供給する役割を担っています。配電盤から送られてきた電気を分電盤で受け、それぞれの照明設備や動力設備に供給します。

また、単に電気を分けて送っているのではなく、電気を安全に分配しているのも分電盤の特性です。分電盤には、過度の電流が流れた際や漏電した際、分電盤に内蔵されている「ブレーカー」によって、他の回路への悪影響を抑えたりしています。

それにより、電気の事故を最小限に抑え、安全が守られているのです。そのほかにも、ビルや商業施設であれば、フロアの改修工事やリフォームなどによる停電作業で、そのフロアの分電盤の電気を落とせば、全停電しなくてよいメリットなどもあります。

分電盤の見分け方

分電盤の見分け方は、盤の扉部分に「分電盤」「電灯盤」「動力盤」と記載されています。また、電灯盤の略名として、L-〇〇(Light)と記載されている場合もあるため、覚えておきましょう。動力盤の略名については、後ほど紹介します。〇〇には「エリアの名称」「階数」「用途」などがよく記載されてます。

動力盤

動力盤

動力盤は、分電盤の種類の1つとして分類されており、動力設備に電気を供給する盤です。三相200Vが動力盤の中にあり、動力専用の電気となります。

ちなみに、詳しくは専門知識になるため説明しませんが、電灯盤の単相200Vと動力盤の三相300Vは用途が異なるため、種類の異なる電気として考えておきましょう。また、動力盤が供給する設備の一例は、以下のようなものがあります。

  • 業務用のエアコンや吸排気
  • 厨房などに使われる大型のIHや冷蔵庫
  • エレベーターやエスカレーター
  • 水場で使われるポンプやファンなど
  • 工場などに使われる機械やモーター

動力盤の役割

動力盤の役割は、各動力設備に電気を供給する役割を担っています。基本的な役割は、分電盤と同じように、配電盤から送られてきた電気を分電盤で受け、それぞれ動力設備に供給します。

唯一の違いは、電灯設備とは違い、容量が大きな動力設備に電気を供給している点です。中には、「動力制御盤」という動力回路と制御回路が内蔵されている盤もあります。

動力盤の見分け方

動力盤の見分け方は、盤の扉部分に「動力盤」と記載されています。また、動力盤の略名として、P-〇〇(Power)やM-〇〇(Motor)と記載されている場合もあるため、覚えておきましょう。〇〇には「エリアの名称」「階数」「用途」などがよく記載されてます。

基礎的な電気知識を身に付けて店舗開業しよう

分電盤

電気の知識は、店舗オーナーになる前に覚えておきたい知識の1つです。配電盤・分電盤・制御盤・動力盤の違いや役割を覚えておけば、軽度な電気トラブルを早急に解決できます。

本記事では、配電盤・分電盤・制御盤・動力盤の違いを分かりやすく解説していきました。店舗デザイン設計時によく聞く名称でもあるので、事前に覚えておきましょう。そして、本記事が店舗開業の知識として参考にしていただければ幸いです。

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