このように、飲食店の開業に伴う保健所検査のチェックが通るか不安に思っているオーナーの方は多いのではないでしょうか。この記事では、飲食店開業の保健所検査の合格ポイントを詳しく解説していきます。
飲食店を開業するには、保健所検査を通らなければなりません。保健所の検査は厳しいため、保健所が定めている基準に従う必要があります。保健所の基準を考えずに保健所検査を受けてしまうと、不合格となりオープン予定日にお店を開業できなくなってしまう可能性が。
保健所検査をスムーズに通過するためにも、この記事をチェックしてみてください。私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。
飲食店開業に必要な保健所検査とは?
飲食店を開業するには、保健所から飲食店の営業許可をもらう必要があります。営業許可を得るために必須となるのが、保健所検査です。事前に申請すれば全ての店舗が許可を得られるわけではありません。保健所が定めている検査項目の全てに合格した上で許可を得ることができます。
保健所検査のチェック項目
飲食店の開業に必要な保健所の検査項目は、大きく分けて以下3つです。
- □①食品衛生責任者の配置
- □②建物の衛生面
□店舗のスペース
□壁
□床
□天井
□店内の明るさ
□ゴミ箱の有無
□設備設置の有無 - □③設備の設置の有無
□厨房
□トイレ
□店内の換気
□手洗い場
□食器棚
□更衣室
□害虫やネズミの対策
上記3つの検査項目で、どの点に注意すべきかをこれから詳しく解説していきます。
①食品衛生責任者の配置
食品を取り扱う業態を運営する場合は、食品衛生責任者の配置が義務付けられています。食品衛生責任者になるためには、各自治体の食品衛生協会で6時間以上の講義を受ける必要があります。事前に講習の予定を組んでおけば、スムーズに取得できるでしょう。
場合によっては講習の予約が取れないこともあるので、早めの行動を心がけてください。また、栄養士や調理師などの免許を持っていると、食品衛生責任者の講習が免除となる場合もあります。事前に確認しておきましょう。
②建物の衛生面
建物の衛生面のチェック項目では、店内の内装が主な対象となります。それぞれ、どの部分に焦点を置くか考えてみましょう。
・店舗のスペース
店舗は、営業専用スペースと営業に関係ない場所と完全に分ける必要があります。たとえば、住居兼店舗の場合は、住居スペースと店内を完全に分ける必要があります。店舗の規模によって審査基準は変わりますが、営業専用スペースと関係のないスペースをしっかりと分けるようにしましょう。
・壁
壁で求めらるのが「清潔さ」と「防火対応かどうか」です。掃除がしやすい構造・素材である必要があります。壁の色は明色を使用し、汚れがすぐに分かるようにするといいでしょう。床から1メートル以上の高さまでは、防火効果のある素材の使用が推奨されます。
・床
床も壁同様に「清潔さ」が求められます。掃除がしやすい床にする必要があります。厨房は料理の過程で汚れがつきやすいため、耐水性のある素材を使用し、水捌けが良くなるようにするといいでしょう。
・天井
天井は、壁や床と同様に掃除がしやすいかどうかが審査基準です。また、配管がむき出しになっているかどうかも見られます。配管のむき出しの有無は各自治体の保健所によって異なるので、管轄の保健所に確認しておくといいでしょう。
・店内の明るさ
店内に求められる明るさは、照明によって照らされている場所が100ルクス以上である必要があります。お客様・従業員の安全性を考えた最低限の明るさです。一部分の明るさが100ルクス以上だと意味がないので注意しましょう。また、自然光も重要とされているので、自然光が十分に入る構造にするといいでしょう。
・ゴミ箱の有無
ふた付きのゴミ箱があるかないかもチェックされます。悪臭を防ぐためにも、ゴミ箱はふた付きが必須です。長い期間使用することを想定したゴミ箱を用意しましょう。
③設備設置の有無
保健所検査では、衛生的で安全な設備がちゃんと設置されているかを見られます。どのような設備が必要なのか見てみましょう。
・厨房
厨房に調理設備が全て収まっている必要があります。冷蔵庫や冷凍庫などの厨房設備が厨房から出てしまっていると、審査が通らなくなってしまう可能性があるので注意しましょう。また、冷凍庫には温度計の設置が義務づけられています。
・トイレ
従業員数に応じた数のトイレを設けることが義務付けられています。また、トイレにはネズミや害虫が侵入できないようにする設備を設置する必要があります。基本的にトイレは、従業員用とお客様用や男女で分ける必要がありません。また、衛生面上トイレは厨房から離れた場所に設置する必要があります。各保健所によってトイレの基準が異なることもあるので、事前に確認しましょう。
店内の換気
店内の換気がちゃんとできる構造であるかが重要なポイントとなります。必要に応じて換気装置の設置が必須となっています。特に、調理場は必ず設置しなければなりません。ホールにも設置しておくと安心でしょう。強制換気装置は、シャッター付きのものを設置するようにしてください。
手洗い場
手洗い場は、従業員専用とお客様専用の2種類を用意する必要があります。
調理場には、従業員が手洗い・消毒ができる場所があるかどうかが見られます。食中毒などを起こさないようにするためです。一般的にシンクは2槽で、お湯が出るという条件を課されています。
お客様専用の手洗い場は、トイレに必ず設置しなければなりません。洗面台が付いていると安心でしょう。業態によっては、客席に手洗い場を設けなければならない可能性があるので注意しましょう。また、手で回す蛇口は許可されません。手洗い機は、センサー式かレバーハンドルにしましょう。
・食器棚
食器棚は、戸棚が付いているものと定められています。ホコリや油、害虫などが入り込まないようにするためです。戸棚を外した方が食器類の出し入れが簡単ですが、食器が汚れるなどの衛生面を考えると戸棚が必要になります。
・更衣室
お店の中に従業員が着替える更衣室などのスペースの設置が義務付けられています。厨房の中の更衣室は認められていないので、厨房と更衣室は分ける必要があります。
・害虫やネズミの対策
害虫やネズミの侵入を防ぐ設備の設置が義務付けられています。飲食店の敵はゴキブリやネズミなどの害虫類です。衛生面を徹底する意味でも、害虫やネズミが侵入できないように網戸や換気扇のシャッターが求められます。
まとめ
この記事では、飲食店開業の保健所検査の合格ポイントを詳しく解説してきました。この記事の重要なポイントは以下です。
- 飲食店を開業するには保健所から営業許可を得なければならない
- 食品を取り扱う業態を運営する場合は、食品衛生責任者の配置が義務付けられている
- 食品衛生責任者になるには、各自治体の食品衛生協会で6時間以上の講義を受ける必要がある
- 営業専用スペースと営業に関係ない場所と完全に分ける必要がある
- 建物の壁や床、天井は掃除のしやすい構造か素材かを見られる
- 店内は自然光が入り、100ルクス以上の明るさが求められる
- 冷凍庫には温度計の設置が義務付けられている
- 従業員数に応じた数のトイレを設け、厨房から離れた位置に設置する
- 手洗い場は、従業員用とお客様用の2種類を用意し自動センサーかレバーハンドル式にする
- 食器棚は戸棚を必ずつける
- 網戸や換気扇のシャッターで害虫やネズミの侵入を防ぐ
飲食店の開業に伴う保健所審査のポイントを知っているか知らないかで、事前の対策が大きく変わります。保健所審査をスムーズに通過できるように、上記のポイントを参考にしてみてください。
株式会社TO(ティーオー)は、飲食店の設計を得意とするデザイン設計事務所です。これまで様々な業態の飲食店様のデザインを承って参りました。私たちのデザインしたデザイン事例はこちらのページをご参照ください。