店舗内装工事を行う際、設計事務所や工事業者の方に見積書をもらいます。見積書には専門用語がたくさん使われていて、困っている施主様も多いのでは無いでしょうか。今回は、店舗内装工事の見積書の見方について、知っておくべき用語と項目を簡単に解説します。
また、坪単価や施工費など店舗設計の費用区分に関しましてはこちらの記事でも詳しく解説しています。見積もりに関する理解を深めるためにも、ぜひこちらもご参照ください。
建築関連の見積書の見方
見積書は特にその中身に注目しますが、まずは表紙からチェックしましょう。見積書の表紙には、工事名称、工事場所、工事金額、作成日、施工業者名称、作成者、見積り有効期限、見積り条件などが記載されています。
ここでチェックするポイントは、工事金額に消費税が含まれているかどうかと、見積り有効期限、見積り条件の内容の確認です。工事金額は消費税込みで記載される場合と、消費税の欄が別になっている場合があるので確認しておきましょう。
見積り有効期限は、基本的には作成日から1ヶ月以内となっていること多いです。見積書を受け取って1か月後以降に着工する時は見積り有効期限を過ぎているので、再度見積書を作成してもらう必要があります。
建築関連の見積書に見られる専門用語
養生(ようじょう) | 構造体や建物本体の保護の他、塗装の際の汚れを回避するために保護すること。 |
軽鉄(LGS)・ボード工事 | 亜鉛メッキ鋼鈑の材料で壁や天井を支えるために造作する工事です。 |
軽鉄 | 軽量鉄骨材の略称でLGS(Light Gauge Steel:ライトゲージスチール)と呼ぶこともある。厚さ0.5mm程度の鋼材。 |
プラスターボード | 石膏(せっこう)プラスターという素材を板状に形成し、表面を特殊な紙(ボード用紙)で仕上げた材料。 |
漆喰(しっくい) | 消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とした塗り壁材。消石灰(水酸化カルシウム)とは、石灰石を焼いて水を加えたもの。 |
珪藻土(けいそうど) | 藻類の一種である珪藻(けいそう)の殻の化石よりなる堆積物。珪藻の殻は二酸化ケイ素(SiO2)でできている。 |
はつり工事 | コンクリート部分の工事のことで、コンクリートを切る・穴を開ける・削る作業が含まれる。 |
床上げ工事 | 床下に空間を設けて床を二重にしたフロアを作る工事。 |
その他、これだけは知っておきたい建築工事の基礎知識についての記事をまとめております。是非ご参照ください。
建築関連の見積書の項目
では見積書の項目ですが、一般的な店舗内装工事の見積書の項目の例を以下記載します。
1.仮設工事
2.補修工事
3.防水工事
4.左官工事
5.軽鉄・ボード工事
6.塗装工事
7.木工造作工事
8.給排水工事
9.ガス工事
10.電気・照明工事
11.空調工事
12.クリーニング
13.設計・施工管理費
14.処分費
これらは工事項目ごとに、工事内容(規模、寸法、仕様など)、数量、単価、金額、備考が記載されています。寸法や仕様の記載がないのに金額だけが決められていたり、数量や単価の記載がなく一式という表現で記載されている場合は、工事業者に工事内容の詳細を必ず聞いておきましょう。
建築関連の見積書で知っておくべき項目
ここからは先ほど紹介した見積書の項目についていくつか詳しく解説していきます。
1.仮設工事
仮設工事とは、工事中、作業を安全かつスムーズに行うための工事で、準備段階での作業と設備工事のことをいいます。養生(ようじょう)や足場の設置、仮設電気や仮設水道などが該当します。材料で骨組みを作ったらその上に「プラスタ―ボード」を貼っていきます。
2.補修工事
経年劣化が原因で生じる雨漏りやひび割れを直す細かい作業で建物を守るための工事です。もしくは解体後に、木部分であれば大工、コンクリートの割れなどであれば左官工、塗装のタッチアップは塗装工といった業者が補修することがあります。
3.防水工事
業務用の厨房をつくる場合に、階下に漏水しないように防水層をつくる工事です。水を多く使う店舗などは特に防水工事をしておくことで建物の劣化を防ぎます。
4.左官工事
漆喰、珪藻土で室内の壁を仕上げるときの工事です。具体的には、床や壁にモルタルや漆喰などの材料を塗ったり、吹き付けたりする工事のことを言います。
5.軽鉄(LGS)・ボード工事
LGSと呼ばれる軽量形鋼を使用して天井や壁に貼る石膏ボードなどの下地となる骨組みを造作する工事です。骨組みが立ったら石膏ボード(PB、プラスターボード)を貼ります。こうしてスケルトンから、天井や外周の内壁をつくったり、店内の間仕切り壁を造ります。
6.塗装工事
内装の壁や下地の保護など塗装に関する全ての工事です。塗料の質によって様々な機能を持つものやカラーバリエーションなど、種類によって費用も様々です。
7.木工造作工事
建物内の壁・天井・床・階段、装飾モールやパネルなど、木材を扱う大工工事のことをいいます。壁や天井も先ほど説明した軽鉄(LGS)ではなく木材を使うとこの項目に分類されます。店舗入口枠や家具の取付費、個室パーティションなどが該当します。
8.給排水工事
厨房やトイレ、洗面器への給水、排水のための工事です。飲食店の場合は、はつり工事や床上げ工事が発生するので工事費用が高くなります。
9.ガス工事
厨房機器、給湯器へのガス配管と結び工事です。飲食店だけに必要だと思われがちな工事ですが、給湯器やボイラーを設置する場合に必要になります。
10.電気・照明工事
照明やスイッチ、コンセントの増設、換気扇やエアコンへの電源配線などの工事です。飲食店やオフィスなどコンセントを多く使用する場合は増設する必要があります。
11.空調工事
主にエアコン設置のための工事です。店舗の規模が大きいほど、稼働効率の良い業務用の大型エアコンを導入します。業務用エアコンは天井埋込型、天井吊下げ型など様々なタイプがあります。また、室内だけでなく室外機の取付けも一緒に考える必要があります。
12.クリーニング
全ての工事が完了した後に、店舗全体を綺麗にして引渡しに備えます。
13.設計・施工管理費
工事をする際に、店舗の天井・壁・床の内装デザイン、間仕切りの位置などのレイアウトなど、内装を総合的に設計する費用です。また、内容には現場調査、打合せ、墨だし、現場指示、品質安全管理、現場内清掃等などの管理費用も含まれます。
14.処分費
工事中に発生した廃棄物の処理にかかる費用のことです。廃棄物は正しい方法で処理することが法律で定められています。処分費がきちんと記載されていない場合は必ず業者の方に確認しておきましょう。不法投棄したことが後から分かると、業者側だけでなく工事を依頼した側にも罰則が与えられることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。店舗内装工事の見積書には今回紹介したように多くの項目があります。その中には普段目にすることのない専門用語が多くあります。用語や項目の意味をしっかり理解したうえで見積書の内容を確認しましょう。
私たちTOは店舗の事業計画書の作成や、施工会社との見積もり契約まで幅広く開業をサポートするデザイン設計事務所です。私たちのデザインの強みに関しましては、こちらのページにて詳しく解説しています。ぜひこちらもわせてご参照ください。