今回は、前編に引き続き店舗の内装工事から開店までのスケジュールとスケジュール管理のポイントを説明していきます。後編では実際の工事の流れや各種申請関係、費用相場についても少し触れていきたいと思います。
前編に引き続き少し長くなってしまいますが、最後までお付き合いいただければと思います。内装工事とは何ぞや?というところから知りたい方は、前編からご覧いただければ幸いです。
前編の振り返り(内装工事とは)
本題に入る前に、簡単に前編で取り扱った内容をおさらいしましょう。内装工事とは、店舗を最終的に営業できる状態にまで仕上げる工事で、どのような空間を演出したいかによって使用する素材が変わってきたり、そもそもの施工方法が変わってきます。
前編をご覧になられた方は、それぞれの要望に合わせてどのようなやり方があるかわかったかと思います。今回は、実際に依頼先であるデザイン設計事務所と施工会社のそれぞれと詳細を話し合う流れについて説明していきます。
内装工事から開店までの流れ
先にも説明しましたが建物を新しく建てる場合には、基礎工事、躯体工事という流れを経て内装工事になります。しかし、これは0から作り上げる場合の工程です。居抜き物件や既存の店舗などをリフォームするといった場合には、内装工事からスタートすることになります。今回は業者の選定から内装工事を施す場合の流れを説明していきます。
①設計施工業者の選定
まず初めに、工事を依頼する業者を探す必要があります。どのような工事を行うかによって探すときのポイントは変わってくると思いますが、経験や実績の豊富さ、事業内容、適正な価格かどうかの3つのポイントは確実に抑えた方がいいかと思います。
内装工事は主に設計と施工の2工程があります。
設計のみを行う設計事務所に依頼すると、少し割高ではありますが、設計と施工それぞれに特化した専門家がつくため、こだわった店舗を作りたい方は設計事務所に依頼するのがおすすめです。設計事務所に依頼しても、施工会社はそこから紹介してもらえるため、施主の手間もほとんど増えません。
設計から施工までを一貫して行う会社に依頼すると、手続きなどの手間が多少減ったり、外注する手数料がないといったメリットがあります。しかし、設計も一応できるが得意ではなかったりと専門性に欠けるというデメリットがあります。
こちらのページではより詳しく建築設計事務所の選び方に関する記事をご紹介しておりますので、ぜひ合わせてご参照ください。
②設計施工業者に連絡・相談・打ち合わせ
電話やメール、紹介などで、信頼できそうな設計事務所を探すことができたら、どのような内装にしたいか、いつまでにやらなければならないのかなどを伝えて、具体的なデザイン案やプランを練り上げていきましょう。
この提示してもらったデザイン案とプランをもとに、発注する施工業者を決めることになりますので、出来るだけ詳しく要望を伝えて、後から追加の費用が発生しないように、デザインの祖語が生まれないように、最善のものを提供してくれそうな業者をしっかりと見極めてください。
また、ここで重要なのが、現地を見て知ってもらった上で、プランを出してもらうことです。口だけでは伝わらない部分もありますので、物件視察にもきちんと同行してもらいましょう。
③契約
設計事務所と相談を打ち合わせを重ね、最終的に提示してもらった見積もりとデザイン案、工程表などを総合的に考慮して発注する業者を決めたら、契約しましょう。契約して前金として費用の半額程度を払う場合が多いです。
④施工
契約を締結したら、発注した施工会社に施工してもらいます。あらかじめ工程表が渡されているはずですので、オープンに向けて準備を進めていきましょう。発注したら丸投げするのではなく、途中で何度かは現場を訪問して進捗を確認するようにしましょう。実際の工事が遅れているのか、計画通りなのかしっかりと自分の目で確かめると共に、出来上がりも確認しておきましょう。
⑤竣工・引き渡し
工事が終了すれば、竣工検査が行われます。竣工検査をクリアすればようやく引き渡しになります。仕上がりの最終確認ですので、しっかり要望通りになっているか確認してください。もしなっていないのであれば、できるだけ早い段階で伝え、きちんと仕上げてもらうようにしましょう。
⑥各種申請
これは、工事と並行してやらなければならないことですが、行政機関へ各種届け出や申請が必要です。新しく店舗をオープンする場合には、営業許可証などを取得しなければならないことになります。ケースバイケースですが、申請から取得までに時間が書かあるものがありますので、必要な申請や届け出を確認して、遅滞なくオープンできるように準備してください。
飲食店などの場合には、場合によっては行政による立入検査が行われることもありますので、あらかじめスケジュール管理をしっかりとしておきましょう。また、こちらのページでは行政への申請方法といった、行政手続きに関する記事を一覧でご紹介しております。こちらも合わせてご参照下さい。
⑦店内設備や開店準備
実際に工事が完了し、建物が開店できる状態になれば、店内設備を搬入したり、店舗で使う資材を用意したりと開店に向けて準備していきます。開店の日が決まっているのであれば、チラシやPOPの作成なども含まれるでしょう。店内設備の準備はもちろんですが、お客さんを受入れる側の準備も必要です。
飲食店などサービスを提供する業態の場合には、人員の確保や接客方法、機器の使い方などの社員教育が必要です。また、機器に関してはある程度使いこなせるようになっていなければならない場合もありますので、ここでは十分な準備期間が必要になるかと思います。
⑧開店
各種準備を終えたら、とうとうオープンです。最高の空間で最高のサービスを提供する、最善のパフォーマンスを発揮する準備は整いました。後は突き進むだけですので、頑張っていきましょう。
スケジュール管理のポイント
ここからは実際に開店までのスケジュールを立てる際のポイントを紹介していきます。これらを参考にしてスケジュール立てをしてみてください。
タイトなスケジュールにしない
これは費用的な問題とも関わってきますが、あまりに過密なスケジュールにしてしまうと、工事時間が深夜帯に及んだり人員を多く必要としてしまったりと、費用が高くなってしまう可能性があります。
費用的な問題だけでなく、天候や災害により工事に遅れが生じてしまった場合、開店までの準備期間が短くなってしまったり、後続の作業が大きくずれこんでしまうなど、その影響が大きく出てしまします。最悪の場合、開店までに間に合わなくなることも考えられます。工事期間はあくまで目安としてとらえ、ゆとりを持ったスケジュールにするのがいいでしょう。
申請や届出の提出期限は厳守する
先にも少し触れましたが、店舗の開店の際には、行政機関に届け出や申請出し、許可証などを発行してもらわなければならない場合もありますので、申請から発行までの期間を事前に確認し、少なくともオープン前日には受け取れるようにしておく必要があります。
事業をやっていくうえで開店した後も行政への書類の提出などはかならず必要になってきますので、提出期限は必ず厳守するようにしましょう。
内装工事の施工費用
皆さん気になるのが施工費用だと思います。お金をかければそれだけ希望に沿った空間の創出が可能ですが、必ずしも払えるわけではありません。実際の工事にいくらくらいかかるのかの概算をご紹介します。
ただ、ここで紹介するのはあくまで目安であり、立地条件、店舗の状態などによって価格は全く異なってきます。なお、デザイン設計費用は工事費の10~15%が相場となっています。
業種 | 坪数 | 坪単価(設備代込) |
居酒屋・レストラン | 10~40坪 | 安価 40~60万円 平均 60~80万円 高級 80万円~ |
物販店 | 10~40坪 | 安価 20~30万円 平均 30~40万円 高級 40万円~ |
美容室 | 10~40坪 | 安価 30~40万円 平均 40~80万円 高級 80万円~ |
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は前回に引き続き、内装工事に関してお話ししていきました。実際の工事の流れや費用相場について参考になったのであれば幸いです。
実際の工事はケースバイケースですので、しっかりと打合せや相談をしたうえで納得のいくものを作り上げてください。決して安い買い物ではありませんので、しっかりと納得のいくものを作り上げましょう。
これまで弊社TOでは多数の店舗の開業をご支援させていただいております。これまで蓄積したノウハウを駆使してお客様のお役に立てることを心待ちにしております。内装工事や行政手続きに関することまで、お気軽にお問い合わせ下さい。