古民家カフェや昭和レトロが人気なことからもわかりますが、昔から受け継がれてきた日本の美意識は、世代を超えて愛されています。伝統的な和風の家具は、「和家具」と呼ばれ近年注目されています。
和家具は古臭いという意見もありますが、もしかするとそれは和家具の魅力に気付いていないだけかも。重厚感や、高級感も感じる和家具。実は店舗の内装インテリアにも取り入れることができます。
■ 和家具とはどんなものか
■ 和家具を店舗内装に活かすコツとは
今回はこちらについて解説します。
和家具とは
和家具とは古くから日本で使用されてきた伝統的な家具のこと。文机(ふづくえ)、屏風(びょうぶ)、箪笥(たんす)、座卓、座椅子など、種類は豊富です。
歴史からくる重厚感や、貴重な木材を使用した高級感があります。また家具職人が制作したものは、伝統工芸が醸し出す美しさも感じられます。
素材は、日本各地で製材された材木や和紙などが使用されていることも特徴です。和家具と呼ばれるようになったのは、明治から大正時代にかけて、西洋の家具が日本の生活にも浸透しはじめた時期のこと。
その当時、西洋由来の家具を「洋家具」と呼び、洋家具と区別するために、日本で以前から使用されていた家具は「和家具」と呼ばれるようになりました。
現在では伝統的な日本らしさを感じる家具を、包括して和家具と呼ぶことが多いです。和風の家具や、明治・大正時代に作られたアンティーク家具も和家具と呼ばれたりします。
畳のある和室に合わせる家具はもちろん、フローリングやタイル床の空間にも合うような和家具も日本各地で生産されています。
和家具の種類
和家具にはどんな種類があるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。
箪笥(たんす)
和家具の中でもイメージしやすいのが箪笥です。水屋(みずや)とも呼ばれます。食器を収納することはもちろん、冷蔵庫が一般的でなかった時代には、食材なども箪笥に保管していました。
引き出しや扉の取っ手の部分には、伝統的な細工が施されています。とても頑丈に作られているので、100年近く前に生産されたものでもアンティークとして市場に多く出回っています。
照明
電気や電球が広く普及したのは大正・昭和初期のころ。その頃の照明器具は電気コードとソケット電球といった簡素なものでした。
現在で和風の照明と呼ばれるものは、和紙や伝統工芸を用いた照明器具が主流です。行灯(あんどん)や、提灯(ちょうちん)などがイメージしやすい和風の照明です。
素材としては組子細工が施されたもの、和紙をシェードにしたもの、アンティークガラスを使用したものなどがあります。天井照明、ブラケット照明、スタンドライト、テーブルライトなど、形状は様々です。
ダイニングテーブル・座卓
和家具のなかでダイニングテーブルというと、工芸品のテーブルがあります。天板や脚の部分に、複雑な木彫りの細工がされているものがあります。
分厚い一枚板の天板も、和を感じさせるテーブルの特徴です。円形のテーブルもありますが、より和風のイメージが強いのは長方形のテーブルです。
昔ながらのテーブルに座卓(ちゃぶ台)があります。座って食事をするための食卓ですが、和室にとてもマッチします。店舗内装に座卓を活かすのであれば、座敷や和室が必要になるでしょう。
チェア・座椅子
和家具のチェアは、現在でも多く流通している人気の家具です。箪笥やテーブルに比べサイズが小さく、家族構成に合わせて何脚か必要になるからです。
工芸品のチェアは洗練されたデザインで、天然木材の温かさも感じられます。そのため、海外の方からも人気があります。和食店の店舗内装に活かすこともできるでしょう。
座椅子は、畳のある和室にとてもよく合います。和柄の座布団との組み合わせで、快適性と華やかさをプラスすることもできます。
和家具を店舗内装に活かすコツ
重厚感と高級感を感じる和家具。とても主張が強い家具なので、安易に取り入れるとインテリアに合わないことも。
和家具を店舗内装に活かすならこんな方法で取り入れることができます。インテリアスタイルを和家具と合うものに統一する方法です。
インテリアスタイル:和モダン
和モダンとは和風なモダンスタイルのこと。現代風のモダンな洋風インテリアに和風の要素を取り入れています。
たとえば飲食店の場合、テーブルとチェアはモダンなデザインにしつつ、照明は和紙を使ったデザインにすれば、ぬくもりを演出することができます。
モダンと和モダンの間に厳密な決まりはありません。和風の要素は、オーナーと設計者で相談しながら加えていきましょう。
インテリアスタイル:ジャパンディ
ジャパンディスタイルは北欧インテリアと和風をミックスしたスタイル。「ジャパン」と「スカンジナビアン(北欧)」をかけ合わせた言葉です。
数年前から欧米発信で流行しているこのスタイルは、ナチュラルで優しい北欧インテリアの要素と、和のシンプルな要素の組み合わせ。
例えばカフェの店舗内装であれば、ペンダント照明を北欧ブランドのやさしいデザインにして、テーブルとチェアを和家具にすればジャパンディスタイルになります。北欧は生地デザインも人気。チェアの張り地に選べばとてもおしゃれになります。
北欧の木製家具は明るい色の木材が多いので、和家具を取り入れる場合は桐(きり)や楢(なら)といった明るい木材の家具を選ぶと良いでしょう。
まとめ
和家具とは伝統的な日本の生活様式を支えてきた家具のこと。種類は箪笥や照明、テーブルやチェアなど。
伝統工芸品として、長い歴史をもつ家具もあります。繊細かつ頑丈に作られているため、とても長持ちでアンティークとしても人気。
店舗内装に活かすコツは、インテリアテイストを和家具に合わせたものにすること。その中でも「和モダン」や「ジャパンディ」は、現代的な店舗内装とも相性がよいです。和家具を取り入れたいのであればおすすめのスタイルです。
わたしたち株式会社TOでは、経験豊富なデザイナーが和家具を活かした店舗設計のご相談も承っております。ぜひお気軽にご相談ください。
私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。