今回は、株式会社TO代表デザイナーの西口が、「和モダン」の店舗デザインで抑えるべきポイントやコツについて、実際のデザイン事例をもとにご紹介します。
本編となるYouTube動画では、より詳しく詳細のニュアンスも解説していますので、ぜひYouTube動画もご参照ください。
和モダンとはなにか?
まずは、和モダンとは何か、定義やイメージについて解説します。和モダンは、和風を意味する「和」と現代的・近代的を意味する「モダン」を組み合わせた造語です。
店舗デザインにおける和モダンは、日本の伝統的な内装や家具、素材、雑貨と、現代的なデザインを表現する洋風のインテリアや雑貨を融合させたデザインスタイルを指します。
和モダンのデザインは、近年さらに注目度が高まってきています。これから和モダンのデザインが選ばれる理由3つを解説します。
独特の日本文化的な美しさが表現できる
私たち日本人は、繊細な感覚と器用さを持っています。世界を見てもこれは日本人特有のものです。この日本人の特徴をうまく表現しているデザインが和風です。それを洗練し、スマートにした表現が見る人にとってきれいに映り、感動につながります。
落ち着いた雰囲気を作ることができる
和風には、木、竹、土、など有機的な素材を多く用います。一般的に自然素材と言われるものです。自然界のラインは直線は一つもありません。
ですので、その有機的な素材と、近代的な無機質の素材を混ぜ合わせてデザインすることで、洗練された質感を表現できるとともに、自然素材が醸し出す柔らかさも表現できます。
冷たくも温かくもある絶妙に落ち着く空間を創り出すことができ、それが居心地の良さにつながりリピートにつながります。
洗練された雰囲気でブランディングを高める
空間の付加価値を上げることができます。伝統的な技術を用いることで、空間に厚みができます。この厚みが大切です。伝統的な技術が刻んできた時間を、空間に引きつぎ、次の世代へつなげていくデザインでもありますね・だからこそ、イメージUPにつながりブランディング効果も大きくなります。
和モダンの店舗デザインの特徴と抑えるべきポイント
ここまで和風(和モダン)デザインのメリットを主に解説してきました。ここからは、和モダンデザインの特徴と抑えるべきポイントを解説します。
空間に余白を持たせる。
この店舗も無機質と有機質を掛け合わせ、モダンな空間にしています。コンクリートのスケルトン天井に壁の仕上げは左官、そこにさらにステンレスで形作った造形が入り、それを引き立たせるように枯れ木による有機的な植栽が入っています。
これにより、カジュアルだけど重厚感もあり。入りやすいけど大人な雰囲気もあるという空間が出来上がっています。
自然素材を取り入れる
2つ目は、うまく自然素材を取り入れることです。カウンターバックのロックウォールは、自然石をイメージした左官技術によって作られています。
また、外壁も左官の技術によって現場の板ののこぎり跡を表現した壁面となっており、視点や使い方を変えることで、和とモダンの表現につなげています。
素材を感じる照明を取り入れる
照明によって和とモダンを表現することもできます。この店舗の場合は、和の素材を用いた空間に見せる照明計画による陰影で柔らかさとシャープさを表現しています。
肌に触れるもの素材にこだわる
肌に触れる素材感と目に見えるつややかさで表現することです。この店舗には、無機質な素材は一切使っておらず。むしろ自然素材しか使っていません。では、なぜモダンにみえるのか?それは、自然素材でつややかな無機質を表現しています。
そして、肌に触れるところには、本物の素材鹿使われていません。本物のヒノキの質感と、左官の漆喰磨きが出す無機質な艶っぽさが絶妙な和モダンな空間を創り出しています。
日本の技術(伝統、特殊)を取り入れる
伝統技術を取り入れる理由は、空間に付加価値をつけることと、その技術の認知度をあげ、継承するきっかけの可能性を広げることが目的です。その大切な技術をどのように店舗のコンセプトに乗せて作るかが大切となります。
このお店では、個室に、前足袋屋を営んでいた大家さんへの敬意を表して、店内に足袋の要素を取り入れることにしました。三重県の伝統工芸である組細工格子を使い、足袋のデザインを創造的に表現しました。個室の組細工に組み込まれています。
和を意識する視線誘導
最後は、奥を期待させる動線とそこを創り出す要素によってモダンな和となります。この店舗は、エントランスの格子戸をあけると半アーチが見えます。
そのアーチから見える和風ペンダントとその先にある敷石にせっちされた生け花がチラッと見えることで、華やかさとスタイリッシュさを感じることができます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は和モダンデザインのポイントについて、ご紹介させていただきました。
特に覚えておていただきたいポイントは、現代的なデザインを遊び心で入れすぎてしまうと、落ち着かない雰囲気になってしまうため、和とモダンの比率・バランスが重要ということです。
和モダンといっても「和風よりのモダンテイスト」や「モダンテイストよりの和風」などさまざまな種類があります。ご自身のお店のコンセプトと重ねてじっくり考えてみてください。
私たちは、店舗デザインを得意とするデザイン事務所です。日本全国、世界中どこでも対応可能です。
お客様にとって「心地よい空間とはなにか」という問いに対して真摯に向き合い、最適なプランニングをしております。
ご相談いただくお客様の中には、店舗デザインに関わったことがない方も多くいらっしゃいますので、安心してご相談ください。