飲食店の厨房のレイアウトは重要ポイント!適切な配置をして料理の提供をスムーズにしましょう。

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飲食店の店舗デザイン

飲食店の厨房のレイアウトについて悩まれているオーナーの方は、多いのではないでしょうか。厨房のレイアウトは、料理の提供をスムーズにするための重要ポイントです。

厨房のレイアウトを失敗してしまうと、料理の提供が遅くなることに加え、料理を作る際にストレスが溜まる可能性があります。そこで、この記事では、料理の提供をスムーズにする、飲食店の厨房レイアウトのポイントを解説していきます。ぜひ最後までお読みください。

また、厨房と同時に客席のレイアウトも考慮するようにしましょう。客席スペースを活用することで厨房を広く使うことも可能です。ぜひこちらの記事もご参照ください。

飲食店の厨房で意識すべきレイアウトのポイント

まずは意識すべきポイントから抑えておきましょう。飲食店の厨房で意識すべきレイアウトのポイントは以下の4つです。4つのポイントを意識することで、スムーズな料理の提供や清潔感のある厨房の維持、内装費用を抑えることができます。

①料理を提供するまでの動線を意識

料理を提供するまでの動線を意識

厨房のレイアウトを決めるポイントの一つは、料理を提供するまでの動線を考えること。冷蔵庫の素材を取り出すところから、料理を作り上げるまでの動線を意識するといいでしょう。料理工程に無駄な時間を要さないよう、厨房機器を配置することで、料理をスムーズに提供することができます。

動線の無駄を無くすには、万歩計を使用して歩数を測ってみてください。歩数を基に、厨房のレイアウトを決めることで、無駄のない厨房のレイアウトを決めることができます。

②片づけの動線を意識

片づけの動線を意識

厨房の中のレイアウトでは、片づけの動線にも目を向けるといいでしょう。片づけの動線を意識しないで厨房のレイアウトをすると「片づけをする人と料理を運ぶ人がぶつかる」「片付ける人が料理を作る工程の邪魔をしてしまう」などを引き起こす場合があります。

食器洗い機や流し台は、料理を提供するまでの動線と被らないように注意しましょう。また片付けスペースはできる限り客席から離れた見えない位置に造るのが基本です。オープンキッチンを採用する際などは特に注意しましょう。

③インフラの位置を事前にチェック

インフラの位置を事前にチェック

インフラの位置を事前にチェックすることも重要です。水道・ガス・電気・ダクトの使用できる位置を事前に確認しておくことで、冷蔵庫や洗い場、ガスを使用する調理場の位置をある程度決めることができます。

インフラの確認作業を怠ってしまうと、厨房区画を移動しないといけない、ダクトを伸ばさないといけないなど、後々の内装工事の費用が高くつく場合があります。また、忘れがちなグリーストラップの位置にも気を配りましょう。

④掃除のしやすさを意識

掃除のしやすさを意識

厨房を清潔に保つには、厨房の掃除のしやすさを考えたレイアウトにする必要があります。ポイントとしては、厨房機器や調理器具の収納スペースを隙間なく配置することです。ゴミやホコリが入りにくくなり、掃除が容易になります。毎日の掃除がスムーズにできると、清潔感のある厨房を保つことができます。

水しぶきなどで汚れができやすい洗い場や食洗機などはできる回切り固めて配置しましょう。洗い場付近には食材ストック用の冷蔵庫や食器収納棚など大型の危機を配置しておくと隙間を埋めやすいです。

⑤主力メニューから考える

主力メニューから考える

主力メニューをいかに効率よく作るレイアウトにするかを考えることも重要です。主力メニューとはいわゆる看板メニューでよく売れる利益率の高い商品です。よく頼まれる商品だからこそ早く回さないといけないので、主力メニューから逆算して考えてみましょう。

また、居抜き状態で店舗を検討されている場合は実際に動いてみて配置を確認することをおすすめします。内見の際に実際に厨房に立ってみて、料理を造る動作を行ってみましょう。可能であれば複数人を想定して人物を配置してみるとなお良いです。

飲食店に必要な主な厨房機器

厨房機器の種類

飲食店の業態によって必要な厨房機器は様々ですが、基本的なラインナップは以下のとおりです。これらの機器はどのような飲食店でも最低限必要になるでしょう。

調理作業台、冷凍冷蔵庫、洗い場、ガスやIHなどの熱源、収納棚

さらに、業種によっては下記にような設備も必要になります。メニューを考えながら厨房に必要な機器を書き出して行きましょう。

台下冷凍冷蔵庫(調理作業台)、2槽シンク、食洗機、オーブン、電子レンジ、フライヤー、炊飯器、製氷機、茹麺機、炭焼きグリル、ドリンクサーバー、冷蔵ショーケース など

さらに食品衛生法や消防法の観点から下記設備も場合によっては必要です。これらの設備は背紋的な知識も必要なため、店舗デザイナーと相談しながら想定しましょう。

グリーストラップ、排煙設備、空調設備、スプリンクラー

厨房の広さ、店舗全体のレイアウトとのバランス

厨房の広さ、店舗全体のレイアウトとのバランス

厨房の広さを考慮するときは店舗全体の大きさに対する面積比が重要となってきます。客席の数に対して厨房が小さすぎるとオペレーションに支障をきたし、また厨房が大きすぎると無駄なスペースが生まれてしまいます。

飲食店の厨房の広さは、一般的店舗全体の25~35%程度とされています。平米や坪数から逆算して厨房の広さを決めるようにしましょう。10坪の小規模なお店で例えると、厨房は1.8〜2.5坪程度、残り約7〜8坪に15〜20席の配置となります。

ただし、あくまでこの割合は一般論であるため、必ずしもこのとおりにすればいいとは限りません。例えば、高級店ならゆったりとした 座席スペースを設けるため座席の面積を広くする、大衆店なら回転率とにぎやか重視で客席の面積は少なめでも席を多くするなど、千差万別です。収容率や座席数などを考慮しながら、デザイナーと入念に相談しましょう。

飲食店の厨房のレイアウト

飲食店の厨房のレイアウトには4つの種類があります。業態、規模、お店のコンセプトなどでどれを選ぶかは変わってきます。自分にあった厨房レイアウトを見つけましょう。

直線型

直線型の厨房

よく少人数で切り盛りしている小型店でよくみられるレイアウトです。必要最低限の設備が置いてあります。

L字型

小型店舗でも厨房の面積を広く取りたいときに用いるレイアウトです。調理する人の移動が最小限に抑えられます。

二列型

十分なスペースが取れる厨房によくみられるレイアウトです。大手ファミレスチェーンや、一度に大量の料理を作るホテル内のレストランでなどで設けられます。前と後ろに作業スペースがあるので、効率よく作っていくことができます。

アイランド型

メイン厨房が存在している上で、お客様の目の前で仕上げをする場所を設けた形になります。牛丼チェーン店がイメージしやすいかと思います。焼き鳥居酒屋やこの字型カウンターと合わせた大衆居酒屋などで採用されます。オープンキッチンなどでの演出にも利用されます。

見せる厨房か見せない厨房か

飲食店の内装で厨房を決める際、見せる厨房(オープンキッチン)にするか、見せない厨房(クローズドキッチン)にするかを決める必要があります。2種類それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが目指している飲食店に適しているかを見極めて、選んでみてください。

見せる厨房(オープンキッチン)

厨房レイアウトのポイント

オープンキッチンのメリット

メリット
お客さまとコミュニケーションがとりやすい
料理の工程をお客さまに見せることができる
活気のある雰囲気を演出しやすい
料理をカウンター越しにすぐ提供できる

集客やリピーターを増やすのに向いているのが、見せる厨房です。古くから寿司屋や焼き鳥屋、ラーメン屋などで多く取り入れられていたレイアウトですが、近年は個人経営のレストラン、カフェ、バルなどでも採用されるようになりました。

見せる厨房の最大のメリットは、お客さまと会話をすることができること。お客さまと頻繁にコミュニケーションを取ることができるため、リピーターを増やしやすいとされています。また、料理を作る工程をお客さまに見せることができます。ショーのような感覚で、お客さまを楽しませることができます。

オープンキッチンのデメリット

デメリット
厨房内のディスプレイもこだわらないといけない
洗い場や廃棄スペースなどを見せない工夫が必要
油のはねや煙が客席に行かないよう注意しなければならない
常にお客様を意識した態度で調理に臨まなければならない

見せる厨房は、厨房の中のディスプレイに気をつかう必要があるため、内装費用が高くついてしまう可能性があります。また、客席に煙が流れないよう、換気設備を強化するなどの工夫もしなければなりません。採用する際は、設計事務所や内装業者と綿密に相談しましょう。

また、こちらの記事では、オープンキッチンで設置するカウンターについて解説しています。ぜひこちらもご参照ください。

見せない厨房(クローズドキッチン)

見せない厨房(クローズドキッチン)

クローズドキッチンのメリット

メリット
料理を作ることに集中できる
調理場と客席の明るさを変えることができる
厨房の内装をスタッフが働きやすいように設計できる

料理を作ることに集中することに向いているのが、見せない厨房です。特に大型のレストラン、ホテル、ドリンクスペースが必要な居酒屋、生肉を取り扱う焼肉屋などで多く取り入れられている厨房です。

料理を作ることに集中できるため、大量の注文が入ったときでも、スムーズに料理を提供できます。また、お客さまの目線を気にしなくていいので、料理をスムーズに作れる動線を意識した、厨房の内装を設計することができます。

クローズドキッチンのデメリット

デメリット
料理ができてから、お客さまに提供するまでに時間がかかる場合がある
料理を作るキッチンスタッフ、運ぶフロアスタッフが必要
衛生面がおろそかになりやすい

クローズドキッチンはお客様の顔が見えないことが最大にデメリットです。料理を提供するタイミングなど、フロアスタッフとの連携が必須です。また、料理ができ上がり次第すぐに運べるよう、導線を設計し、ホールスタッフと息を合わせることが重要です。

また、厨房をお客さまに見られることがないため、掃除などの衛生面がおろそかなりがちです。清潔感を保った厨房にするためにも、日々掃除の時間を設けるなど、衛生面の管理を徹底しましょう。

まとめ

飲食店の厨房レイアウトのポイント

この記事では、料理の提供をスムーズにする、飲食店の厨房レイアウトのポイントを解説してきました。飲食店の厨房は、お店がオープンしてから変更することが難しいです。内装のデザインを決める段階で、重要ポイントを意識したレイアウトを設計しましょう。

弊社TO(ティーオー)は、内装を得意とするデザイン事務所です。お客様にとって「心地よい空間とはなにか」という問いに対して真摯に向き合い、お客様に最適なプランニングをしております。

ご相談いただくお客様の中には、店舗デザインに関わったことがない方も多くいらっしゃいますので、「要望の伝え方がわからない」という方も安心してご相談ください。みなさまからのお問い合わせを、心よりお待ちしております。

デザイン事務所と相談して店内レイアウトを決めたい場合は、どの様なデザイン事務所を選んだら良いのでしょうか。こちらの記事で解説しておりますので、ぜひご参照ください。