皆さんこんにちは、株式会社toの西口です。今回は「長く続くお店作りの共通点」について、店舗デザインの観点から徹底解説していきたいと思います。
飲食店の生存率については、一般的に「開業後2年で50%、3年で30%、10年でさらに減少する」と言われています。こうした話を聞くと、これからお店を出店しようと考えている方は、不安に感じてしまうかもしれません。しかしどうぞご心配なく。私たちtoは、これまで一貫して“長く続く店作り”に取り組んできました。
その経験と実績をもとに、「長く続くお店の特徴」と、それを実現するために「大切なこと」をお伝えしていきます。これから新規で開業される方や、2店舗目・3店舗目を出店予定の方にも、必ずお役に立てる内容だと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
長く続くお店作りで重要な前提2つ
まず、「長く続くお店作り」において必ず押さえておきたい、2つの前提となる考え方があります。
1つ目は、「美味しい料理を提供するだけでは、生き残れない」ということ。
そして2つ目は、「流行に流されていては、生き残れない」ということです。
料理が美味しいだけでは生き残れない
ではまず、1つ目の「料理が美味しいだけでは生き残れない」について解説していきます。現代では、ただ料理が美味しいだけでは、お客様の満足にはつながりません。もちろん、料理のクオリティはとても大切です。
しかし、それと同じくらい重要なのが、“美味しい料理をどう提供するか”というサービス、そして“それを体験する空間”です。これらがすべて調和しているかどうかが、非常に重要になります。数多くの飲食店がひしめく今の時代、「美味しいお店」はたくさん存在します。その中で選ばれ続けるためには、お店の雰囲気・料理・サービス・空間が一体となった“バランスの取れた環境”が求められます。
ここで言う空間は、必ずしも「かっこいいデザイン」である必要はありません。大切なのは、“お店の個性”をしっかりと見つけ出し、それを空間として表現することです。その個性こそが、他のお店との違いを生み出し、お客様の記憶に残るポイントになります。
また最近、「“映える”お店を作りたい」というご要望をいただくことが増えてきました。確かに今の時代、そうした“映えポイント”を空間の中に取り入れることは、とても大切な要素のひとつです。
ただし、これはあくまでも“一時的な要素”に過ぎません。映えポイントだけでは、「また来たいな」と思っていただけるお店には、なかなか育っていきません。やはりお客様に“感動”していただくためには、料理のクオリティ、サービスのクオリティ、そして空間のクオリティ――この3つをしっかりと追求することが、何よりも大切です。
流行に流されていては生き残れない
そして、2つ目の前提が「流行に流されていては生き残れない」ということです。
もちろん、流行に敏感であること自体は非常に大切です。今の時代の空気感やトレンドを正しく捉えることも、重要な要素のひとつです。ただし、流行に過度に依存してしまうと、かえってお店の方向性がブレてしまい、不安定な運営につながる可能性もあります。
「それでも、やっぱり流行に乗りたい」と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、流行を追い続けることは非常に大変です。今のように情報があふれる時代では、SNSなどを通じて流行の情報は簡単に手に入ります。だからこそ、そういった“流行”に“自分らしさ”や“オリジナリティ”を加える力が、今強く求められています。
それができなければ、情報に振り回されてしまい、気づいたら自分のお店の軸を見失っていた――
そんなことにもなりかねません。結果として、「流行に乗っているつもりだけど、なぜか流行らないお店」になってしまうんです。これは、本当に多くの方が陥りやすいポイントです。
不安なとき、人はどうしても何かに頼りたくなるものです。しかし“ただ流行を真似するだけ”では、決して長く生き残ることはできません。
まずはこの2つの前提――
「料理が美味しいだけでは生き残れない」
「流行に流されていては生き残れない」
この2つを、今回お話しする内容の“土台”として、しっかり押さえておきましょう。
「長く続く飲食店」を作るポイント
前提について、よくご理解いただけたかと思います。それでは、その前提をふまえて「どのようにお店作りをしていけばよいのか?」という点について、具体的にお話ししていきます。
長く続くお店を作るためのポイントは、大きく分けて5つあります。
1つ目:誰に、何を、どう売るかを考える
2つ目:ブランディングの確立
3つ目:綺麗なお店を保つ
4つ目:物件の立地
5つ目:オーナー様の“思いの強さ”
この5つのポイントについて、順に解説していきます。
誰に、何を、どう売るかを考える
まず1つ目のポイント、「誰に、何を、どう売るか」。このポイントが明確でないと、お店の方向性を見失い、迷路に迷い込んでしまうことになります。私自身、オーナー様と一緒にテナントの内覧に立ち会う際には、ほぼ必ずこの質問をさせていただきます。
そして、もし曖昧な答えが返ってきた場合には、こうお伝えすることもあります。
「出店は、もう少し見送られてはいかがでしょうか」
少し厳しいように感じるかもしれませんが、それほど重要なポイントだからこそ、しっかりと時間をかけて考えていただきたいのです。
ブランディングの確立
次に、2つ目のポイント「ブランディングの確立」についてです。
ここで大切なのは、「お店でやりたいこと」に対して、料理・店舗のデザイン・什器(じゅうき)のデザイン・販促ツールなど、あらゆる要素に“一貫性”を持たせることです。この「一貫性」があることが、いわゆる“ブランド”の土台となります。
つまり、ブランディングとは——
お店独自のブランドをつくり、それに対する“信頼”や“共感”を通じて、お店の価値を高めたり、他店との差別化を図ったりするためのマーケティング戦略のひとつなのです。
この「ブランド力」があることで、お店のイメージが明確になり、お客様から選ばれやすい店舗へとつながっていきます。ブランディングの構築については、ぜひ“ブランディング構築のプロ”である店舗デザイナーにご相談いただくことをおすすめします。
施工を主に手がける工務店では、このようなデザインの一貫性やトータルバランスを十分に考慮するのが難しい場合があります。その点、店舗設計のプロである店舗デザイナーに相談することで、よりクオリティの高い、統一感のあるブランディング・サインを実現することが可能です。
長く愛されるお店になるためには、お店独自のブランドを「気に入ってもらえるかどうか」が非常に重要です。ブランドがしっかりと認識され、共感されるようになると、その後の多店舗展開もスムーズになります。事業を拡大していく際にも、ブランドの存在は強みとなり、より強い企業へと成長することができます。
綺麗なお店
それでは、3つ目のポイント「綺麗なお店」についてです。ここで言う「綺麗なお店」とは、特にトイレと厨房の清潔さを指しています。トイレが綺麗でないお店は、どうしてもお客様から敬遠されてしまいます。また、トイレの清潔感に配慮できないようなお店は、「サービス全体のクオリティもその程度かもしれない」と判断されてしまうことが多いです。
これは厨房にも同じことが言えます。お客様の目に直接触れない場所だからこそ、そういった見えない部分にしっかりと気を配れるお店は、その姿勢がサービス全体にも表れてきます。皆さんのお店はいかがでしょうか?清潔さを見直すことは、お店の印象を大きく変える“とても重要なポイント”です。ぜひ一度、チェックしてみてください。
また、清潔さを保ちやすくするためには、メンテナンス性や機能的なレイアウトを考慮した設計も必要です。こういった点を踏まえて提案できる店舗デザイナーに依頼することで、日々の運営がしやすくなり、クオリティの維持にもつながります。
物件の立地
それでは、4つ目のポイント「物件の立地」について見ていきましょう。成功する店舗の多くは、「どこにお店を出すか=立地」に非常にこだわっています。「店舗の成功は、ターゲットに合った立地が鍵」と言われるほど、立地選びは重要な要素です。
ターゲット層が多く集まるエリアを選ぶことはもちろん、物件の広さや賃料とのバランスも大切です。
立地選びのコツとしておすすめしたいのは、店舗デザイナーと一緒に物件の内覧に行くことです。店舗デザイナーは、これまで数多くの案件に携わってきた経験から、「どの立地がどのような業態に向いているか」「どのような条件が揃っているか」などを多角的に捉えることができます。
また、ぜひ試していただきたいのが、検討している物件の前に立ち、道路側を10〜15分ほど眺めてみることです。この時に、「何人の人と目が合うか」を観察してみてください。それによって、その物件がどれくらいの“存在感”を持っているのかがわかります。
店舗デザイン会社の中には、物件選びの段階からサポートしてくれるところもありますので、そういった会社に相談するのもおすすめです。
オーナー様の思いの強さ
それでは最後に、5つ目のポイント「オーナー様の思いの強さ」についてお話しします。この「思いの強さ」は、これまでお伝えしてきたすべてのポイントの原動力となる、非常に重要な要素です。
どのような店舗であっても、最初はオーナー様の「やってみたい」という思いから始まります。そして、これまで多くのお店づくりに関わってきた経験から言えるのは、最終的にお店を長く続けられるかどうかは、この“思いの強さ”にかかっているということです。
もちろん、立地や条件、空間デザイン、価格などの具体的な要素も大切です。しかし、それらを“活かす”も“無駄にしてしまう”も、最終的にはオーナー様の思い次第だと私は感じています。
たとえば、店舗が困難な状況に直面したとき、「なんとかして乗り越えたい」という前向きな姿勢を持てるかどうか。また、その思いがスタッフに伝わることで、サービスの質が自然と高まり、お店全体の雰囲気やお客様への印象にも良い相乗効果を生むようになります。
このように、「強い思いを持つこと」は、店舗運営における最も大切な基盤のひとつです。
そして、その思いをより具体的に、明確にしていくためにも、ぜひ私たちのような店舗デザイナーを仲間に加えてください。私たちと一緒に考えることで、店舗のイメージがより明確になり、自然とその思いも強まっていくはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は「長く続く飲食店の共通点」について、店舗デザインの観点から徹底的に解説してきました。今日お話しした内容を、最後にもう一度まとめます。
まず、長く続くお店づくりで必ず理解しておきたい2つの大前提を説明しました。
1つ目:「美味しい料理を提供するだけでは生き残れない」
2つ目:「流行に流されていては生き残れない」
その上で、長く続くお店をつくるための5つのポイントをお伝えしました。
・誰に、何を、どう売るかを考える
・ブランディングの確立
・綺麗なお店を保つ
・物件の立地
・オーナー様の思いの強さ
この5つのポイントをしっかりと押さえて、持続可能で愛されるお店作りに取り組んでいただけたらと思います。私たち株式会社toは、創業当初から一貫して「長く続く、持続可能なお店作り」を理念として掲げ、これまで数多くの店舗づくりに携わってまいりました。
その経験をもとに、今回のお話をさせていただいておりますので、きっと皆様のお役に立てる内容だったのではないかと思います。また、私たちは店舗の開業やリニューアルに関するご相談を無料で承っております。少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽に問い合わせフォームからご連絡ください。