店舗の内装に木材を取り入れようと考えているけど、木材選びに困っているオーナーの方は多いのではないでしょうか。木材は、種類により見た目や強度などが異なります。そのため、適切な場所に適切な木材を取り入れないと、のちに後悔することになる可能性があります。
そこで今回は、店舗の内装で使用される木材の種類の一覧と特徴、内装の場所ごとに適した木材を解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
木に対する想い・木を使用したデザインの強みはこちらの特集ページでも詳しくご紹介しています。建材としての木材には、デザイン性の他にも様々なメリットがあります。木がお店に与えるデザイン的な効果と、部材としてのメリットを解説します。
なぜ店舗の内装に木材が使用されるのか
店舗の内装に木材がよく使用される理由は、木材が人に対して3つの効果をもたらすからです。
3つの効果とは、
2.触れると温もりを感じることができる効果
3.香りによる癒しの効果
です。
3つの効果により、店舗の内装に木材を使用することで、お客さまは安心してお店に滞在できるようになります。また、金属やコンクリートに比べ光を反射しないため、落ち着いた雰囲気の店内も作り出すことができます。
店舗の内装に使われる木材の種類一覧
店舗の内装によく使用される木材は以下の7種類です。
2.パイン
3.ウォールナット
4.チーク
5.タモ
6.ヒノキ
7.スギ
7種類の木材それぞれに特徴があり、お店のコンセプトや目指しているお店の雰囲気に合わせて適切な種類を選ぶ必要があります。それでは、7種類の特徴をそれぞれ詳しく解説していきます。
①オーク
オーク素材は、ブナ科コナラ属の広葉樹で「ナラ」「ホワイトオーク」「レッドオーク」の3種類から作られます。最近までは、ナラの素材がフローリングや壁板、家具などに使用されていました。しかし、最近はナラが希少な素材となってしまったため、代替品としてホワイトオークまたはレッドオークがよく使用されています。
オーク素材は、硬くて重く、耐久性があるのが特徴です。長く使い続ける大型家具や強度が必要な天板などに多く使用されています。また、虫が苦手なタンニンが多く含まれているため、害虫に強いという利点もあります。
②パイン
欧州や北米原産のマツを加工したのが、パイン素材です。マツの中でも「イエローパイン」「ホワイトパイン」「ポンデロッサパイン」「欧州アカマツ」などが家具の素材として使用されています。
マツは針葉樹なので、軽くて柔らかいです。また、木材全体に油分を多く含んでいるため、経年変化で薄い黄色の色合いから艶がある色合いなる変化をするのが特徴的です。
カントリー調の家具などに使用されることが多く、ダイニングテーブルや食器棚によく使われます。価格もお手頃なため、お店に低予算で木材の雰囲気を取り入れたいときにピッタリな素材になります。
③ウォールナット
世界三大銘木と呼ばれているのが「ウォールナット」「チーク」「マホガニー」です。そのため、ウォールナットは希少価値の高い木材です。ウォールナットは広葉樹で、耐久性や衝撃に強い木材であり、床やテーブルなどによく使用されています。
独特な高級感のある色合いをしているため、店舗の内装に取り入れると格がグッと上がります。価格は高いですが、オシャレな雰囲気が必要なバーなどの内装にピッタリです。インテリアなどの一部分として取り入れてみてもいいかもしれません。
④チーク
世界三大銘木のチーク。チークは、「強靭さ」「耐腐食性」「美しさ」の3つを持ち合わせています。チーク材は、摩耗や割れなどに対しての耐久性が強いです。また、多くの油分を含んでいるため酸化や湿気、虫、腐食に対しての耐性も兼ね備えているのが特徴的です。
チーク材は元々、黄金色をしています。ですが、経年変化とともに美しい飴色に変わり、チーク特有のツヤ感がでてきます。チーク材は、希少価値が高いため価格は高めです。ヴィンテージ感を出したいお店や、落ち着きのある雰囲気のカフェなどの内装にピッタリな素材です。
⑤タモ
タモ材は、家具やフローリング、ドアなどに使われる王道の素材です。木材の外側部分は美しい白色をしていますが、中心部分にいくにつれくすんだ褐色をしています。この色合いが、和風・洋風のどちらにもマッチするため、インテリアを選ばない特徴があります。
また、弾力性があり硬くて丈夫なため、長持ちする素材の一つです。インテリアを選ばず長持ちするため、幅広い業態の店舗の取り入れることが可能な素材です。
⑥ヒノキ
ヒノキは、日本で昔から家やお寺などで使用されることが多いです。ヒノキ特有の綺麗な年輪が、店舗の内装のアクセントとしていい雰囲気を出してくれます。
また、耐湿・耐水性があるため腐る心配がいらず、店舗の内装に使う木材として使い勝手がいいです。価格は高めなので、大部分に使うとコストが多くかかってしまいます。
⑦スギ
スギはヒノキ同様、日本で昔から土台や柱に使用されてきた素材です。強度面ではヒノキに劣ります。しかし、価格がヒノキよりも安いため、内装に取り入れやすい木材になります。
スギの場合、内装の見える部分に使用すると和風の雰囲気に出せるため、和風居酒屋などの和を大事にする店舗の内装に向いています。
店舗の内装に合う木材の種類の選び方
店舗の内装に木材を使用する場合、内装の場所によって使用すべき木材の種類が異なります。そこで、この章では「天井・壁」「床」「カウンター・テーブル」の3つの場所に分け、使用すべき木材の選び方を解説していきます。
①天井・壁
お店の雰囲気を大きく左右する天井や壁に木材を使用する場合、お店のコンセプトに合わせた色合いや風合いの木材を使用すべきです。
バーやオシャレなカフェにしたい場合は、オークやチーク、ウォールナットの木材を天井や壁に使用するといいでしょう。落ち着いた高級感のある雰囲気の店舗になります。
また、和風居酒屋や寿司屋などの和をイメージさせたい店舗では、明るめの色合いをしているタモやヒノキ、スギを使用してみてください。和の雰囲気を出すことができます。
注意点として、火を取り扱う店舗では、店舗の規模により内装制限がかかり国土交通省の基準を満たした防火木材しか使用できない場合があります。事前に調査をした上で、木材選びをしましょう。
②床
飲食店のフローリングは、「強度・耐水性がある木材」「防水加工や樹脂コーティングされた木材」を選ぶようにしましょう。飲食店の場合、住宅と違い多くの人が歩くため、木材が傷がつきやすく、早く痛みやすいです。
そのため、飲食店のフローリングには、摩耗や耐久性・耐水性に強いオークやチーク、ウォールナット、タモ、ヒノキなどの木材を使用するといいでしょう。
③カウンター・テーブル
カウンターやテーブルには、経年変化で色合いや風合いが変わる木材を使用するといいでしょう。オシャレな雰囲気を出すことができます。
また、加工をせず、いびつな形をした木材をそのままカウンターやテーブルとして使用するのも一つのアイディアです。色合いが暗めのオークやチーク、ウォールナットの木材を使用すると落ち着いた雰囲気のお店を作り出すことができます。
カントリー風の小洒落た雰囲気を出したい場合は、パインやタモなどの明るめの色合いが特徴の木材を選ぶのが適切です。木材をはじめとしたカウンターの素材に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。
まとめ
この記事では、店舗の内装で使用される木材の種類の一覧と特徴、内装の場所ごとに適した木材を解説してきました。店舗の内装で使用される木材の種類と特徴を知っておくことで、「この内装にはオーク材を使おう」などのイメージがすぐにできるようになります。
また、店舗のコンセプトにあった木材を使用した内装を、スムーズに決めることができます。店舗の内装でよく使用される木材の種類と特徴を抑え、理想の店舗の内装作りを目指しましょう。
弊社TOでは木材を使用した店舗のデザイン設計に多く携わってまいりました。お客様のご要望にピッタリな空間設計をいたしますので、店舗デザイン設計に関して何かお困りやご不明点がおありの際はお気軽にご相談くださいませ。
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