【飲食店開業】個人事業主or法人はどちらがいいの?それぞれのメリット・デメリットを解説します

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店舗独立開業のポイント

飲食店を開業する際、事業計画や出店場所探しなどさまざまな開業準備が必要です。しかし、開業準備を行う上で、個人事業主と法人ではどちらが飲食店の開業に向いているのでしょうか?本記事は、飲食店開業にあたってどちらが適しているかを解説します。

それぞれのメリットやデメリットについて事前に理解し、これからの飲食店開業準備に活かしましょう。また、株式会社TO(ティーオー)では、店舗デザイン設計を行っています。飲食店のデザイン設計はもちろん、事業計画のご相談なども答えているため、お気軽にご連絡ください。

開業当初は個人事業主がおすすめ

開業当初は個人事業主がおすすめ

個人事業主と法人での開業でどちらが良いか、結論から言うと開業当初は個人事業主がおすすめです。さまざまな理由がありますが、開業初期は売上が少なかったり、安定しなかったりと資金面に問題があるためです。日本の法律では、所得の多さによって税率が変化し、特に個人事業主と法人では大きく税率が変化します。

もちろん場面によっては、法人での飲食店開業の方が良い場面もありますが、それぞれのメリットとデメリットの項目で後ほど詳しく解説していきます。

個人事業主|飲食店開業のメリット

会計作業が簡単にできる

ここでは、個人事業主での飲食店開業のメリットをご紹介します。

  • 開業届のみで設立手続きができる
  • 会計作業が簡単にできる
  • 低所得の間は税金の負担が小さい

個人事業主のメリットは、大きく分けて上記の3つのメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

開業届のみで設立手続きができる

個人事業主は、法人での設立に比べ手続きがかなり簡略化されています。法人での手続きとして、「定款の承認」「資本金」「登記の申請」「会社員や銀行員の作成」などさまざまな設立準備が必要になります。

しかし、個人事業主での飲食店開業の場合は、税務署へ「開業届」を提出するのみです。今まで経営などを行った経験がない方は、特に個人事業主からの飲食店開業をおすすめします。ちなみに、個人事業主開業の開業届は、近くの税務署や国税庁のHPからダウンロードできます。

参照:国税庁|個人事業の開業届

会計作業が簡単にできる

個人事業主での会計作業は、法人に比べると非常に簡単にできます。法人の場合、自分で会計作業を行うのは難易度が高く、税理士に会計作業をお願いしている法人がほとんどです。その中で、税理士に依頼すると依頼料がかかってしまうデメリットもあります。

しかし、個人事業主の場合は、法人に比べると簡単に会計作業が行えるのがメリットです。自分で帳簿を付けるやり方もありますが、会計作業を簡単にできる「freee」や「弥生会計オンライン」などの確定申告ソフトの利用が主流となっています。

低所得の間は税金の負担が小さい

個人事業主で飲食店を開業する最大のメリットが、税率の違いです。飲食店開業当初は、売上が安定せずに所得が少なくなる場合が多く、収支を少しでも減らなければいけません。収支の中でも、所得税が少しでも減らせたら経営も楽になるでしょう。

所得税は、売上が少ないうちに限りますが、法人の税率に比べて個人事業主の方が所得税が低くなります。もちろん、売上が一定以上増加したら税率も上がるため、経営の軌道に乗ってから法人化する場合が多いです。

また、個人事業主では売上が赤字の場合、所得税が発生しませんが、法人は赤字でも税金(地方税)が発生するデメリットがあるため覚えておきましょう。

個人事業主|飲食店開業のデメリット

社会的信用が低い

個人事業主での飲食店開業のデメリットをご紹介します。

  • 所得によっては法人より税率が高い
  • 社会的信用が低い

飲食店の開業当初は個人事業主がおすすめですが、上記の2つのデメリットがあります。開業を行う前に確認しておきましょう。

所得によっては法人より税率が高い

個人事業主の所得税の税率は、所得によって変化します。税率の変動は以下のようになっています。

  • 0~195万円未満:税率5% 控除額0円
  • 195万円~330万円未満:税率10% 控除額97,500円
  • 330万円~695万円未満:税率20% 控除額427,500円
  • 695万円~900万円未満:税率23% 控除額636,000円
  • 900万円~1,800万円未満:税率33% 控除額1,536,000円
  • 1,800万円~4,000万円未満:税率40% 控除額2,796,000円
  • 4,000万円~:税率45% 控除額4,796,000円

上記のように、個人事業主の税率は7段階に分けられています。所得が増えるのと比例して、税率も高くなるため高額の納税を行うデメリットがあります。また、個人事業主で所得が900万円を超えた場合、法人よりも税率が高くなってしまうため注意が必要です。

社会的信用が低い

個人事業主の場合、社会的信用が低いデメリットがあります。法人の場合、登記を行い会社法に則った手続きを行っているため、取引先や金融機関などの信頼度はかなり高いです。また、法人向けの補助金や助成金などもあり、個人事業主では対象外となってしまいます。

しかし、社会的信用が低くても個人事業主向けの補助金や助成金もあるため、開業当初は個人事業主が良いでしょう。名古屋市でも、「令和4年度名古屋市スタートアップ企業支援補助金」などの支援をしています。飲食店の開業に対する補助金制度もあるので、そちらも合わせてご参照ください。

参照:令和4年度名古屋市スタートアップ企業支援補助金

法人|飲食店開業のメリット

金融機関の審査に有利

ここでは、法人での飲食店開業のメリットをご紹介します。

  • 利益が多いと節税対策になる
  • 金融機関の審査に有利

法人のメリットは、大きく分けて上記の2つのメリットがあります。法人での飲食店の開業はおすすめできませんが、法人化を行う際に必要となる知識のため参考にしてみてください。

利益が多いと節税対策になる

法人で飲食店開業のメリットは、税率が一律という点です。資本金が1億円以下の普通法人の場合、所得800万円を超えた場合は税率23.2%となります。個人事業主の場合、所得900万円を超えると税率33%となるため、かなりの節税対策になります。

しかし、法人は所得が800万円以下の場合、税率15%となります。いくら所得が低くても15%納税義務が課せられるため、所得が安定してから法人化を検討しましょう。

金融機関の審査に有利

飲食店を法人で開業すると、金融機関の審査が有利になります。社会的信用が高い法人は、金融機関から融資をしてもらえる可能性が高くなり、より経営を発展させられます。また、法人名義の方が、他の会社からの評価が高くなりやすく、取引などもスムーズにいくでしょう。

法人|飲食店開業のデメリット

飲食店開業のデメリット

法人での飲食店開業のデメリットをご紹介します。

  • 設立手続きが大変
  • 決済や会計作業が大変

法人での開業のデメリットは、大きく分けて上記の2つのデメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

設立手続きが大変

法人の設立は、個人事業主と比較して、設立手続きが大変です。一例として、法人設立に行う手順をまとめました。

  • 定款の作成
  • 会社員や銀行員などの作成
  • 資本金の入金
  • 法務局へ登記の手続き
  • 銀行口座開設
  • 年金事務所や税務署に書類提出

上記の手順以外にも、法人設立手続きはあります。また、飲食店開業のために「営業許可」や「防火管理者選任届」などの準備も行う必要があります。

そのほかにも、定款作成や印鑑作成費用など、法人設立には20~30万程度は費用がかかるのもデメリットです。経営初心者の場合は、かなり難易度が高いため、法人での開業はおすすめできません。

決済や会計作業が大変

法人での飲食店経営は、個人事業主に比べ会計作業が大変です。決算書や経理のルールは、かなり難しく、会計士や税理士に依頼する場合が一般的です。しかし、会計士や税理士に依頼すると、依頼料がかかり相場として10万円以上のコストがかかります。

もちろん、条件によって価格は変動しますが、開業当初は、売上も安定しない場合が多いため、法人での開業はかなりのデメリットになります。

個人事業主から法人に移行するタイミング

個人事業主から法人に移行するタイミング

個人事業主から法人化するタイミングは、900万円の所得を超えてからがおすすめです。所得が900万円を超えると、個人事業主より法人の方が税率が低くなるためです。

ただし、事業以外での所得や所得控除などによって、条件が異なる可能性があります。そのため、所得が700万円を超えたあたりで、税理士の無料相談や税額趣味レーションなどを行ってみると良いでしょう。

まずは個人事業主で開業しよう

まずは個人事業主で開業しよう

飲食店を開業する際に、個人事業主か法人のどちらで開業するか決める必要があります。最初は、設立の手続きが簡単で、コストが低い個人事業主で開業しましょう。

「見栄えが良いから」「かっこいいから」などの理由で、法人開業はおすすめできません。もちろん、法人にもメリットがありますが、所得が900万円を超えてから法人化を考えましょう。

そして、飲食店開業についての悩みがあれば、株式会社TO(ティーオー)にお気軽にご相談ください。デザイン設計はもちろん、事業計画の段階からお客様に寄り添ってサポートしていきます。飲食店開業の疑問や不安について、相談お待ちしております