着工・施工・竣工とは?ややこしい建築用語をわかりやすく解説します。

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建築設計デザインの基礎知識

聞き馴染みがなくややこしい建築業界の専門用語のなかでも、特によく耳にするのが「着工(ちゃっこう)」「施工(せこう)」「竣工(しゅんこう)」ではないでしょうか?

これらの建築用語は、建物を建てるときに頻出する用語なりますので、意味を知っておくととても便利です。この記事ではそれぞれがどのようなときに使われるのか、その違いを紹介します。

また、着工→施工→竣工の具体的な工事内容は、こちらの記事でより、詳しく解説しています。これから建物の建設をご検討されている方は、ぜひこちらも合わせてご参照ください。

着工・施工・竣工とは?

着工・施工・竣工とは

・着工(ちゃっこう):工事を始めること
・施工(せこう)  :設計図をもとに建設をすること
・竣工(しゅんこう):工事がすべて終了すること

結論から申し上げると、着工、施工、竣工は上記の通りです。ただし、それぞれを分類するさらに細かい基準があるため、これから家や店舗を建てられる人は、その基準もしっかりと覚えておくようにしましょう。基準を覚えておくことで各工事業者とスムーズに話を進めることが可能です。

着工(ちゃっこう)とは

着工(ちゃっこう)とは

着工とは、工事を始めることを意味しています。つまり、「工事に着手すること」です。ただし、着工するにはいくつか基準が設けられており、好き勝手に工事を始めてはいけません。新築の場合、着工の大前提となるのが「確認済証」を受け取っているかです。

確認済証を受け取る前に工事を始めてしまうと建築基準法違反(建築基準法6条に記載済み)になります。多くの業者は建築基準法を守っていますが、中には違反しているとこもあるので注意が必要です。着工とみなされる工事には、以下のようなものが当てはまります。

着工とみなされる工事
・くい打ち工事
・地盤改良工事
・山留め工事
・根切り工事

着工と同じ意味の言葉①「起工(きこう)」

起工式

着工と同じ意味の言葉で起工という言葉があります。「起工式(きこうしき)」という言葉として耳にする機会も多いのでは無いでしょうか。起工も着工と同じ意味になりますが、主に大規模な工事のときに使われる表現です。「気候」「機構」など同訓異字が多いため「起工」単体ではあまり使われません。

着工と同じ意味の言葉②「定礎(ていそ)」

着工と同じ意味の定礎

定礎とは、着工と同じ意味で工事を始めたことを指す言葉です。よくビルなどで「定礎」と書かれた石の板を見る機会があると思います。この石版は、礎石(そせき)を模した記念プレートです。礎石とは、古来の建造物の基礎にあって柱などを支える石(土台石)を指すことばです。現代では建物の安全への願いを込めて、モニュメントとして礎石プレートが置かれます。

施工(せこう)とは

施工(せこう)とは

施工とは、設計図をもとに工事を行いつくっていくことを意味します。わかりやすくいえば工事中であることです。まさに今、工事をしている進行形であるときに施工という言葉が使われます。つまり、家を建てているときや、街中で工事が行われている様子は、すべて施工にあたります。

施工管理は国家資格が必要

施工を使った建築用語の中でよく使われているのが「施工管理」です。施工管理とは、工事が円滑に進むよう、工程や安全性を管理することが業務内容です。工事現場では、現場監督が施工管理者にあたります。施工管理は専門性が高いこともあるため、国家資格を保持している人がいるのが条件です。国家資格は下記のどちらかが必要です。

施工管理に必要な資格
・一級施工管理技士
・二級施工管理技士

施工中にある「上棟・棟上げ・建前・建舞とは」

施工中にある「上棟・棟上げ・建前・建舞とは」

新築で建物を建てる場合、施工中に上棟(棟上げ・建前・建舞も同じ意味)という作業があります。上棟とは基礎、柱、梁など、建物の基礎部分が完成したあとに、屋根の最上部に棟木(むなぎ)と呼ばれる建物全体を支える梁を設置することを指します。

上棟の際には「上棟式」が行われることも多いです。上棟式は、基礎工事が無事に完了したことへの感謝と、その後の工事の安全を祈る重要な式典です。大工さんへの感謝がメインのため神主は呼ばず、棟梁が仕切ることが多いです。

竣工(しゅんこう)とは

竣工(しゅんこう)とは

竣工とは工事がすべて終了し、施主に物件が渡った状態を意味します。建物が完成した瞬間を竣工と思われがちですが、本来は竣工検査までが終わり、施主が使える状態になったことです。よく間違われるので注意してください。

竣工をイメージしやすいのが、メディアでも取り上げられる竣工式です。工事が無事完了し、施主に渡す儀式で、竣工式が終わるとやっと自分の持ち物になるということです。竣工式は建築三大祭にもなっている大切な儀式です。ここまでが工事の一連の流れと考えておいてください。

「竣工」と「竣功」の2つの漢字がある

「竣工」という漢字は他に「竣功」と記載されている場合があります。意味は全く同じです。古くは後者の「竣功」が使われていましたが、近年では「竣工」のほうが広く用いられています。どちらを使うのが正解ということはなく、法人ごとルールは変わるため、気にしなくて良いです。

「しゅん工」と平仮名で表記される場合もある

また、竣工で興味深いのが、公共工事で竣工を表わすときです。公共工事では「しゅん工」と平仮名で表記されます。その理由は「竣」が常用漢字ではないからです。よく駅などの公共工事で目にされたことがあるのでは無いでしょうか。

竣工と似た言葉①「落成(らくせい)」の意味

竣工と同じく工事が完了したことを意味する「落成」という言葉があります。意味は同じですが使用される場面やニュアンスが少し異なります。落成は建物自体の完成を指すことが多く、施主がよく使います。また、竣工式は建物の完成を祝い、その後の繁栄を神様に祈るための式典ですが、落成式は、工事を完了させた作業員や近隣住民へ感謝を伝えるための意味合いがあります。

竣工と似た言葉②「完工」の意味

こちらも竣工と同じく建築工事の完了を意味します。こちらも仕様される場面が少しだけ違います。「完」という言葉が使われるとおり、すべての工事が完了したというニュアンスが強いです。

これまでの言葉を少しまとめると、建築会社が工事を終えたときに「竣工」を使い、その建物を見た施主が「落成」を使い、さらにその後、内装や駐車場などを含むすべての付帯工事が完了したときに「完工」を使います。

その他建築に関する基礎用語に関しましては、こちらの記事カテゴリで解説しています。これだけは覚えておきたい!という基礎用語をまとめていますので、ぜひ合わせてご参照ください。

合わせて覚えておきたい「図面」の違いついて

合わせて覚えておきたい「図面」の違いついて

建物を工事するときに使われる図面は、設計図、施工図、竣工図の3種類があリます。建築現場では、着工、施工、竣工に合わせてそれぞれの工程ごとに異なる「図面」が使用されます。それぞれの概要も合わせて覚えてきましょう。

イメージとしては、設計図は下書きのようなもので、竣工図は下書きを清書して手直したものです。建物が完成すると竣工図を渡されるので、大切に保管しておいてください。竣工図はのちのちリフォームをするときに必要な図面で、竣工図がなければリフォームができません。

設計図(せっけいず)

設計図は工事にかかる前に作られるいちばん初めの図面。建物全体にかかる出来上がり寸法が書かれています。設計図には細かい寸法は記載されていません。

施工図(せこうず)

細かい寸法まで記載してあるのが施工図です。設計図を元に、目には見えていない大切な部分の寸法を記載し、この施工図を元に工事が着工されます。施工図を基に職人さんたちは現場を作り上げていきます。この図面は、施工業者が現場を潤滑に進めるかつ、設計者の意図を再確認するために作成する図面です。

竣工図(しゅんこうず)

3つ目が竣工図。竣工図は完成した建物の寸法を記載した図面です。竣工図は設計図と見た目が変わらないため、素人には判断しにくいのが難点。ただし、現場進行中に変更になった点などをこの図面に反映させるため、設計図と施工図を基に最終図面としてこの図面を作成いたします

「着工」「施工」「竣工」は工事の工程を表した言葉

着工と施工と竣工の違い

3つの言葉は、工事の工程を表している言葉です。とくに気をつけたいのが着工の部分。確認済証がないと工事が始められないことは覚えておきましょう。

株式会社TO(ティーオー)は、店舗デザインを得意とする建築デザイン事務所です。お客様にとって「心地よい空間とはなにか」という問いに対して真摯に向き合い、お客様に最適なプランニングをしております。

弊社TOにご相談いただくお客様の中には、店舗デザインに関わったことがない方も多くいらっしゃいますので、「要望の伝え方がわからない」という方も安心してご相談ください。みなさまからのお問い合わせを、心よりお待ちしております。

また、着工に合わせて、建築三大祭である「地鎮祭」が行われる場合があります。地鎮祭についてもよく理解しておきましょう。詳しくはこちらの記事をご参照ください。