飲食店を開業するため、不動産情報を調べていると、テナント賃料が高いことに驚くかもしれません。もし少しでもコストや施工期間を抑えたいのであれば、プレハブも選択肢となります。結論として、プレハブでも飲食店開業は可能です。今回はプレハブ店舗のメリットやデメリット、費用や施工の流れについて詳しく解説します。
プレハブとは
プレハブとは、工場であらかじめ製造された部品を現地で組み立てて建設される工法のことです。プレハブ工法の店舗のことをプレハブ店舗と呼びます。この工法は、従来の建築方法よりも短期間かつ低コストでの施工が可能です。特に開業スピードを重視する飲食店の出店希望者に人気があります。
プレハブの種類
プレハブにはいくつか種類があります。代表的なものを紹介します。
鉄骨系プレハブ
鉄骨の柱や梁を使ったプレハブで、鉄骨の厚みによって「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分かれます。デザインの自由度が高く、耐久性や耐火性に優れています。
木質系プレハブ
木材を使ったプレハブで、工場で生産したパネルを現場で組み立てます。木の温かみと安定した品質が特徴です。
コンクリート系プレハブ
コンクリート製のパネルを現場で組み立てるプレハブです。耐久性、耐火性に優れ、長寿命の建物を求める場合に適しています。
プレハブ店舗のメリット・デメリット
プレハブ店舗の飲食店を開業する前に、以下のメリットとデメリットを考慮する必要があります。特にデメリットが受け入れられるかどうか、よく確認しましょう。
プレハブのメリット
施工が早い
プレハブは工場でパーツを生産し、それを現場で組み立てるため、従来の建物に比べて施工期間が圧倒的に短くなります。一般的な建物では1ヶ月以上かかるところを、プレハブでは10日〜1ヶ月で完成することもあります。
コストが削減できる
プレハブ建築は、規格化された材料を使うため、建設コストが低く抑えられます。また、工期の短縮により、施工にかかる人件費も削減されます。特に初期費用を抑えたい飲食店オーナーには、大きなメリットでしょう。
移転や改装が簡単
プレハブ店舗は解体・移設がしやすいため、事業を拡大したい時や移転が必要な時でも対応がスムーズです。また、部分的な改装も比較的簡単に行えるため、将来的な店舗の成長に柔軟に対応できます。
プレハブ店舗のデメリット
耐久性が低い場合がある
プレハブ店舗は、耐用年数が従来の建物よりも短いことがあります。高品質なプレハブであれば20年以上使用できる場合もありますが、それには定期的なメンテナンスが必要です。事業計画に照らし合わせてプレハブが最適なのかどうか考えましょう。
カスタマイズに制限がある
完全なオーダーメイドに比べて、プレハブ店舗はカスタマイズに制限が多いです。プレハブ工法はメーカー規格に合わせて組み立てられるため、規格外のことができないためです。特に複雑なデザインや大型の店舗を希望する場合には、実現可能かどうか、設計事務所と綿密なコミュニケーションをとりましょう。
プレハブの特徴
プレハブには、さまざまな特徴があります。以下で詳しく解説します。
構造
プレハブ店舗は、軽量で頑丈な鉄骨やアルミフレームを使用することが多く、部材は工場で製造されます。現地では短時間で組み立てられ、工期の短縮が可能です。外気の影響を受けやすく、断熱性能が低いのですが、遮熱シートや断熱材を取り入れることによって、快適な室温を保ちやすくなります。キッチンやトイレなどの設備を入れることも可能です。
費用
プレハブ店舗の費用は、建物の規模やデザインによって変わりますが、一般的には以下のような費用感です。プレハブ店舗は品質が安定しており、施工も迅速なため、コストパフォーマンスに優れています。
建物の種類 | 施工費用の目安/広さ30坪程度の場合 |
プレハブ店舗 | 200万円~ |
ビルのテナント | 1000万円~ |
※内装工事、時期、立地などの条件によって変わります。
施工期間
プレハブ店舗は、部品があらかじめ工場で作られるため、現場での施工時間が短縮されます。一般的には10日〜1ヶ月程度で完成するため、早期の開業が可能です。特に、繁忙期に合わせて開業したい飲食店オーナーにとっては、このスピードは大きな利点となります。
耐久性
プレハブ店舗の耐久性は、使用する材料や設置する環境によって異なります。基本的には20年程度の耐用年数を持つものが多いですが、適切なメンテナンスを行うことで、さらに長く使うことができます。特に、飲食店では衛生管理が重要であるため、内装材や床材には耐久性の高いものを選ぶことをおすすめします。
プレハブ店舗の設置可能な場所とは?
プレハブ店舗は、さまざまな場所に設置可能です。設置場所によっては、用途地域の規制に従う必要があります。
空き地や駐車場
小規模な敷地でも、プレハブ店舗はコンパクトに設置可能です。駐車場の一角や空き地を利用して店舗を開業するケースが増えています。
都市部の狭小地
ビジネス街の一角のような都市部の限られたスペースにも、プレハブ店舗を設置することができます。不動産業者や設計事務所と相談して、限られた敷地でも最大限に活用できるデザインを実現しましょう。
設置の流れ
プレハブ店舗は2t トラックが搬入できる環境であれば、設営自体は可能です。以下のような流れで設置します。
1:地面を整備し、ブロックを並べる
2:出来上がった基礎の上にプレハブを組み立てる
3:内装、電気、水道などの工事を行う
プレハブでもおしゃれな店舗にできる
プレハブというと、倉庫や事務所のような地味なイメージを持つ方も多いでしょう。ですが、プレハブでもおしゃれな店舗デザインにすることは可能です。最近はカフェやグランピングに適したおしゃれなデザインのプレハブも販売されています。
壁面をガラス張りにした開放的なデザインも可能ですし、2階建てにすることも可能です。お客様がリピートしたくなるようなおしゃれな店舗デザインを目指しましょう。
プレハブで店舗を開業する際の注意点
プレハブ店舗での開業には、法的な手続きや注意点があります。スムーズに開業するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
管轄の行政施設へ確認・相談する
飲食店の開業には、保健所や消防署などの行政施設への相談が必要です。食品衛生法に基づく衛生基準を満たすために、厨房設備や排水設備の設置が求められます。また、地域によっては騒音や臭気対策も重要です。
建築確認申請が必要
プレハブ店舗であっても、建築確認申請が必要です。特に都市部や商業地域では、建物の高さや敷地面積に制限があるため、事前に設計事務所などと相談しながら進めることが大切です。プレハブの仕様によっては、防火地域・準防火地域に設置することができません。これは自治体ホームページに記載されている都市計画図を確認することで事前に調べられます。
固定資産税の対象となる
プレハブ店舗も、固定資産税の対象となります。特に、プレハブが土地に固定されている場合には、建物としての評価が行われ、固定資産税が課されます。自治体によって異なるため、事前に管轄の税務署に確認しましょう。
まとめ
プレハブでもおしゃれな飲食店を開業することができます!プレハブ店舗は、初期投資を抑えたい方や、迅速にビジネスを立ち上げたい方に最適な選択肢です。経験豊富な設計事務所に依頼することで、単なるプレハブにとどまらない、デザイン性の高いおしゃれな店舗を実現できます。行政への事前確認や申請手続きをしっかりと行い、理想的な店舗開業を目指しましょう。