【土壁の種類一覧】和モダンな雰囲気で再ブームの「土壁」を徹底解説!和風飲食店をデザインされる方は必見です!

日本酒販売店設計 建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

店舗でも和風建築を取り入れたお店が多くなりました。そこで欠かせないのが土壁です。壁を土壁にするだけでグッと印象も変わり和風テイストな店舗に早変わり。近年注目されつつある土壁を取り入れたいと思っているオーナーさんも多いのではないでしょうか?

今回は、土壁の特徴やメリット・デメリットをご紹介します。こちらの記事では同じく和モダンをテーマにした飲食店について解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。

建築やリフォーム前に知っておきたい土壁の特徴

リフォーム前に知っておきたい土壁の特徴

土壁を取り入れる前に特徴を知っておきましょう。土壁は自然素材を使った、日本古来から親しまれている壁材。昔の人の知恵が詰まった壁材なんです。

土壁は日本の気候に合った壁材

日本は温暖湿潤気候に分類される気候土地です。ご存じのように、日本の夏は高温多湿。しかし冬になると乾燥がひどく寒さも厳しいです。

こんな日本の気候に合っているのが土壁。土壁は湿度を吸収する性質があるので、夏は涼しく過ごせます。反対に冬になれば湿度を放出する性質を持っています。調湿性に優れているので、居心地のいい室内を体感できるのが特徴です。

土壁は自然素材で生活臭を脱臭

土壁は自然素材を使った天然の壁材です。多くの土壁には臭いを吸収する力を持っているため、室内のいやな臭いも土壁を使うことで解消されます。

におい成分は空気中に蔓延しているのが特徴。まるで呼吸するかのように、土壁が空気を吸ってくれるので、臭いが気になる方にもおすすめの壁材です。

土壁は結露が発生せず建物の寿命が長持ち

土壁が湿度を吸収する特徴を持っているのは、先ほど説明したとおりです。この性質は、冬にも大活躍します。冬は室内と外気との気温差で結露が発生しますが、この結露も湿度として土壁が吸収してくれます。結果として結露防止になるので、窓やドアもカビが生えにくのが特徴

合わせてダニの発生予防にもなるので、清潔な室内を保てます。土壁の調湿性を確認するのはとても簡単。霧吹きで土壁に水を吹き付けると、壁が水を吸い取ってくれます。これなら冬の結露も心配せず過ごせそうですよね。

和風(和モダン)の店舗をデザイン・施工する場合の考え方と費用、デザイン事例については、下記バナーの特集ページでより詳しく解説しています。私たちTOは、和の伝統を現代に息づかせる和風の店舗デザインを得意としています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。

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土壁にはさまざまな種類がある

土壁の種類

一口に土壁といっても種類はさまざま。今回はよく使われている代表的な土壁を紹介します。それぞれの特徴を知って、最適な土壁を選んでみてください。

聚楽壁(じゅらくかべ)

聚楽壁(じゅらくかべ)

聚楽壁は土壁の中でも代表的な一種です。その起源は豊臣秀吉が京都に聚楽第を建てた際、京都周辺で取れた貴重な土(聚楽土)を使用したことに由来します。聚楽土はキメ細かい砂であり、この上質な土で仕上げを行うことにより上品な質感を表現することができます。現代では聚楽土を用いなくても、その質感や色を模倣したものの総称として定着しています。

珪藻土壁(けいそうどかべ)

珪藻土壁は、海や湖で死んだ珪藻の抜け殻を調合した壁材です。珪藻は死ぬと死骸は水底に蓄積し殻だけになり、やがて化石として岩石に変わります。土壁として利用するときは、糊を加えて固めてから壁に塗っていきます。

漆喰壁(しっくいかべ)

漆喰壁(しっくいかべ)

漆喰壁はなじみ深い方も多いのではないでしょうか?日本ではお城や蔵でよく使われている白い壁材です。材料に使われているのは石灰や砂で、ひび割れ防止のために麻スサを加え糊と水で練り上げたもの。漆喰壁は日本独自の壁材で、ほかの壁材よりも調湿性や殺菌効果が高いのが特徴です。

プラスター

プラスターは西洋漆喰のことで、漆喰壁と同じく石灰を主原料としている壁材です。昔は石灰と砂を混ぜ合わせたものが一般的でしたが、現代は化成のりや繊維質を使ったものも誕生しています。漆喰壁よりもなめらかで白い表面が特徴で、洋風の建物にピッタリの壁材です。

大津壁

大津壁

土に石灰やスサ、色土などを混ぜてある土壁です。大津壁の名前の由来は滋県大津市の「江州白土」という土を使っていたからです。また、大津壁は泥大津、並大津、大津磨きの3種類存在します。

泥大津は比較的リーズナブルに施工できるのが特徴です。また、波大津は鮮やかで光沢を抑えたマット感が出せるのが特徴です。そして最高級の大津磨きは、非常に艶やかで滑らかな仕上がりになるため、限られた左官職人しか作れないという特徴があります。

錆壁(さびかべ)

錆壁とは、土壁に鉄粉や古釘の煮出し汁を調合して作られた壁材です。壁に使用するとさびた鉄分の斑点が浮き上がり、独特の風合いを出しているのが特徴。錆壁は年月が経つにつれ色に趣が出てくるので、毎年違った表情を楽しめます。

土壁を取り入れるメリット

土壁を用いた店舗デザイン

ここからは土壁を使ったメリットを紹介します。土壁の特徴と合わせて確認してみてください。

光熱費が抑えられる

土壁は調湿性に優れているのは、先ほど説明したとおりです。夏は涼しく冬は湿度を保ってくれるため、柔らかな温かさを感じます。この性質から、冷暖房をたくさん使わなくても快適な室温を保てるのがメリットです。

自然素材なのでシックハウス症候群の心配なし

自然界にあるものを材料にした土壁は空気中の臭いを吸収するほか、汚染物質を無害にろ過する性質も持っています。そのためアレルギー症状がある方も安心して使える壁材です。また化学物質を一切使っていないのでシックハウス症候群の心配もいりません。

防火性に優れている

古来の日本は木造建築だったため、火災も頻繁に起きていました。そのときに火災を最小限に抑える役割をしたのが土壁です。土壁は火を通しにくい性質を持っているため、防火性にも優れています。和風テイストの店舗を考えているなら、火災にも安心な素材を使いたいですよね。

土壁を使ったときに注意すること

土壁を使ったときに注意すること

土壁の特徴やメリットを見ているといいこと尽くしのように感じてしまいますが、そうとは限りません。デメリットもあるので、しっかり確認しましょう。

工期が長く費用もかさむ

土壁は専門技術を持った施工業者しか作れません。技術と経験が大切なので、どの施工業者でもできないのが難点。さらに土壁が完成するまでも長い工期がかかります。

土壁は一度塗るたびに自然乾燥させなければいけません。季節や気温によっても乾燥する期間は異なりますが、夏なら約2週間、冬だと約1ヵ月かかるときもあります。

土壁は一度塗って終わりではなく何度も塗り重ねて壁を作るので、すべての工期が終わるまでには半年かかることも。技術と経験、さらに工期の関係から、必然的に費用がかさんでしまいます。

ひび割れがおき画鋲も使えない

土壁を使う懸念材料としてひび割れがあります。何重にも塗り重ねて仕上げる壁材ですが、ほかの壁材に比べ持ちが悪いのがデメリット。少しの振動や圧力でひび割れてしまいます。

また土壁は画鋲や押しピンは使えないので、壁をインテリアで飾りたいときはほかの方法を考えなければいけません。厳密には画鋲や押しピンは使えますが、使ってしまうとひび割れの原因になるので避けるべきです。ひび割れてしまうと、土壁の特徴である調湿性が低下します。

こちらの記事では和風飲食店をデザインする際のコツを解説しています。壁以外のデザインについて考える際は是非ご参照ください。

土壁の特徴を知って最適な種類をピックアップしよう

土壁の特徴を知って最適な種類をピックアップ

今回紹介した土壁の種類はほんの一部です。どの土壁も素材や色が違うので、イメージにピッタリなものを選んでみてください。土壁の特徴を知ると、悪いイメージも払拭できたのではないでしょうか?日本の気候に最適な土壁で、和モダンなすてきな店舗を作ってみましょう。

株式会社TO(ティーオー)は、和風店舗のデザインを得意とするデザイン事務所です。お客様にとって「心地よい空間とはなにか」という問いに対して真摯に向き合い、お客様に最適なプランニングをしております。

弊社TOではこれまでも和風や和モダンをコンセプトとした、様々な飲食店の内装デザインを担当させていただきました。そのため、経験や実績に基づいた設計提案を約束いたします。「店舗設計で悩んでいる・・・」というお客様はぜひお気軽にご相談くださいませ!

店舗の壁素材をご検討中の方はこちらも合わせてご参照ください。居心地の観点から最適な壁素材を選びましょう。