飲食店の店舗デザインを決める際、お客様がくつろげる、リラックスできる空間を作りたいと考えているオーナーの方は、多いのではないでしょうか。飲食店に癒しの空間を作ることにより、非日常感を求めて来店されるリピーターの増加が見込めます。
しかし、癒し空間を作るポイントを間違えてしまうと、不快に感じる居心地の悪い空間になってしまう可能性が。そこで、この記事では、飲食店の店舗デザインで癒し空間を作る際のポイントを詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。
店舗デザインの癒し空間とは
飲食店を癒し空間として運営していくときによく言われる言葉が、「ホリスティック空間」であることです。ホリスティック空間とは、簡単にいうと、自然とのつながりを感じられる空間です。
人が癒しを感じるのは、自然に触れたり自然をイメージしたりしたときです。お客さまの視覚・聴覚・嗅覚・触覚に自然とのつながりを提供できる空間作りが求められます。飲食店の店舗デザインで作り出せる癒し空間は以下があげられます。
- 和風(畳や竹など日本の昔からある自然素材を取り入れる)
- ナチュラル(ホワイトカラーやベージュカラーを配色の中心に使用する)
- アジアン風(自然素材を使用しアジアンリゾートのような空間を演出)
- レトロ風(年季の入った無垢木材と暗めの茶色を内装のベースに使用)
上記以外にも癒し空間は多く存在しますが、まずは自然とのつながりを感じられる「ホリスティック空間」を意識しながら店舗デザインを設計することで、多くのお客さまがリラックスできる空間を作ることができるでしょう。
店舗デザインで癒し空間を作る前に決めるべきこと
癒し空間を作る前に必ずお店のコンセプトを決めましょう。お店のコンセプトを事前に決めておくことで、どのような癒し空間を作るべきかが明確になります。お店のコンセプトを決めておかないと、コンセプトと癒し空間にズレが生じてしまい、不快な空間になりかねません。
癒し空間作りを成功させるためにも、ターゲットとする年齢層や性別、なんの料理や飲み物を提供するかなど、コンセプト決めの基本となる5W1Hを活用して、お店のコンセプトを事前に決めておきましょう。店舗デザインコンセプトの決め方はこちらのカテゴリーで詳しく解説しています。ぜひこちらもご参照ください。
店舗デザインで癒し空間を作るポイント
癒し空間を作るポイントは以下6つです。
- 内装の配色で癒し効果を上げる
- 自然の植物や生き物を取り入れる
- 自然素材を店舗デザインに取り入れる
- リラックスする光を取り入れる
- 香りや音を利用して癒し効果を上げる
- 空間の間(ま)にゆとりを持たせる
上記をできるだけ多く取り入れることにより、リラックスできる空間を作り上げることができます。ひとつひとつのポイントを抑えて、お客さまに癒しを与えられる空間を作ってみてください。それでは、上記のポイントを詳しく解説していきます。
内装の配色で癒し効果を上げる
落ち着いたトーンの色をベースに使用するのがいいでしょう。特に、アースカラーやナチュラルカラーが最適です。アースカラーやナチュルラルカラーは、自然をイメージしやすい色になります。
自然と結びつきやすい色をベースに使用することで、お客さまにリラックス効果をもたらし、心地よい空間を提供できます。アクセントとして濃い色を入れるのもいいですが、落ち着いた淡い色などで統一すると、リラックス効果がいっそう高まるでしょう。
自然の植物や生き物を取り入れる
観葉植物やアクアリウムなどを置くと、お客さまは視覚から得られるリラックス感が高まります。また、観葉植物には、空気をきれいにする効果や保湿効果もあるため、お店の中の空間全体を心地よくしてくれます。
観葉植物やアクアリウムの他にも、夏の暑い時期はグリーンカーテンを作ったり、季節ごとの花を置いたりしてみてもいいかもしれません。工夫を加えながら、お店にみどりを増やしていくことが癒し空間のポイントとなります。
自然素材を店舗デザインに取り入れる
癒し効果を高めるには、自然素材で作られた家具やインテリアを導入しましょう。人は、木や畳の温もりを感じることができるとストレスが軽減し、リラックスできます。反対に、無機質な素材でできている家具やインテリアは、人に冷たさをあたえてしまうため、リラックス効果が生まれません。
自然素材から出る香りや触り心地は、無機質の素材からはでない、癒し効果をもたらします。加えて、自然素材ならではの独特な形も、人に安心感やリラックス感をあたえます。自然素材の家具やインテリアを中心とした内装の設計が、癒し空間を作るのに大切です。
リラックスする光を取り入れる
ランチやカフェなど昼間の営業で癒しの空間を作るには、自然の光に焦点を当てるといいでしょう。日中に営業する飲食店であれば、太陽の光が入るように窓の位置や窓の大きさ、窓の種類にこだわるべきです。陽の光が適度に入ってくるように、店舗デザインの設計のさいに調整しておきましょう。
夜の営業の場合は、キャンドルカラーの照明を使用するのがベスト。キャンドルカラーの灯りが、お客さまにリラックス効果をあたえます。薄暗い空間にキャンドルカラーの灯りは、非日常感を生み出すのに最適です。より一層リラックスできる空間を作り出したい場合は、陽の光と照明の灯りを上手く使うことがポイントになります。
香りや音を利用して癒し効果を上げる
自然素材が発する香りやアロマの香りなど、店舗デザインではさまざまな香りを出すことができます。香りを選ぶポイントは、お店のコンセプトにあったモノを選ぶことです。たとえば、和風の癒し空間を作るのであれば、アロマなどを使わず、畳や、内装に使用されているヒノキやスギなど素材ならではの香りにするといいでしょう。
一方、ナチュラル風の色を主体とした癒し空間では、アロマや花などを使用して香りを作り出すのが、重要なポイントになります。お店のコンセプトに沿って香りを作り出してみてください。
出店する立地に合わせて、音を有効活用しましょう。たとえば、海が見える場所に出店する場合、テラス席を設けて波の音が聞こえる空間を作り出すといいでしょう。山に近い場所での出店では、お店の周りを木々で囲んで小鳥が来る環境を作ってみてもいいかもしれません。
また、室内で癒し効果のある音を作り出すには、人口の滝や「ししおどし」を設置が最適です。水の流れるきれいな音や竹筒が石に当ってなる音が、静かな癒し空間の演出を後押しします。
空間の間(ま)にゆとりを持たせる。
癒しや居心地を良くするには、空間の間(ま)を大切にしましょう。
それは、客席同士の距離であったり、壁と客席の距離や客席のサイズ感など、ストレスを感じにくい絶妙な距離感を作り出すことが大切です。これは普段から業態やコンセプトに合わせた距離感を持つことが大切です。
まとめ
この記事では、飲食店の店舗デザインで癒し空間を作る際のポイントを詳しく解説してきました。飲食店の癒し空間といっても、さまざまな種類が存在します。上記のポイントを参考にして、理想の店舗デザインに沿った癒し空間を作ってみてください。
理想とする店舗のコンセプトが決まったあとはそのデザインイメージをデザイナーに伝えなければなりません。デザイナーへのコンセプトの伝え方はこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもご参照ください。