【店舗オーナー必見】飲食店の保険まとめ|保証の種類・対象・メリットを徹底解説します

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私たちの生活にとって切っても切れない存在が保険だと思います。国民保険、社会保険、生命保険、国民年金保険、火災保険などなど様々な保険サービスが我々の生活に密接にかかわっています。

今回は、店舗における保険についてお話ししていきます。昨今では、コロナウイルスの蔓延や、大雨による水害や土砂崩れ、地震による津波など様々な災害が発生しており、店舗の営業が十分に行えない状況になっています。

また、最近ではあまり報道されることはありませんが、食中毒などで健康被害が出た場合には、その賠償をしなければならなかったり店舗経営には様々なリスクが潜んでいます。今回はそんなリスクを軽減するための保険を紹介していきます。

飲食店経営の3つのリスク

皆さんは、飲食店を運営していくうえで想定しておかなければならないリスクが何かきちんと把握しているでしょうか。リスクヘッジも店舗を運営する側の責任で行う必要があります。ここでは、実際にどのようなリスクがあるのか説明していきます。

損害リスク

損害リスク

火災や水害、土砂崩れなどの自然災害や、盗難、破裂など偶発的な事故による店舗への損害が発生する可能性があります。皆さんも、大雨による浸水や土砂崩れが全国各所で発生したことは、まだ記憶に新しいと思います。また、飲食店の場合には電気系統のショートやガス漏れなどで火災に発展してしまうことも考えられます。

休業リスク

休業リスク

損害リスクのところで述べたような、店舗への損害が発生した場合や食中毒コロナウイルスのクラスターが発生した場合には、修繕や消毒のために店舗を休業しなければならなくなることもあるかと思います。その場合、売上げや利益の減少が生じてしまいます。このような休業することのリスクもあります。

クラスターによる休業リスクを減らすためにもコロナ対策は重要です。コロナ禍での店舗改装リニューアルや新規出店、運営に関しての記事はこちらのページで解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。

賠償リスク

賠償リスク

飲食店をやっていくうえで賠償責任が発生する可能性は十分になります。例えば、店頭の看板が倒れて通行人にけがをさせてしまった場合などの建物が原因で起こる賠償事故や配膳中のものをお客様のほうに落としてしまいけがや服を汚損させてしまう場合です。

これら従業員のサービスや販売活動によって起こる賠償事故、食中毒のように調理・製造した商品を原因とした賠償事故などが考えられます。このような場合には店舗が被害者に対し賠償しなければならなくなります。このように、店舗絵運営には様々なリスクが潜んでいます。

しかし、これらすべてのリスクをカバーするための保険に加入することは、財政面で厳しい可能性もあります。そのため店舗で万一のことがおこっても慌てずに対処できるように、補償内容はじっくりと考えたうえで契約するのをお勧めします。次からは、どのような保険があるのか具体的にみていきましょう。

保険の種類

ここからは具体的にどのような保険があるのか、またどのような補償があるのかを3つの具体例をだして解説していきます。

店舗総合保険

飲食店の様々なリスクに対応できる保険ですが、店舗総合保険自体は基本的には火災保険の一種で、特約でその他の損害(休業補償や賠償保障など)に対して補償するといった保険です。したがって、先述の3つのリスク(損害リスク、休業リスク、賠償リスク)すべてに対応することもできます。

ここでは各リスクにおいてどのような場合に補償が可能なのかを特約も含めて説明していきます。なお、これから紹介する内容は一般的なものであり、各保険会社により内容が異なりますので、内容はしっかりと確認してください。

損害リスクへの補償

店舗総合保険では、以下のような補償が損害に対して受けられます。また、補償の対象となるのは建物だけでなく、設備や什器、商品、原材料なども補償の対象となることがありますので、事前に補償対象の範囲も確認しておく必要があります。

a 火災 失火、もらい火、放火などによる火災による損害を補償
b 落雷 落雷による損害を補償
c 破裂・爆発 ガス漏れなどによる破裂・爆発による損害を補償
d 風災・ひょう災・雪災 台風、暴風、暴風雨、豪、雪雪崩などによる損害を補償
※洪水、高潮などは除く
e 水災 台風や豪雨等による洪水などの水災の損害を補償
※地震による津波は除く
f 建物外部からの物の落下・衝突等 自動車の追突などによる損害を補償
g 漏水などによる水ぬれ 給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故に伴う漏水による水
ぬれ損害を補償
※給排水設備自体に生じた損害は対象外
h 騒擾・集団行動等に伴う暴力行為 集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償
i 盗難による盗取・損傷・汚損 盗難による盗取や損傷・汚損などの損害を補償
j 不測かつ突発的な事故(破損・汚損) 誤って自宅の壁を壊した場合などの偶然な事故による損害を補償
※機能に支障をきたさない損害は対象外

一般的な火災保険では、e~j(水災~不測かつ突発的な事故)の補償がついていないため不測の事態が生じたときに十分な補償がされません。特に盗難による損害への補償があるとないとでは、それからの営業に大きくかかわってくるのではないでしょうか。

また、大雨による損害は火災保険でも補償されるが、大雨に起因する洪水は補償の火災保険の対象外となっているなど、詳細に確認しておかないといけない部分もあります。

休業リスクへの補償(基本的に特約で補償)

店舗総合保険では一般的に、火災・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・雪災などによる損害を受けた結果、営業を休止したり、時短営業を余儀なくされ損失が生じた場合に補償される特約があります。

また、食中毒や特定の感染症による損害が発生した場合に補償される特約がついている場合もあります。これは、各保険会社の保険商品によって異なりますので、確認が必要です。

賠償リスクへの補償(基本的に特約で補償)

店舗総合保険では、施設賠償責任補償や借家人賠償責任補償といった特約がついている商品があります。それぞれどのような内容なのか説明します。

施設賠償責任補償

建物(看板などを含む)の所有・使用・管理が原因で起こった事故やサービスなどの業務遂行が原因で起こった事故により第三者への賠償責任を負った場合に補償するものです。

建物の事故では、看板が落下して駐車中の車を損傷させた場合、水漏れにより階下の店舗に損害を与えた場合などが考えられます。また、サービスの事故については、配膳中の皿などを落としお客様の洋服を汚してしまったり、やけどを負わせてしまったりといった場合が考えられます。

借家人賠償責任補償

多くの場合には賃貸借物件で営業していることになるかと思いますが、賃貸の店舗で火災・破裂・爆発・盗難・漏水などにより、賃貸物件を損壊してしまい、貸主への賠償責任を負った場合に補償されるものです。

施設賠償責任が損害を与えた第三者への責任であったのに対し、借家人賠償責任は賃貸している物件の貸主に対する責任となります。賃借人の過失により賃貸物件で出火させ焼失した場合や店舗に暴走した自動車が突っ込み破損した場合などが考えられます。

賠償責任に対する保険

食中毒への保険

飲食店における損害リスクで生産物賠償責任というものがあり、これが一番大きな賠償リスクです。生産物賠償責任とは、販売・提供した飲食物に起因する食中毒や販売・提供した飲食物に金属片などの異物が混入しておりそれが原因で口内をけがした場合などに、被害を受けたお客様に対して負う賠償責任です。

店舗総合保険の特約として扱われることはほとんどありません。そのため、各保険会社では飲食店の賠償責任に対する補償に特化した商品を別で用意していることが多いです。店舗総合保険は、施設や建物に関する保険と考え、対人被害への保険は別で契約しなければならないと考えてよいでしょう。

賠償責任には様々なものがあり、ユニークなものとして人格権侵害賠償責任というものがあります。飲食店を経営する中で無銭飲食の被害にあう可能性があります。その際に、間違って違うお客様を捕まえてしまい、相手の人格権を侵害したとして損害賠償責任が生じる場合があります。このような場合に補償の対象となるのが、人格権侵害賠償責任の補償です。

労働保険

労働保険

飲食店の場合には多くの場合、アルバイトなどの従業員を雇うと思います。従業員が労働中にけがをしてしまった場合には労働保険での保証が可能です。

万一、労働保険に加入していないと、労働中にけがを負ったとしても自費で診察してもらわなければなりません。最悪の場合には賠償請求をされてしまうなども考えられるため、人を雇う場合には必須の保険と言えます。

まとめ

飲食店の保険

いかがでしたでしょうか。今回紹介した以外にも様々な保険があります。業態によって特有の補償などが必要になることがあったり、ご自身でこの場合に対する補償をつけたいと考えることもあるでしょう。その場合には、自身で調べたり、場合によっては保険会社の人に直接聞いてみたりしてもいいかもしれません。

いずれにしても、補償をつけておいてそんなことはないかと思いますので、しっかりと考えてみてください。昨今では、新型コロナウイルスは収束するどころか拡大の一途をたどっていますし、台風や大雨、土砂崩れによる被害は記憶に新しいと思います。

これまではおこりえなかったようなことが、いつ起こっても不思議ではない世の中に変わってきています。開店の前にもしもの時のために備えることはもちろんですが、開店してからも保険の内容をそのままにせず、更新の時期などに保険の内容を見直し、その時々で必要な保険を選択するようにしてください。

株式会社TO(ティーオー)は、飲食店の設計を得意とするデザイン設計事務所です。「どうすればお客様に対して最善の提案ができるか」を真摯に考え、これまでも多数の設計を手掛けてきました。

弊社にご相談いただくお客様の中には、飲食店の店舗運営に関してやったことがないから分からないといった方もいますので、「要望の伝え方がわからない」「どのように進めればいいかわからない」という方も安心してご相談ください。みなさまからのお問い合わせを、心よりお待ちしております。