このように、飲食店の開業に伴い、店舗に必要な機器や家具のリースを検討しているオーナーの方は、多いのではないでしょうか。リースを上手く活用することで初期費用を抑えられ、他の部分に費用を充てることができるでしょう。
しかし、リースのデメリットを知らないと余計に費用がかかってしまう、なんてことになりかねません。そこで、この記事では飲食店の開業の際に検討するリースのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。
また、こちらの記事では店舗の新規開業で必要な資金について解説しております。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
新規店舗開業で厨房機器等を揃える4つの方法
本題に入る前に、厨房機器や家具を揃える方法について解説します。主な方法は以下の4つです。
- 新品を購入する
- 中古品を購入する
- 譲り受ける
- リースを利用する
基本的に「中古品を購入する」と「譲り受ける」場合は、新品を購入するよりも安く購入できる、または無料でもらえるため、初期費用を抑えることができます。しかし、機器や家具がいつ故障するかわからない状態で運営しなければなりません。日々のメンテナンスを欠かさず行い、万が一のための修理業者等を見つけておく必要があります。
反対に「新品を購入する」と「リースを利用する」は、新しい機器や家具がくるため故障の心配がなく、万が一の場合でも、修理などのアフターフォローが整っているのが強みです。
しかし、「新品を購入」の場合は、初期費用が高くなってしまいます。開業資金があまりない場合、購入費用がその後のランディングコストに重くのしかかります。そこで、候補に上がるのが「リースを利用する」ことです。初期費用を削減しつつ、新品の機器や家具を利用することができます。
厨房機器のリース契約とは
リース契約とは、飲食店の開業で必要な什器や設備機器などをリース会社から長期間借りることです。飲食店でリース契約をするとしたら、「厨房機器」と「家具」がメインとなるでしょう。リース契約は、レンタルと間違われやすいですが別物です。細かい部分でさまざまな違いはありますが、リースは長期契約でレンタルは短期契約と覚えておけばいいでしょう。
什器をリースする場合は、店舗デザインの雰囲気に合わせた什器にすることが大切です。什器の選び方に関してはこちらの記事で解説しております。こちらの記事もご参照ください。
リース契約を利用するメリット
飲食店の店舗デザインでリースを利用するメリットは以下の4つです。リースに対しての理解が深まるよう詳しく解説していきます。
- 店舗デザインにかかる初期費用を抑えられる
- 節税できる
- 不要になった際の処分が簡単
- リース会社からアフターサービスを受けられる
新規開業の初期費用を抑えられる
リース契約の最大のメリットは初期費用を抑えられることです。リース契約をすると、頭金いらずの月々一定額の支払いで、新品の厨房機器や家具を使用することができます。一般的に、飲食店の開業では、厨房機器や家具を揃えるために多額な資金が必要です。
しかし、個人経営などの場合は、高額な厨房機器などを購入するのは難しいでしょう。このような場合にリース契約を利用することで、飲食店の開業に必要な厨房機器や家具などの初期費用を払わなくてすみます。
節税できる
リース契約の場合、固定資産税を支払わなくてすむのもポイントです。一般的に、10万円以上する厨房機器などを所有していると、「資産」として扱われるため、毎年固定資産税を支払う必要があります。
しかしリース契約の場合は、厨房機器の所有がリース会社にあります。リース会社が固定資産税を支払うため、固定資産税を気にする必要がありません。固定資産税は毎年計算をしなければなりませんが、リースを利用することで固定資産税を計算する手間が省けます。
また、リース期間の支払いは経費計上ができるため、少額になりますが毎月利益から引くことができます。個人経営者の方は経費計上することで面倒な事務手続きも必要なくなるため便利なのではないでしょうか。
不要になった際の処分が容易
一般的に閉店時や厨房機器を新品で購入する際は、使用していた厨房機器を処分業者に引き取ってもらう必要がありますが、それでは処分費用がかかってしまいます。もし処分する業者が混み合っていると、なかなか引き取ってもらえません。
一方、リース契約の場合、閉店時や新品を購入していらなくなった機器の処分はリース会社への返却だけですむので、処分料金を払う必要がなく、処分業者の都合に合わせる必要もありません。
リース会社からアフターサービスを受けられる
リース契約の場合は、リース商品のメーカーと保守契約を結ぶことで、定期的なメンテナンスや故障した時に無料で修理をしてくれます。新品商品を購入した後の保証期間がずっと続くというイメージです。
中古品を購入した場合や譲り受けた場合は、修理に時間がかかったり多額の料金が発生する可能性があります。飲食店の運営を長い目で見るなら、リースを利用することがサポート面では充実しているでしょう。
店舗デザインでリースを利用するデメリット
飲食店の店舗デザインでリースを利用するデメリットは以下の4つです。リースにもこれらのようなデメリットがあります。デメリットを理解した上で、検討を進めましょう。
- 審査に落ちる可能性がある
- 最終支払い金額が高くなる
- 契約期間が決まっている
- リース商品の所有権はリース会社にある
審査に落ちる可能性がある
リース契約にも支払い能力の審査があります。貸し借りの契約になるため、それなりの信用度が必要です。それほど心配する必要はありませんが、以下の条件に当てはまる方は審査に落ちる可能性があります。過去を振り返り、審査に落ちる要素がないかを確認してみてください。
- クレジットカードなどの支払いに遅れたことがある(現在・過去問わず)
- 携帯電話の料金支払いに遅れがある(現在・過去問わず)
- 住宅や車のローンなどの支払いに遅れがある(現在・過去問わず)
最終的な支払い金額が高くなる
リース契約をすると、最終的に支払う金額が新品購入よりも高くなってしまいます。これは最大のデメリットといっても過言ではないでしょう。リース契約は平均2%程度の料率(手数料)が設定されているため、毎月払う金額に手数料分が上乗せされます。簡単にたとえると、クレジットカードの分割払いです。
最初に払う金額は抑えれるものの、毎月払う金額に利息が乗り、最終的には一括で支払うよりも金額が高くなります。最終的な金額が割高になっても初期投資を削減できるのをよしとするかしないかは、開業する予算と相談して決めるといいでしょう。
契約期間が決まっている
リースは長期間の契約が前提であり、一般的に6年で結ばれることが多いです。6年の間は途中解約ができません。そのため開業から4年で閉店したとしても、2年分のリース契約の残額を支払う必要があります。リース会社によって契約期間は異なりますが、途中解約ができない(違約金が発生する)ことを頭に入れた上で契約をしましょう。
リース商品の所有権はリース会社にある
リースで借りている厨房機器や家具の所有権はリース会社にあるため、勝手に処分や譲渡ができません。すべてにおいて、リース会社を通す必要があります。また、リース契約の期間が終了した後も、その機器や家具を使用したい場合は、再度リース契約をするか買い取りをするかの方法があります。リース会社によっては、再契約や即日買い取りに応じてくれない場合もあるので注意が必要です。
リース契約はメリット・デメリットを理解して検討しましょう
この記事では、飲食店の開業の際に検討すべきリースのメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。この記事の重要なポイントは以下の通りです。
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リースはリース会社から機器や家具を長期間借りることを前提としている
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リースを利用することで厨房機器にかかる初期費用を削減でき運転資金に回せる
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リース契約をすると固定資産税がかからず毎月のリース料金を経費計上できる
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閉店やいらなくなったさいにリース会社が引き取るため処分しなくていい
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メーカーと保守契約を結ぶことで新品購入時と同じサービスを受けられる
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ローンなどの支払いに遅延があるとリース契約の審査に落ちる可能性がある
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リース会社の手数料が乗るため、最終支払いが新品購入より高くなる
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契約期間が決まっているため、途中解約ができず残額を払わなければならない
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リース商品の所有権はリース会社にあるため勝手に処分や譲渡できない
これらのポイントを抑えて、リース契約をうまく活用し開業資金を削減しましょう。私たちTO(ティーオー)は、飲食店の設計を得意とするデザイン設計事務所です。私たちのデザインしたデザイン事例はこちらのページをご参照ください。