玄関の「上がり框(あがりかまち)」という言葉はご存知でしょうか。初めて耳にされる方も多いのではないでしょうか。しかし、実は多くの家の玄関に、この「上がり框」が見られます。この記事では上がり框の意味や効果、豊富なデザインなどを解説します。
また、理想のイメージを伝えたと思っても実際、思い通りにならなかったということがあります。こちらの記事ではデザインイメージの伝え方について詳しく解説しています。合わせてご参照ください。
「上がり框(あがりかまち)」とは
玄関框(げんかんかまち)とも言われ、玄関で靴を脱いで上がる段差の側面についている横木のことです。フローリングなどの床材の断面を隠すために取り付けれています。玄関で靴を脱ぐ習慣がある日本ではとても重要な役割を果たしています。では、ここから上がり框についてより詳しく解説していきます。
そもそも框(かまち)とは
框とは床の間や玄関などで使われる横向きに取り付けられる部材のことを言います。框には、接続部分を隠し、見た目を良くする目的の他、強度を高める目的があります。玄関框以外には、床の間につけられる床框(とこがまち)や縁側に設けられる(えんがまち)などがあります。
上がり框で得られる効果
住宅の内と外を分ける境界線になる
靴を脱いで家に上がる日本では、上がるは靴を脱ぐ所の境界線としてとても大切です。上がり框がないとどこで靴を脱いでいいのか分からず、来客時にお客さんが戸惑うことがあります。また、境界線がないことで、脱いだ靴が目立ちやすくなってしまいます。上がり框を設けることで、オンオフ、中外を切り替える境界線ができます。
靴の脱ぎ履きがしやすい
スニーカーなどすぐに履くことができる靴であれば大丈夫ですが、ブーツや紐を結ぶ必要がある靴は座って履く場所があればとても便利です。また、上がり框があることでお年寄りや子供も座ってゆっくり履くことができます。靴を脱ぐ際の泥や汚れも家に入ることがありません。
コミュニケーションの場になる
玄関は住まいの顔ともなる場所なので、上がり框があることで様々な効果が得られます。上がり框には少し高さがあり、そこに座って靴を脱ぎ履きすることで、来客時にも座って話をすることができます。わざわざ家に上がって話すほどでもない来客時や近所の人と、上がり框で話すといった経験がある方も多いのではないでしょうか。
玄関に個性を出すことができる
上がり框は様々な種類のデザインがあります。色や素材を変えるだけで、玄関のイメージはガラッと変わります。上がり框はほとんど高さのある段差にあるので、あえて異素材やカラフルな色にすることでアクセントにもなります。
上がり框の様々なデザイン
曲線のある上がり框
上がり框には様々な色や素材があると言いましたが、実際にどのようなデザインの上がり框があるのでしょうか。直線で上がり框が多く見られますが、曲線の上がり框にすることで、家に入った瞬間からやわらかい雰囲気を感じられることができます。子供がいる家や来客が多い家はこういった上がり框にすることで、可愛さを出すこともできます。
斜めラインの上がり框
曲線とは違って直線で斜めラインの上がり框にすることでスタイリッシュな雰囲気を作り出すことができます。斜めにすることで、土間の部分を伸ばし、空間が広く見える効果もあります。賃貸物件などで特によくみられますね。空間を広く見せる上がり框として他にL字型のデザインもあります。
床材と違う素材の上がり框
ほとんどの玄関は、上がり框と床材が同じ素材、色のことが多いですが全く別の素材を使うことでアクセントが生まれます。例えば、白いフローリングに対して黒の上がり框を使うことで締まった雰囲気を作り出すことができます。
石の上がり框
素材を大理石やタイルにすることで、上質な雰囲気が出ます。石やタイルはカラーバリエーションも比較的多く、耐久性も高いのでよく好まれる素材です。色見も綺麗なのでホテルライクな空間にできます。
上がり框デザインのポイント
上がり框を設置する上でいくつか押さえておきたいポイントがあります。それは高さと耐久性です。ご年配の方や子供がいる家では、躓かないように低めの上がり框にしておいた方が安全です。また、バリアフリーを意識するのであれば、上がり框だけでなく手すりや踏み台を設置しておくといいかもしれません。
耐久性としては、上がり框は人が上り下りするところで負荷がかかるので強度と耐久性が高い素材であることが望ましいです。先ほども紹介したように、石材は耐久性に優れています。木材が定番の素材として多く使われますが、耐久性を特に重視したい方であれば石材をオススメします。
上がり框の高さ
上がり框の高さの基準は特に設けられていません。前述の通り、その建物や利用する人によって調整することが大切です。しかし、一般的には10~300mmの間で設計されることが多いです。ハウスメーカーの戸建住宅では150~170mm程度、賃貸住宅で50~70mmが多いです。また国交省が定めるバリアフリー住宅の基準では、戸建てが180mm以下、集合住宅が110mm以下とされています。
まとめ
上がり框は、住まいの顔である玄関の中で特にこだわりたい部分です。今まで意識していなかった人が多いと思いますが、家の印象を決定付ける部分であるとともに毎日使う場所なので、使いやすさもとても大切です。それぞれの家族構成やライフスタイルに合った上がり框のデザインを選びましょう。
株式会社TO(ティーオー)は、内装を得意とするデザイン事務所です。お客様にとって「心地よい空間とはなにか」という問いに対して真摯に向き合い、お客様に最適なプランニングをしております。
ご相談いただくお客様の中には、店舗デザインに関わったことがない方も多くいらっしゃいますので、「要望の伝え方がわからない」という方も安心してご相談ください。みなさまからのお問い合わせを、心よりお待ちしております。
デザイン事務所と相談して店内レイアウトを決めたい場合は、どの様なデザイン事務所を選んだら良いのでしょうか。こちらの記事で解説しておりますので、ぜひご参照ください。