このように、飲食店の店舗デザインを考える際、半個室にするかどうか悩まれているオーナーの方は多いのではないでしょうか。この記事では、半個室を導入する際の店舗デザインのポイントを詳しく解説します。
店舗に半個室を設けることは集客・売上にメリットととして働きます。しかし、半個室を設けることのデメリットを理解していないと導入後に後悔してしまう可能性が。半個室を設けることで後悔しないためにも、この記事をチェックしてみてください。
半個室とは?
半個室は、完全に仕切られていない個室のことをいいます。声が筒抜けになる個室が半個室になるとイメージするといいでしょう。ついたてやカーテン、ブラインド、のれん、障子などで仕切っているものや、壁の上部が空いているのものが多いです。
完全個室と半個室の違いとは?
完全個室と半個室の違いは、四方を完全に仕切られているかどうかです。完全個室は、四方を壁や扉で完全に仕切られている空間をいいます。隣同士の会話がほぼ聞こえない状態が、完全個室に当てはまるでしょう。話し声の他にも視線や音、においなども遮られます。半個室は、簡易的な仕切りになるので、話し声や視線、音、においなどが遮られることはありません。
半個室を導入するメリット
半個室を導入するメリットは、以下3つです。
- 部屋ごとに異なった空間を作り出せる
- 完全個室より費用がかからない
- 客単価アップを狙える
上記の3つのメリットを詳しく見ていきましょう。
部屋ごとに異なった空間を作り出せる
部屋ごとに異なったコンセプトの空間をつくることが可能です。たとえば、ひとつの部屋はアメリカンな空間で、もうひとつは北欧ベースの空間など。さまざまなコンセプトの空間をつくることができるので、他の店舗と差別化を図りやすいでしょう。
完全個室より費用がかからない
完全個室は四方を全て壁で囲う必要があるので、工事費用が高くつきます。加えて、空調効率や換気対策を考慮しなければならないので、設備の費用も多くかかる傾向にあります。一方、半個室はカーテンやパーテーションなどの簡易的な仕切りでいいので、仕切りの設置費用は安くすみます。また、空調効率や換気対策も一室ごとに考える必要がないので、完全個室より安く済むでしょう。
客単価アップを狙える
半個室にするとお客さまの滞在時間が伸びます。滞在時間の長さと客単価の高さは比例するので、客単価のアップが見込めるでしょう。しかし、落ち着けてリラックスできる空間に限られます。半個室にするのであれば、居心地のいい空間を作らなければなりません。居心地のいい空間を意識して、半個室をつくるようにしてください。
半個室を導入するデメリット
半個室を導入するデメリットは「回転率が落ちる」と「広い物件を選ぶ必要がある」の2つです。2つのデメリットを考慮した上で、半個室の導入を考えるといいでしょう。
回転率が落ちる
回転率を重要視する業態の半個室の導入はよく考えてから行いましょう。居心地の良い空間にするとどうしても回転率が落ちます。半個室は長居できるのが前提となるため、回転率が落ちると考えていいでしょう。回転率が落ちる分、客単価が上がるので、客単価で勝負する業態の半個室の導入が最適です。
広い物件を選ぶ必要がある
ひとつの半個室をつくるとなると、テーブル席をひとつ作るより多くの面積を使います。半個室のお店にする場合は、テーブル席の店舗より広い物件を選ばなければなりません。何室用意するかによって必要な物件の広さが変わるので、逆算しながら物件の広さを考えるようにしましょう。
飲食店で半個室を導入する際のポイント
飲食店で半個室を導入する際に気をつけるべきポイントは、以下4つです。
- 店舗の雰囲気に合わせた素材で統一
- 料理提供の効率を考えたデザイン設計
- 居心地のいい空間幅の確保
- 空調・換気設備の導入
上記4つを意識することで、集客・売上で悩む可能性は低くなるでしょう。
店舗の雰囲気に合わせた素材で統一
半個室ごとにコンセプトを変えないのであれば、店舗全体の素材は統一すべきでしょう。仕切りがひとつはカーテンでもう一つがパーテーションだと、違和感が生まれます。店舗全体として統一感をだすことで、お客さまに与える違和感をなくすことができるので、居心地いい空間をつくることができます。
料理提供の効率を考えたデザイン設計
半個室を導入するなら、料理の提供効率も考えなければなりません。カーテンやパーテーション、ふすまなどは開け閉めが必要になるため、料理の提供に手間がかかります。半個室のすぐ近くに料理をおける小さなテーブルなどを置いておくといいでしょう。小さなテーブルがあるだけで、料理の提供効率が大幅によくなります。
居心地のいい空間幅の確保
机とイスの幅は50cm前後を確保するようにしましょう。半個室をテーブル席にする場合は、イスの後ろに人が1人通れる幅(最低50cm以上)を設ける必要があります。圧迫感がないように、居心地のいい幅を確保することが重要です。
空調・換気設備の調整
半個室は、オープン型の席と比べて空気がこもりやすく、温度が上がりやすいです。空気の循環や温度上昇の対策を考える必要があります。全体にまんべんなく空調が効くように高機能な空調の導入や、においがこもらないように高機能な換気設備を導入すべきでしょう。また、ひと部屋のみ空調が効きすぎたり空調が効かないなどを防ぐために、全席に1度座って空調の効き具合を確認するようにしてください。
エステサロン・接骨院などで半個室を導入する際のポイント
エステサロンや接骨院で半個室を導入する際は、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 雰囲気のいい空間づくり
- 施術がしやすい動線の確保
- 照明の明るさの調節
上記3つのポイントをそれぞれ詳しく解説していきます。
雰囲気のいい空間づくり
エステサロンや接骨院に求められるのは、リラックスできる空間。店舗のコンセプトに沿って、リラックスできる空間づくりに努めましょう。リラックスできる空間づくりに最適なのは、落ち着く色で統一すること。青色や緑色がリラックス効果をもたらします。また、観葉植物や観賞魚を置くこともリラックス効果にぴったりでしょう。できるだけ多くの観葉植物や観賞魚を置くと効果的です。
施術がしやすい動線の確保
スタッフが施術しやすい環境を作ることも重要です。右側と左側に行き来がしやすい幅の確保が求められます。最低でも60cm以上の幅があるといいでしょう。60cm以上の幅があると、施術をするスタッフの動線に関するストレスを軽減できます。
照明の明るさの調節
エステサロンや接骨院の照明は、電球色や温白色にしてリラックスできる空間にするといいでしょう。電球色や温白色はオレンジ色で温かみがあり、人にリラックス効果を与えます。また、照明の明るさは抑えめにするといいでしょう。特に、エステサロンは薄暗い明るさがちょうどいいです。
まとめ
この記事では、半個室を導入する際の店舗デザインのポイントを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 半個室は、完全に仕切られていない個室のこと
- 半個室ごとに異なったコンセプトの部屋を作れる
- 完全個室に比べて初期費用を安く済ませられる
- 回転率を重視している店舗に向かない
- 半個室の近くに小さいテーブルを置くなど、料理提供の効率を考えたデザイン設計をする
- 机とイスの幅は50cm前後を確保、イスの後ろに人が1人通れる幅(最低50cm以上)を設ける
- 空調・照明がまんべんなくいきわたるように高機能な空調設備の導入と照明の配置をする
半個室はメリット・デメリットのどちらも持ち合わせているので、お店のコンセプトに合わせて導入を決めるといいでしょう。半個室の導入で集客力を上げるためにも、上記のポイントを参考にしてみてください。
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