このように、回転率を重視した飲食店の店舗設計で悩まれているオーナーの方は多いのではないでしょうか。この記事では、飲食店で回転率を上げるために必要な店舗設計のポイントを詳しく解説していきます。
飲食店の回転率は、お店の売り上げに関わる重要な部分。単価の低い飲食店では、回転率を上げることが求められます。しかし、回転率を上げるために安易な考えで店舗設計をしてしまうと、お客様の居心地が悪くなってしまう可能性があります。回転率を上げる店舗設計で失敗しないためにも、ポイントを抑えておきましょう。
こちらの記事では、店舗の居心地について詳しく解説しています。回転率を考えると同時に、こちらも合わせてご参照ください。
飲食店の回転率を意識する上で重要なこと
回転率のいい飲食店の店舗設計を考える上で、まず決めるべきポイントは、「ターゲットの選定」です。ターゲットの選定が明確になることにより、店舗のデザインで必要な部分と不必要な部分の選別ができるようになります。
たとえば、ラーメン屋さんで会社帰りのサラリーマンをターゲットする場合は、カウンター席をメインにしてテーブル席を用意する必要はないでしょう。一方、ファミリー層をターゲットとして入れる場合は、テーブル席の設置が必須となります。
ターゲットの選定を明確にすることで、店舗設計をする際に回転率を上げる戦略をスムーズに決められます。まずは、出店する地域をリサーチして、どの層をターゲットするかを慎重に明確に決めてみてください。
飲食店の回転率を上げるホールと厨房の面積比率
基本的な飲食店のホールと厨房の比率は、6:4 とされています。しかし、回転率を重要視した飲食店のホールと厨房の比率は、8:2 で設計を考えると良いでしょう。
回転率が重要な飲食店の場合、提供する料理や飲み物のレパートリーがある程度決まっており、不必要に厨房を広く取る必要がありません。厨房のスペースを削減する分、客席数を増やして売上につなげましょう。1坪あたり2席〜3席くらいを目安に客席を用意しましょう。
飲食店の回転率を上げる店舗設計のポイント
飲食店の回転率を上げる店舗設計のポイントは以下の7つです。
- 立っている状態に近づける
- カウンター席を多く導入する
- 1人席の比率を多くする
- 照明を明るくする
- 内装に暖色を多く使用する
- 厨房の動線を短くする
- ガラス張りにする
ただし、前述の通り、回転率を重視しすぎると、お客様に過剰な不快感を与え、次回の来店を妨げる可能性があるので注意してください。何事もバランスが大切です。それでは、詳しくみていきましょう。
①立っている状態に近づける
牛丼チェーンや駅前のそば屋さんなどで導入されている手法です。高めのテーブルや椅子を導入して、お客さまを立っている状態に近づけます。人は、立っている状態に近いと「早く食べて外に出よう」という心理状態になると言われています。この心理を上手く利用することで、回転率を上げることができるでしょう。また、最近では、食べにくい高さの椅子を導入するよりも、いっそのこと立ち食いスタイルにしている大衆居酒屋やバルも人気です。
②カウンター席を多く導入する
回転率を求めるのであれば、カウンター席とテーブル席の比率を9:1もしくは8:2にしましょう。カウンター席は、対面でゆっくり話すことができないため、お客さまの長居を意図的に防ぐことができます。加えて、空席率も下げることができるので、流動効率があがります。
③1人席の比率を多くする
1人席の比率を多くすることも、回転率を考える上では重要なポイントです。極端な例ですと、カウンターでも仕切りなどを活用し、1人で食べることを意識させる店舗もあります。特に、ラーメン屋やそば屋などは、混む時間帯がある程度決まっています。限られた時間でどれだけ回転数を稼げたかが売上に直結するため、ターゲットの客層によっては、1人席の割合を8割〜10割で考えるといいでしょう。
④照明を明るくする
店内の照明も回転率に大きく関わってきます。回転率を高くするには、白っぽい明るい色の昼白色の蛍光灯などを活用するといいでしょう。白い明かりは、決断力を活発化させ行動力を上げる効果があります。
反対に、回転率を重視する場合は、暗めの照明は避けましょう。暗い照明は、安心感やリラックス感を与えるため、過度に居心地のいい空間を作り出してしまいます。回転率を高めるためには、昼白色の照明を使用してできるだけ明るい空間作りをしてみてください。
⑤内装に暖色を多く使用する
内装の色も回転率を高めるポイントのひとつです。内装には、赤色やオレンジ色などの暖色系を多く使用しましょう。赤い内装を多く使用する中華料理店がイメージしやすいですね。
暖色系は、人に興奮効果をもたらしエネルギーを消耗させる色の代表格です。時間の経過を早く感じさせるため、回転率を高めるのに最適でしょう。加えて、人の注意を引きやすい色であり、料理をおいしく見せる色でもあるので、料理を提供する飲食店にピッタリです。回転率を重要視した飲食店は、赤やオレンジを中心とした内装の配色で店舗設計をしてみてください。
⑥厨房の動線を短くする
スタッフの作業効率を考えることも、回転率を高める重要な要素のひとつ。オーダーを受けてから、料理を提供するまでの動線をできるだけ最短にしましょう。厨房の配置が複雑だと、オーダーを受けてから料理の提供までが遅くなり、回転率が悪くなってしまいます。
提供する料理の行程を洗い出し、厨房の配置を最適化することが回転率の向上の近道です。客席比率などホールのことだけでなく、厨房にもしっかりと焦点を当てて効率的な動線の設計をしましょう。
⑦ガラス張りにする
ガラス張りにして、心理的プレッシャーを与えるのも、回転率を高めるのに効果的です。外から見られている感じがすると、お店の中のお客さまは、早く食べて外に出ようという心理状態になると言われています。
加えて、繁盛店の場合は、さらに外に行列ができていると、人を待たせているという心理的プレッシャーをかけることで、食べたら早く外に出ようという心理状態がより高まるでしょう。壁で遮らずガラス張など、外のから中が見える空間作りをしてみてください。
回転率と居心地のバランスが重要
この記事では、飲食店で回転率を上げるために必要な店舗設計のポイントを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 回転率を高める店舗設計をするためにまずはターゲット選定を明確化する
- 回転率を重要視する飲食店のホールと厨房の比率は8:2にする
- 客席数は1坪あたり2席〜3席を目安に設計する
- 高いテーブルと高い椅子を活用して、立っている状態に近づける
- カウンター席中心のお店にする。カウンター席とテーブル席の比率は8:2もしくは9:1が最適
- 仕切りなどを用いて1人席をできるだけ多く作る
- 白っぽい明るい昼白色の照明にして暗い照明は避ける
- 赤色やオレンジ色などの暖色系を内装の中心の色にして青色や緑色などを避ける
- オーダー受けてから料理を提供するまでの最適な動線を厨房の配置で設計する
- ガラス張りなど導入してお客さまに心理的プレッシャーを与える
飲食店の店舗設計で回転率を高めるには、客席や色、照明などさまざまなポイントを考慮する必要があります。上記のポイントを押さえて、回転率を高める店舗設計を成功させましょう。
こちらの記事で掲載している店舗の画像のほとんどは、私たち株式会社TOでデザインいたしました。私たちのデザイン事例はこちらをご参照ください。気になるデザインがございましたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。