このように、店舗兼住宅の開業を考えているけど、一歩を踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。この記事では、店舗兼住宅を開業する際のポイントから店舗兼住宅のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
店舗を住居とは別に持つとなると、家賃がかかるし通勤に時間がかかるという理由で、店舗兼住宅を考える方が近年多くなってきています。しかし、店舗兼住宅を成功させるためのポイントやデメリットを理解せず開業してしまうと、後に痛い目をみることになってしまう可能性が。店舗兼住宅で失敗しないためにも、ぜひこの記事で成功のポイントをチェックしてみてください。
私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。私たちTOのデザインの強みに関しましては、こちらのページにて詳しく解説しています。ぜひこちらもわせてご参照ください。
店舗兼住宅を成功させるポイント
店舗兼住宅を成功させるポイントは以下5つです。
- 立地の選定
- 店舗を設けるのは基本的に1階の区画
- 住宅と店舗の動線を分ける
- 店舗はお客さまの利便性を考慮する
- 近隣への配慮
上記5つは、店舗兼住宅を開業するのに必ず取り入れ・実践すべきポイントです。5つを押さえて店舗兼住宅を成功に導きましょう。
立地の選定
店舗兼住宅を成功させるには、立地の選定が必要不可欠です。立地の選定に失敗してしまうと、集客が上手くいかず売上を獲得するのに苦労することになってしまいます。
まずは、店舗のコンセプトをしっかり立てて、どの層をターゲットとするかを明確にしてみてください。狙うターゲットを明確にすることで、どの地域で開業すべきかが分かってきます。
また、店舗兼住宅はどこにでも出店できるわけではないということも覚えておきましょう(後の章で詳しく解説します)。自由に出店立地を決められるわけではないので、出店候補の地域周辺の分析をして慎重に立地を決める必要があります。
店舗を設けるのは1階の区画
基本的に、店舗兼住宅で、店舗を設けるのは1階部分にしましょう。1階を住居として使用し、2階を店舗にした場合、集客で苦労する可能性が高くなります。階段を登るという動作が、お客さまが来店する際の障壁となってしまいます。「隠れ家」など明確なコンセプトがない場合は、1階での店舗運営をおすすめします。
住宅と店舗の動線を分ける
店舗兼住宅は、「1階と2階で店舗と住居を分ける」と「1階部分で店舗と住居を分ける」パターンの2種類があります。一般的に「1階と2階で店舗と住居を分ける」を採用する店舗兼住宅が多いです。
しかし、中には「1階部分で店舗と住居を分ける」を採用する場合もあるでしょう。1階で分ける場合は、セキュリティ面や将来貸すことをを考えると、壁で完全に分けるべきです。
また、飲食店を運営する場合は、店舗と居住部分を壁や仕切りなどで分けていないと、保健所の検査で引っかかる可能性が高いので注意してください。
お客さまの利便性を考慮する
自分達が暮らす住居は、自分達が暮らしやすようにデザイン・設計をすれば問題ありません。しかし、店舗の部分は話が変わってきます。さまざまなお客さまが利用しやすいように、デザイン・設計する必要があります。
たとえば、高齢者の方や障害を持っている方などが、何の問題もなく過ごせるようにバリアフリーを取り入れる。車で来店される方用に駐車場を設けるなどが挙げられるでしょう。お客さま目線に立って、何が必要かを見極めながら店舗のデザイン・設計をする必要があります。
近隣への配慮
住宅兼店舗を始めるなら近隣への配慮も欠かせません。特に、飲食店などの遅くまで運営する店舗や臭いを発する店舗は、必ず近隣のことを考えた対策をとる必要あります。近隣への配慮が欠けてしまうと、トラブル発生の原因になってしまう可能性が高いです。円満に営業をするためにも、近隣への配慮を欠かさずおこないましょう。
店舗兼住宅のメリット
店舗兼住宅にするメリットは以下3つが挙げられます。
- 住宅ローンで店舗兼住宅を造れる
- 経費計上することができる
- 固定資産税が優遇される
基本的なメリットは、お金が関わる点だと思っておくといいでしょう。
住宅ローンで店舗兼住宅を造れる
一般的な店舗独立型を造る場合、住宅ローンを使用することができません。しかし、店舗兼住宅の場合は、住宅ローンを使用できる可能性があります。銀行によって住宅ローンを借りる際の条件・基準は異なりますが、以下2つは共通しているポイントなので押さえておきましょう。
- 店舗部分を除く住居部分の床面積が、建物全体の床面積の1/2以上であること
- 店舗部分が自己で使用するものであること
上記2点が守られているいると、住宅ローンを借りれるかもしれません。しかし、店舗兼住宅で住宅ローンが組める銀行は少ないので、事前に調べておく必要があります。自宅の部分だけを住宅ローン控除にすることもできる場合があるので、併せて覚えておくといいでしょう。
経費計上することができる
店舗で使用した分と住居で使用した分の電気・ガスなどの公共料金や通信費、保険料などは、経費として計上することができます。全額計上できるわけではありませんが、店舗利用分との按分(あんぶん)で計上できます。また、建物や設備などの一部の減価償却費を経費にすることができるので、覚えておくといいでしょう。
固定資産税が優遇される
店舗だけのために建物を立てた場合と店舗兼住宅にした場合を比べると、店舗兼住宅には節税効果が期待できるでしょう。固定資産税は、毎年1月1日に固定資産税評価額の1.4%の固定資産税を課税します。
しかし、建物の床面積の1/4以上が居住スペースの場合、居住スペースにの面積に対する固定資産税の軽減処置が受けられます。基準をクリアしていればになるので、市役所に確認をしておきましょう。
店舗兼住宅のデメリット
店舗兼住宅にするデメリットは以下3つです。
- 用途制限によって自由に店舗を設けられない
- プライバシーの確保が難しい
- 売却が難しくなる
3つのデメリットを理解した上で、店舗兼住宅にするかを決めてみてください。
用途制限によって自由に店舗を設けられない
土地には、用途制限によって、建てることができる建物の種類に制限がかけられています。店舗兼住宅を建てる際は地域が、第一種・第二種低層住居専用地域かどうかを見極めるのがポイントです。
第一種・第二種低層住居専用地域は、原則として店舗を建てることができません。しかし、「住宅に付随する店舗」であれば建築可能です。以下、詳細になります。
- 第一種低層住居専用地域→店舗の床面積が50㎡以下かつ建築物の延べ床面積の1/2未満、機械の出力が0.75kw以下
- 第二種低層住居専用地域→2階以下で床面積が150㎡以下、機械の出力が0.75kw以下
上記の制限以外にも都道府県や市町村が定めている制限がある場合があるので、事前に確認しておきましょう。
プライバシーの確保が難しい
店舗兼住宅は、どうしてもプライバシーの確保が難しくなります。さまざまな人が出入りする店舗との境がないので、思わぬ事件に巻き込まれる可能性もあるかもしれません。しっかりと防犯セキュリティをして、プライバシーの確保に努めることが重要です。
売却が難しくなる
店舗兼住宅をまるごと売ろうとしても、需要が少ないと言われています。店舗兼住宅で開業しようとする人は増えてはきていますが、まだまだ少ないのが現状です。収益面でも居住面でも、悪く言えば中途半端になりがちでもあるので、物件としての価値はなかなか高くなりません。将来的に売却を考えているのであれば、間取りなどの内装に気を遣う必要があります。
まとめ
この記事では、店舗兼住宅を開業する際のポイントから店舗兼住宅のメリット・デメリットを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 店舗兼住宅で、店舗を設けるのは何か問題がない限り1階部分にする
- 店舗部分はさまざまなお客さまが利用しやすいように、デザイン・設計する必要がある
- 店舗兼住宅の場合は、住宅ローンを使用できる可能性がある
- 電気・ガスなどの公共料金や通信費、保険料などは、店舗で使用した分を按分して経費として計上できる
- 建物や設備などの一部の減価償却費を経費にすることができるの
- 居住スペースにの面積に対する固定資産税の軽減処置が受けられる
- 店舗兼住宅を建てる際は地域が、第一種・第二種低層住居専用地域かどうかを見極める
- 店舗兼住宅は、防犯セキュリティをして、プライバシーの確保に努めることが重要
上記のポイントを考慮して、納得のいく店舗兼住宅を創り上げてみてください。私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。お客様と「持続可能なお店」を作り上げることを理念として、店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインしたデザイン事例はこちらのページをご参照ください。