皆さまこんにちは。株式会社TO代表の西口です。今回は店舗の「照明」についてお話します。抑えるべきポイントやお客様を引き付けるコツについて、実際のデザイン事例をもとにご紹介したいと思います。
本編となるYouTube動画では、より詳しく詳細のニュアンスも解説していますので、ぜひYouTube動画もご参照ください。
店舗の照明デザインはなぜ重要なのか
照明によって、空間の在り方変わってしまうということです。業態と光がマッチングさせることがかなり重要になってきます。店舗の照明デザインは、単に空間を明るくする以上の重要な役割を担っています。
店舗の照明デザインの重要性
まずは前提として、重要性の説明をします。商業空間は、不特定多数の方に非日常を味わっていただくという要素があります。なので演出する照明が大切になってきます。 空間の見え方、お客様の見え方、食べ物の見え方、すべての見え方を演出することが店舗の照明計画では求められます。
お客様が欲しいところに必要な光をプランしてあげなければいけません。それと同時に、機能やコスト、デザインのバランスを考え、空間のコンセプトに合わせた、光源を選び、プランすることが大切です。
店舗の照明デザインの目的
次に店舗の照明デザインにこだわる目的について解説します。大きな目的は2つになります。
1つ目は、売上の増加です。詳しくは後で述べますが、魅力的な照明は顧客の滞在時間を伸ばし、売上の向上に直結します。
2つ目は、リピータの増加です。一貫したコンセプトを持つ照明デザインは、顧客に様々な良い印象を与え、リピーターを増やし、ブランディングを築くのに役立ちます。
この二つを大前提として、細かいポイントを抑えていきましょう。
店舗の照明が空間に与える効果
先程ご説明した照明デザインの重要性と目的から照明が与える効果を解説します。これらの効果を得るために、デザインコンセプトを逆算して考えていきましょう。
1.雰囲気とブランドイメージを創造する
まずは、店舗の照明は、お店の雰囲気とブランドイメージの創造に大きな効果を与えます。照明は店舗の雰囲気を大きく左右し、顧客の感情や購買行動に影響を及ぼします。暖かく柔らかい照明は居心地の良い環境を作り出し、明るくダイナミックな照明は活気ある印象を与えます。
さらに、照明はブランドイメージを強化するための重要な要素です。特定の照明スタイルや色温度は、ブランドの特性や価値を象徴し、顧客に一貫した体験を提供します。
2.商品の魅力の強調する
2つ目は、商品の魅力を強調することです。適切な照明は商品の特徴や質感を際立たせ、魅力を高めます。例えば、飲食店では照明が料理の美味しさを強調し、アパレル店では照明が生地の質感や色を表現します。
さらに、照明は顧客の注意を特定の商品や店舗の特定部分に引きつけるのに役立ちます。間接照明などを用いて、見てほしい箇所(調理工程)やイチオシ商品を目立たせる、ということができます。
3.人の意識を誘引する
3つ目は、人の意識を誘引するです。光によって、人は意識を持ってかれます。優しく光っている。刺激的な光が出ている。など光によって「あそこ何?」と意識させることができるのです。それがここでいうお客様の誘引の光の効果です。
イタリアンレストランの照明
このイタリアンレストランのデザインでは、特注のグローブ照明を用いています。
どこか懐かしい空気感を持たせた空間がコンセプト。コンクリートにシンプルな素材を合わすなんてもう見飽きました。と施主を説得したプロジェクトです。
オフィス街の夜にホワッと柔らかい光がともりそして、その光にお客様が引き寄せられて来店される。そんなイメージのお店です。大きな乳白のグローブ球が優しい光で、店内を包み込んでいます。
グローブ照明の他にも、壁面の直付けミラーランプは、レンガタイルの表情を柔らかく浮かび上がらせ、 天井のオリジナルグローブペンダントは、空間全体と梁にある押し花を優しく浮かび上がらせる演出をしています。
焼肉店の切妻天井と照明
2つ目は飛騨高山駅の目の前にある焼肉店の照明です。
日本一の肉質を誇る飛騨牛の繊細なきめ細かい霜降りや筋肉の繊維を「無機質」×「自然素材」で表現するというコンセプトのもと出来上がった店舗です。
その2F部分に採用したのが、チューブライトです。このライトの面白い特徴は、自由な形にできるところです。 この器具の特徴と飛騨牛の霜降りのイメージをリンクさせてライティングプランを行っています。
鮨店のライン照明
3つ目は高級寿司店のライン照明です。
この店舗は、カウンターのL型の形状に合わせ意匠として機能照明を利用しました。光源をあえて強調したライン照明を2辺にいれ、照明の角を際立たせることで、空間にシャープな印象を創り出しています。
さらに、店舗を広く見せるダークミラーへの反射も考慮し採用しているため、コの字のライン照明に見えるところもおもしろい要素です。
壁際に配灯された壁面用間接照明と、カウンター上部のライン照明の交わり方をイメージして、連続性を考えることがポイントです。
高級クラブの天井照明
4つめは、高級クラブの天井の照明です。この店舗は天井高が低い、という欠点がありました。そこで、特注の意匠照明を採用しています。
業態柄、シャンデリアや吊り下げ照明が欲しくなりがちですが、 天高が低い空間を広く見せ、且つ入店したときの見え方の演出を考え、このライティング計画を採用しました。
すべてキーデザインのディティールに造形されたシーリングカバーをオリジナルデザインで製作し、 そこに各テーブルにあてるダウンライトを入れ込んでいます。
また、女性が美しく見えることが大切な業態です。 顔の影が出ないように計画をてあります。 光の反射をイメージしながら計画をすることがポイントです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は店舗の照明デザインの重要ポイントについて、ご紹介させていただきました。
いろんなタイプの照明計画をまとめましたが、何よりも大切なのは、そこにいる人たちが何をする場所なのかをしっかりと理解し、把握したうえで照明計画をすることが大切です。
照明の効果や機能を理解しないと、その空間にいる人達のストレスとなります。その空間で食事をする人や、買い物をする人、働く人に思いやりをもって計画しましょう。