【徹底解説】ラーメン構造とは?壁式構造とは?特徴からメリット・デメリットを詳しく解説します!

ラーメン構造の建築物 建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

お店のリノベーションに伴い、ラーメン構造と壁式構造の特徴を詳しく知りたいと思っているオーナーの方は多いではないでしょうか。

ラーメン構造と壁式構造は、建築業界ではない一般の人には関係ないように思われがちです。しかし、ラーメン構造や壁式構造の特徴や見分け方を知らないと、リノベーションに失敗してしまう可能性があります。

そこで、この記事では、ラーメン構造と壁式構造の基礎知識からメリット・デメリットを詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。また、こちらの記事では建築工法のツーバイフォー工法について解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。

ラーメン構造とは【基礎知識】

ラーメン構造と壁式構造のメリットデメリット

一見ユニークな名前ですが、ドイツ語の「」を意味するラーメンが由来となって名付けられたのが、ラーメン構造です。垂直方向に建つ柱と水平方向にかけられる梁で長方形を作り建物を支える構造が特徴です。柱と梁フレームで建物を支えるため、壁を必要としません。主に、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に使用されます。

ラーメン構造のメリット

ラーメン構造のメリット

ラーメン構造は、「間取りの自由度が高い」と「空間を広く使える」の2つのメリットがあります。お店の内装でデザイン性を出したのであれば、壁式構造よりもラーメン構造で作られている建物が最適です。

では、なぜ「間取りの自由度が高い」と「空間を広く使える」の2つのメリットが生まれるのかを、これから詳しく解説していきます。

①リノベーションや間取り変更の自由度が高い

ラーメン構造がリノベーションや間取りの変更がしやすいのは、室内の壁に強度を持たせる必要がないためです。壁の配置を考える必要がないので、壁の取り外しや取り付けが簡単にできます。

風通しのよさや見渡しのよさ、動線を考えた間取り構成やリノベーションが簡単にできるのは、お店を運営する側からすると嬉しいポイントとなるでしょう。

また、内装の制限が少ないため、複雑な内装デザインや独特な内装デザインを考えているのであれば、ラーメン構造で作られている建物を選ぶ。または、ラーメン構造でお店を建てるのが適切でしょう。なお、新規開業の内装設計に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。こちらの記事も合わせてご参照下さい。

②空間を広く使用できる

ラーメン構造は、柱と梁で強度を保っているため、必要のない壁を取り除いたり薄くしたりすることができます。広いスペースの確保や吹き抜けの内装デザインが可能になるというわけです。また、高級感のある内装に必要不可欠な開放感のある空間も、ラーメン構造の建物だと簡単に作ることができます。

ラーメン構造のデメリット

ラーメン構造の鉄骨梁(Iビーム)

ラーメン構造のデメリットは主に2つ。2つのデメリットを確認して、ラーメン構造の建物が本当に適しているのかを考えてみてください。それでは、2つのデメリットについて詳しく解説していきます。

①柱や梁の出っ張りによる凹凸が目立つ

建物を支えている柱や梁が内装に張り出してしまうのが、ラーメン構造のデメリットの一つ。柱や梁が内装に張り出すことによって、家具やインテリアが思うように配置できなかったり、室内に圧迫感が生まれてしまう可能性があります。

ラーメン構造の建物は、柱や梁を含めた内装デザインの設計をすることが重要です。また、逆梁工法や逆梁アウトフレーム工法を活用することで、出っ張りをなくすことが可能になります。

②費用が高くなる

ラーメン構造は、材料に高価な重量鉄骨を使用する場合が多いため、必然的に建築費用が高額になります。また、重量鉄骨を使用するとなると、建物の重量が重くなるので、用地の地盤が弱いと地盤改良の工事をしなければなりません。

地盤改良の工事をおこなうと、建築コストも比例して上がってしまいます。他にも、梁の出っ張りをなくす逆梁工法や逆梁アウトフレーム工法を活用すると、その分費用が高くついてしまいます。ラーメン構造で建物を建てる場合は、建築費を多く見積もっておくといいでしょう。

壁式構造とは【基礎知識】

壁式構造の基礎知識

柱や梁で建物を支えるラーメン構造とは違い、壁式構造は耐力壁で建物を支えます。ボックスティッシュを積み重ねるような構造をイメージするとわかりやすいでしょう。強度の関係もあり、低階層の建物に使用されるのが一般的です。

壁式構造のメリット

壁式構造は防音性・遮音性に優れる

壁式構造のメリットは主に以下の3つです。壁で四角形を作って組み立てていく壁式構造は、断熱性や防音性などラーメン構造にはないメリットがあります。

  1. スッキリとした空間になる
  2. 断熱性・防音性に優れる
  3. 耐震性に優れる

お店で快適な空間作りを売りにするのであれば、壁式構造が適しているでしょう。それでは、壁式構造のメリットをこれから解説していきます。

①スッキリとした空間になる

壁式構造は柱や梁の出っ張りがないため、室内がスッキリとした印象になります。家具やインテリアが配置しやすく、店内を綺麗に見せることができるでしょう。また、場合によっては柱や梁がない分、空間が間取り以上に広く感じられるかもしれません。

②断熱性・防音性に優れる

壁式構造に使用される耐力壁は、厚みがしっかりしているため、断熱性・防音性に優れています。冷暖房の効率がよくなるので、快適な空間を作りだすことができるでしょう。

また、外部からの音を厚い耐力壁が遮断してくれるため、静かな空間になります。壁式構造は、こぢんまりとした飲食店や歯科医院、整体院など、静かな環境が求められる業種に適していると言ってもいいでしょう。

③耐震性に優れる

「面」で支えている壁式構造は、耐震性にも優れています。地震による揺れをバランスよく分散させるため、全体に加わる力が弱くなり、倒壊しにくくなるのがポイントです。震度6強の地震が発生した際、壁式構造の建物は倒壊しなかったという調査結果もあります。

壁式構造のデメリット

壁式構造のデメリット

壁式構造のデメリットを簡単にまとめると、内装のデザインに制限がかけられてしまいます。内装デザインに独自性を持たせたいお店には向かないでしょう。壁式構造の建物を建てたり選んだりした後に後悔しないよう、これから解説するデメリットを押さえておいてください。

①リノベーションや間取り変更の自由度が少ない

建物の強度を保つために使われている耐力壁は、簡単に取り外すことができません。そのため、壁を外して間取りを変えたり、リノベーションをするのが難しいです。

リノベーションや間取り変更の自由度は少ないですが、強度に関係ない壁やキッチン、床などはリノベーションできます。最初の段階で、業者に変更できる箇所を確認しておくといいでしょう。

②窓やドアなどの開口部の制限がある

耐力壁はしっかりと計算されて作られているため、窓やドアなど開口部分の場所や大きさ、数に制限が設けられてしまいます。

たとえば、車いすが通れるようにドアの大きさを広くしたい場合、壁式構造そのものを変えることは非常に困難です。リノベーションによる開口部の変更は難しいので、建物を建てる設計の段階で、将来を見据えた開口部の設計をしておく必要があります。

まとめ

ラーメン構造と壁式構造の基礎知識

この記事では、ラーメン構造と壁式構造の基礎知識からメリット・デメリットを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下のとおりです。

  • ラーメン構造とは柱と梁フレームで建物を支える構造
  • 壁式構造とは耐力壁で建物を支える構造
  • ラーメン構造は壁を必要としないので間取りやリノベーションが自由にでき空間を広く使える
  • 柱や梁が出っ張ってしまうラーメン構造は家具やインテリアの配置が難しい
  • ラーメン構造は材料に重量鉄骨を使用し地盤改良の工事が必要となる可能性が高いため費用が高くなる
  • 壁式構造は柱や梁の出っ張りがないためスッキリした空間になる
  • 壁式構造は厚みのある耐力壁で囲むので断熱性・防音性に優れている
  • 「面」で支えている壁式構造は地震の揺れを分散させるため倒壊しにくい
  • 壁式構造の耐力壁は取り外しができないのでリフォームや間取り変更に制限がある
  • 壁式工法の壁は計算されて作られているため開口部の場所や大きさや数に制限がある

ラーメン構造と壁式構造のどちらを選ぶかは、内装のデザイン性か快適性のどちらを重要視するかで変わってくるでしょう。上記のポイントを参考にして、ラーメン構造と壁式構造で後悔しないようにしましょう。

我々株式会社TOは内装デザインを得意とするデザイン設計事務所です。これまで多数の店舗やオフィスの設計事業を手掛けてまいりました。また、デザインに関してのみならず、店舗の物件選びについてのご相談も承っております。

店舗の内装デザインや物件選びに関して疑問やご不明点がある方は、ぜひ一度我々にご相談下さい。また、こちらの記事では木造やRC造といった構造材について詳しく解説しております。こちらの記事もぜひご参照下さい。