新しく店舗を開業したい、店舗の内装をリニューアルしたいなど、店舗の内装デザインに興味がある方は多いと思います。その中でもまず気になるのが費用です。しかし、調べても専門用語ばかりで難しく断念される方も多いはずです。
そこで今回は基本的な知識である「坪単価」「施工費」について説明いたします。また、坪単価や施工費の決定方法や見積もりの方式はこちらの記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。
坪単価とは?
「坪単価」は一坪あたりの工事にかかる料金を示す言葉です。「坪」は日本古来の面積を表す単位です。メートルで表すと約3.3㎡でおおよそ2畳分の大きさを示します。通常は建物本体価格を坪(床面積の合計)で割った数値が坪単価とされます。
坪単価の求め方
施工費÷坪数で求めることが出来ます。坪単価を知ることにより施工費がおおよそいくらか知ることができます。
20坪(約66.1㎡)の店舗工事費の坪単価が40万の場合
20坪×40万=800万円ということになります。
店舗の坪単価相場感(デザイン設計料を含めた場合)
施工費も店舗の業種やデザイン、規模や用いる材料により大きく異なり、相場を一概に言うこと出来ません。先程同様に、一般的に厨房等の施設が必要な飲食店や、専門的な設備が必要な歯医者等は費用は高い傾向にあります。
また、スケルトン物件(配管がむき出しで、床や壁がコンクリートの状態で何もない物件)の場合、工事は始めからする必要があります。そのため費用は高くなります。一方で居抜き物件(過去に使用された店舗の内装、設備等が残ったままの物件)を利用すると多くの場合施工費は低価格で済みます。
ここからは業種別に内装工事の坪単価相場を紹介します。業種によって坪単価は大きく変わってくるので、自分の店舗がどの業種に当てはまるのか確認してみましょう。一つの目安として、デザイン性と機能性を必要とされる場合の目安をご紹介します。
飲食店の施工費(坪単価)
飲食店で内装工事を依頼する場合は、店舗の広さと必要な厨房設備によって大幅に変動することを覚えておきましょう。基本的に坪単価は、店舗が小さくなるほど上がります。
例:スケルトン物件から設備も含めた居酒屋を計画する場合
物販店の施工費(坪単価)
物販店が安く抑えられる理由は、特別な設備機器がほとんど必要ないこと。物販店で必要な設備といえば商品を陳列するショーケースなどですが、ほかの業種よりも比較的安いので工事費がそんなにかかりません。
例:坪数10~30坪の服飾品店を計画する場合
とはいえ、宝飾品店など高級感を演出しなければいけないような店舗は例外です。そのような店舗は坪単価100万円ほどかかることもあります。物販店は扱う商品によって相場がかなり変動するのです
美容関係の施工費(坪単価)
今回紹介する業種のなかでいちばん坪単価が高いのが美容関係。美容関係は坪単価が高くなることも多いですが、だからといって機材のランクや数を減らすのはおすすめできません。あまりに質素だと集客へも影響してくるため、予算が足りない場合は内装をシンプルにするなど、ほかの費用で節約できないかデザイナーと話し合ってみてください。
例:坪数20~70程度の美容室を計画する場合
物販店と違い、美容関係は必要な設備が多いことが高い理由の一つです。とくにエステティックサロンの場合は大型機材がメインのため、美容室よりも高めになるケースが多くなります。
坪単価と一緒に押さえておきたい施工費とは?
居抜き物件などで頻出する施工費は、工事費用を示す言葉です。施工費は、材料費を含まない工事にかかる技術的な費用のみを示す場合が多いです。大きくわけて「建築工事費」と「設備工事費」に分けることが出来ます。
建築工事費
建築工事費は、工事を円滑に進めるために一時的に行われる「仮設工事」、ガラスをはめ込む「ガラス工事」、壁などに塗装を行う「塗装工事」「内装仕上げ工事」などにかかる費用です。
設備工事費
設備工事費は配電設備や送電設備を設置する「電気工事」、災害に備えて行われる「防災工事」、エアコンの設置などを行う「空調工事」、水道設備を設置する「水道工事」などにかかる費用です。
その他の店舗設計にかかる必要費用
施工費以外にも店舗を開業する際には、様々なコストがかかります。ここでは代表的な費用項目と相場観を解説します。ただし、これらのコストは、店舗の業態、立地、依頼する設計会社により、大きく変動いたします。そのため、具体的な目安というよりかは、大まかな相場観としてお控えください。
実際に皆様の店舗設計にどのような費用がかかるかは、設計の依頼を予定している設計事務所に早い段階でご相談されることをおすすめします。もちろん私共株式会社TOにもお気軽に附ご相談ください。デザイン設計事務所の選び方は、こちらでも詳しく記載しています。合わせてご参照ください。
テナント契約の場合:物件を手に入れるための費用
テナント契約(賃貸契約)の場合、物件を物件を手に入れるための費用が発生します。これには敷金や仲介手数料等が必要になります。
1.保証金
保証金は契約後に、万が一賃料を滞納した場合の保険的な費用です。物件によって様々ですが、一般的に賃料の10ヶ月分が相場です。例えば、賃料が月に30万円である場合、保証金として300万円支払うことになります。
保証金は、保険的な費用であるため、退去する場合に返還されると思われがちですが、そうではありません。保証金には償却分というものがあり、借りている年数が長くなるほど退去時の返還は少なくなります。賃貸契約書に記載がありますので、きちんと確認しておきましょう。
2.礼金
礼金は、形式的に貸主(オーナー)に対し、建物を貸してもらうためのお礼として支払うものです。保証金と違い、契約解除時に返却されることはありません。日本独自のしきたり的な費用のため、最近では礼金ゼロの物件も増えてきています。相場は賃料の1~2ヶ月程度です。
3.仲介手数料
テナントを所有する貸主(オーナー)ではなく、間に入っている不動産会社に支払うものが仲介手数料です。基本的に、賃料の1ヶ月分以内が上限として定められています。
4.前家賃
テナント契約時には入居月と次月分を支払うのが一般的です。これを前家賃といいます。入居月は日割り計算されます。
5.共益費・管理費
テナントが入る建物の共用部分の水道光熱費や清掃に充てるお金が共益費です。物件によっては賃料に含まれている場合もあります。
6.保険料
テナント入居の際は火災保険等に加入することが入居条件になることがほとんどです。火災保険・地震保険など、借主が必要と思われる保険に加入した場合の保険料がかかります。
デザイン設計料
店舗の設計・デザインに関する費用です。デザイン設計料は、設計事務所により異なりますが、施工費全体から何割か出す方法や、デザインした箇所の面積で出す方法が一般的です。
総施工費から店舗設計料を算出する場合
総工事費は、造作工事費や設備工事費などをすべて含んだ費用のことです。総工事費から割り出される場合の相場は、総工事費の10~15%が店舗設計料に充てらるのが一般的です。施工までを一貫して行う業者にこのような算出方法が採用されることが多いです。
人件費や技術料から店舗設計料を算出する場合
特殊な技術を要する造作工事などがある場合にこの算出方法がなされます。その場合、総施工費から算出する店舗設計料に加えて、特殊な技術者を雇うための人件費や技術料が加算されます。
坪単価から店舗設計料を算出する場合
坪単価から店舗設計料を割り出す場合、店舗の坪数に設計やデザイン費の単価をかけ合わせたものが請求されます。当然相場は大きく変動いたしますが、概ね一坪あたり30万~80万円程度に収まるでしょう。※後ほど業種ごとに詳しくご紹介します。
その他備品・設備など運営に必要な機材の費用
さらに店舗の運営に必要な費用が加わります。店舗を彩る植物や花等の装飾品や、事務用品、音響、清掃用品、食器、仕入れの費用等が必要となってきます。
飲食店で必要な備品を例にあげてご紹介します。なお、備品の揃え方は新品・中古での購入、リース契約といった方法があるため、どれを選択するかで価格は変わりますのでご注意ください。
(例)飲食店で使用される備品の価格相場
新品の相場 | 中古品の相場 | |
ガス台 | 8~15万円 | 5~10万円 |
フライヤー | 10~15万円 | 5~10万円 |
業務用冷凍冷蔵庫 | 30~60万円 | 20~30万円 |
製氷機 | 10~20万円 | 8~15万円 |
業務用食器洗い機 | 35~45万円 | 20~30万円 |
シンク | 3~10万円 | ~5万円 |
まとめ
内装デザイン、とりわけ店舗デザインは大きな買い物です。自分で全てを考えるのではなく、早めの段階で専門家に相談し、自分の理想を実現出来るようにしましょう。
株式会社TO(ティーオー)は、内装を得意とするデザイン事務所です。お客様に寄り添い、より良い空間が作れる様に真摯に取り組み、プランニングをしていきます。弊社のこれまでの施工事例はこちらのページで掲載しております。ぜひこちらもご覧ください。