担当デザイナー西口:本日は、弊社のブランディング事業の第一店舗目である「産直八百屋yaotomi」や、化粧品「yaotomi@life cosme」など、様々なデザインを担当させていただいた、株式会社yaotomiの犬飼 亮 様にお話をいただきます。
西口:亮君(※犬飼社長)とは、初めて仕事をして15年くらい経ちますね。
犬飼様:お互いにとって独立してから初めてのプロジェクトでしたね。最初のオーダーが看板を作ることで、確か30万円しか予算がなかったですよね。
西口:そうそう。僕が独立してすぐに参加した異業種交流会で、たまたま誕生日が一緒で、住んでいるところも一緒の社長がいて、その人から亮君を紹介されたのを覚えています。
その初めて会ったときに、亮君が「デザインしてる人ですよね?」みたいな感じで話しかけてきて、「あ、やってます」って答えたら、「ちょっと相談に乗って欲しいんですけど」って言われましたね。
犬飼様:そうそう。その時、「30万円しかないんですけど、看板作れますか?」って相談しましたね(笑)
西口:「30万円か…」ってなって、「モノによるので、まずはお店を見ないとわからない」って答えたと思います。それで亮君が「じゃあお願いします」ってことで店に行きました。
犬飼様:そこからがスタートでしたね。
西口:店舗に行ってみたら、「看板作っただけじゃ、多分厳しい」という話を正直にさせていただいて、「ハザードをまるまる看板に使わないと」など、いろいろ話し合ったことを覚えています。
それで木製パレットを使ったファサードが完成しましたが、内装まで手を入れる余裕はなかったんですよね。それでスタッフさんに内装作りを協力してもらったことを思い出します。懐かしいですね。
西口:そのときの亮君のお店が、半径80km以内の野菜しか取り扱わないお店でしたね。
犬飼様:そうそう。いわゆる「フードマイレージ」を意識したお店で、半径50マイル縛り、みたいなルールを設けたお店でした。
西口:「アンチ大手スーパー」みたいな感じで、地元野菜だけにこだわっていたのが、すごく印象的だったのを覚えいます。でもその当時、大手のスーパーはまだ、オーガニックや地元野菜にあまり力を入れていなかったですよね。
それに比べて、亮君たちは最初からオーガニックや地元の野菜だけを扱っていた。時代を先取りしていた。今考えるとすごいことだと思います。
犬飼様:そう考えると時代は変わりましたね。今はウチが大手スーパーに販売コーナーを持つようになりました。随分変わったと思います。
西口:そのあと、事務所の移転が何回がありましたね。
犬飼様:そうですね、ショップを辞めて、自分のマンションでやってたときもありました。ビル一棟借りしていたときもありましたね。今数えてみると…8回移転しました。
西口:すごいですね(笑)
犬飼様:今15期目に入ったので、14年で8回の移転。2年に1回ペースですね。そのうちの4回を、西口さんにデザインを依頼したことになります。
犬飼様:事務所のデザインに加えて、化粧品の展示用ブースや百貨店のブースの什器も作ってもらいましたね。
西口:ビッグサイトでブースも出しましたよね。
犬飼様:そうそう。全部木で作ってて、ウチだけあんな仕上がりだったから、めちゃくちゃ目立っていました。それがきっかけで有名雑誌などからもお声がけいただけたのは嬉しかったなあ。
西口:あのときは結構お金をかけてもらって、作ったのを覚えています。
犬飼様:そういう思い切ったアイデアを西口さんが出してくれるのが良いところだと思います。
西口:(思い切ったアイデアを)受け入れてくれるから出せるんですよ!
犬飼様:そこで金額を聞いて、展示会ブースの費用だとは思えなくて尻込みする人がほとんどだと思います。しかし、数あるブースの中で、後発であるウチは一番目立たなきゃいけなかったから、本当に予算をかけて良かったと思います。
ブースの設計は、広さが決まってるので、その中でいかに目立つかが勝負でした。普通なら「この金額は無理だ」って尻込みするような金額でも、思い切って実現してよかったと思います。
今でも僕はその時の写真を持っています。思い出深いし、本当に勝負のプロジェクトだったので。そのときは、事務所にお金をかけずに、ブースに予算を回すくらい重要視していました。
1回使って終わりじゃなくて、何度でも活用したいって思えるものを作ってくれたのがありがたかったです。こちらの希望に合わせて、再利用できるような設計をしてくれたのがすごく助かりました。
あの時作ってもらったブースは今でも一部が残っています。壊れても直しながらずっと使い倒したいって思っていました。引っ越しするたびに倉庫を借りて保管しています。
西口:当時は本当にたくさんの人が集まっていましたね。
犬飼様:あのとき(ビッグサイト)で一番人が集まってたと思います。「ここ何?」とか「誰がやってるの?」って興味を持ってもらえて、「ヤオトミって何?」って話題になったのも嬉しかったです。
犬飼様:立ち上げのときに特に感じましたが、やっぱり現場での経験が大事だと思います。僕も同じような考え方で畑から野菜を届ける仕事をしているからよくわかります。
西口:そうですね。僕もそう思います。
犬飼様:デザイナーは、デザインのプロとして、こちらの意図を汲み取って意見を出してほしいと思います。西口さんはそれをしっかりやってくれます「それだったらこういうことができます」って。
西口:そう言っていただけると僕も嬉しいです。
犬飼様:他にも西口さんさんにはすごく助けてもらいましたね。イベントも一緒にやってもらったことを覚えています。子どもを連れて来てもらって、参加してもらいましたね。
西口:やりましたね!
犬飼様:トマピー狩りとサンドウィッチ作るイベントもありました。西口さんの奥様にも友達を連れてきてもらいました。懐かしいなあ。こうやって思い返すとめちゃくちゃ色々一緒にやっていますね。
西口:こうして振り返ると、本当にお互いに、いろんなステップを踏んできたと思います。
犬飼様:YATOMI店舗もそうだけど、いろいろな場所で試行錯誤しながらやってきたなあって思います。失敗も多いけど、それ以上積み上げてきたものは本当に多いです。
西口:本日はどうもありがとうございました。最後に、今後の展望などがあれば教えてください。
犬飼様:伊勢への本社移転を進めていて、今後は、ガストロノミー(食事と文化の関係を考察すること)から、具体的にどのように動かすか、を考えていきたいと思っています。
今までは「食」だけにフォーカスしていましたが、そこに「衣」と「住」が加わえて、より広がりのあるライフスタイルを提案したいと思っています。
西口:今回の伊勢への移転は、「衣・食・住」を伝統工芸と組み合わせたり、オーガニックを絡めたりして展開していきたいと聞いています。
犬飼様:はい。オーガニックと伝統文化をまとめて、全体的な、より広がりのあるライフスタイルを提案してきたいと思います。
その中でも結局、一番伝えたいのは「伝統文化」ですね。金型や手法も含めて。それが難しいと言われつつも諦めない姿勢を持って臨むつもりです。
犬飼様:ただし、YAOTOMIとしてのブランドを守る部分が少し弱いかもしれない、という懸念があります。「なんでその人でやっちゃうの?」とか、「それだと値段が下がっちゃう」と思うようなことを、悪気なくやってしまいそうなことが心配です。
西口:だから、僕はそのあたりをしっかり考えて、サポートしていけるようにしたいと思っています。ブランド全体をどう守るかが次の課題かなと思います。
犬飼様:本当にありがたいです。ぜひこれからもよろしくお願いします!
西口:こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします。
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