![寿司屋のようなカウンターの高級焼鳥店](https://www.tototo.biz/cms/wp-content/uploads/2021/03/O3A5753s.jpg)
物件名 : 焼き鳥 茂 東桜
面積 : 75㎡
客席数 : カウンター 12席 個室 6席
工期 : 計画期間60日 施工期間35日
請負業務: デザイン設計業務、デザイン製造業務(特殊左官、etc)コンセプト提案、ロゴデザイン製作
物件状態: 居抜き
躯体構造: 木造2階建て
竣工 : 2021年5月
お店情報: https://shige-group.co.jp/shoplist.html
愛知県内で「焼き鳥 しげ」などを展開されている秀和興産様は、栄店のリニューアルデザインの時からお付き合いが始まりました。
今回の案件は、このコロナ禍を乗り越える一手として弊社にご相談がありました。
立地は申し分ない場所で、そこで展開する業態を既存業態か新業態(高級業態)かで悩まれていました。私は、その相談を受けたとき即座に、高級業態が良いと思います。と進言させていただきました。
コロナ禍でしっかりと結果を残している業態は、明らかに高級業態かつ予約のみのお店です。社長と専務は、初めての高級業態にチャレンジすることへのリスクを考え、どちらにするか相当悩まれていました。
少し待ってほしい。決めるからと言われ、1週間ほど過ぎた日、連絡をいただき、高級業態で行きます!と覚悟の決まった言葉を今でもはっきり覚えています。そこから、このプロジェクトは始まりました。
なぜ足袋かというと、大家さんは長らく御商売をされており、そのご商売が足袋屋さんだったのです。今は廃業されましたが、秀和興産社長のご配慮でこのお題を弊社が預かりました。
私もどこにどんな感じで、何で表現しようか悩みました。そして、思いついたのがこのプロジェクトで採用しようと決めていた三重の伝統工芸、組細工格子でそれを創ろうということでした。
すぐ、組細工職人のKさんに連絡をし、概要を説明し、イメージを伝え、参考図面(たたき台図面)を送りました。
それを基にKさんが考えてくれたのが、個室の組細工に入っている足袋柄です。一度、個室を予約して、よーく見てみてください。ちょっと顔にも見えますが、足袋に見えます。
カウンター内で大将が目の前で焼いてくれるシズル感を出しながら、デザインをすっきりさせ、よく吸う。それを実現できるのが、下引きの排気フードです。
これは、カウンター内に排気設備を入れてしまうことから、カウンター腰壁がごつくなってしまうデメリットがありますが、それ以上にメリットが大きいので、かなりおすすめです。
今回、テーマとして石を使うということにしていました。それもあり、カウンターバックの店内の見せ場は、石を使おうと決めていました。
そのため、どのように石を施工するか、どこの石を使おうか、製作納期のからみ、搬入や加工のむつかしさなど様々な角度から検討した結果、左官で石を作ってしまおうということにしました。
実は、カウンターバックの壁面と柱の石はすべて特殊左官です。一度お店へ足を運んで、その見た目を楽しんで確認してみてください。
本当に石です。
社長のこだわりで女子トイレは、店のイメージとガラッと変えてほしい。とありました。
イメージは真っ白で!
今回、女子トイレのデザインは、弊社に新卒で入社したばかりのスタッフ椿(つばき)にしてもらいました。私がするとどうしても店内のイメージになりそうだったので、お願いし、たびたび修正を繰り返しましたが、社長も納得がいくトイレが出来上がりました。
初めて自分がデザインしたものが実際の空間に形になったことで、椿も感動していました。ぜひ、女性の方お店へ行きトイレに入ってもらいたいです。
この店舗では、組細工技術職人と左官技術職人によるロックアートを一緒に作り上げました。
組子細工格子は、ノリを一切使わず、材料の精度で強度を保っています。その緻密な手作業で製作された格子をカウンター席と個室の扉、個室のウォールパネルとしています。カウンターバックのロックアートは、左官技術の柔軟性を伝える為に採用しています。
引き渡しも無事おわり、その際我々が感じた印象は、それほど。空間としては良いけど、感動がなかったかな。でした。
しかし、後日専務らから「これが昔からやりたかったんだよね。この空気の中でカウンターに立つと思うと、わくわくするね。」と一言をいただき、感無量でした。
今回も素敵なチャンスをいただき、感謝しております。
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