物件名 : すし昇
面積 : 17坪
客席数 : 9席
工期 : 計画期間60日 施工期間40日
請負業務: デザイン設計業務、ブランディング業務、ロゴデザイン、名刺デザイン(会社用、店舗用、テイクアウト用パッケージ etc.)
物件状態: スケルトン(店舗の内装設備がない状態のこと)
躯体構造: RC造(鉄筋コンクリート構造)
竣工 : 2020.03.20
備考 : ミシュラン掲載店
受賞 : 2021JCD中部商空間賞銀賞、審査員特別賞をダブル受賞
お店情報: https://www.sushisho-97.com/
「初出店から2年が経ち、業務拡大のために移転拡張を検討している」とのご相談をいただきました。その際、自分のこだわりを理解してくれるデザイナーと仕事がしたいということで、お仕事をお任せいただきました。
偶然にも、2年前の初出店の際に、ある方から大将をご紹介いただいており、初対面だと思って出向いたプロジェクト初顔合わせのときに、お互い再会に気づくという不思議なご縁から始まったプロジェクトでした。
まずは、大将の「あの店のここがいい」「店はこういう部分にこだわりたい」という想いを丁寧にお聞きしました。その後、店舗デザインの方向性を決めるプレゼンテーションで一発OKをいただき、大絶賛をいただきました。
このプロジェクトで一番の悩みどころだったのが、カウンターの高さ関係(大将とお客様の目線)と店舗全体の天井高です。すし屋というのは、目線の高さとカウンターとつけ台の高さが非常に重要です。
大将にとって、カウンターはステージであり、そのパフォーマンスをより一層更なる高みへ導く空間になります。そのために、躯体(建築物)のRC(鉄筋コンクリート)の大梁(オオバリ)の存在、設備の配置や配管の経路など、ステージに必要のないものを隠す必要がありました。
しかし、この物件は、床上げをし大梁を隠そうとすると満足のいく天井高がとれず、また天井高を摂ろうとすると、大梁を隠せないという問題がありました。
さらには、排水設備や空調換気設備の計画に問題が生じるという、制約が多い物件でした。これらの課題を解決する方法として、下記の方法をデザイン(解決策)として採用しました。
魅せる大梁にするために、疑似大梁をもう一本つくり、バランスを調整しました。さらにそれを、店内のデザインアクセントとして成り立たせるために、大梁を間接照明の光で際立たせるようにしました。
目線やカウンターの高さを確保するため、特注のミドルチェアを製作いたしました。
余分な空調換気機器等を隠すため、天井は必要最低限設け、大梁の見え方とのバランスを取りました。
焼き場の天井フードを天井内に埋め込み、存在を天井とフラットにしました。
梁(ハリ)とは、建築物の骨組みのなかで、天井や床などに水平方向に渡された部材をいいます。 建物の荷重を柱に伝えて建物を支える役割を担っています。柱と直接連結して支える梁を「大梁(オオバリ)」柱に直接つながっていない梁を「小梁(コバリ)」といいます。
すし屋の格は、カウンターで決まると言われるほど重要です。大将の本物志向の意向をくみ取り、カウンター材は、樹齢400年の木曽ヒノキを採用。そのほかすべての壁材には、漆喰の磨きをあしらい、つややかであり、奥行きのある自然素材の光が、やさしく反射しながら空間を包み込むようになっています。
伝統技術の継承するため、壁面と天井がすべて左官技術によって表現されています。等流の平石氏にお願いしました。左官技術の中でも、「磨き漆喰」という技法です。金ゴテでピカピカに艶が出るまでこすり続け、漆喰に光沢を持たせます。磨けば磨くほど上品な艶が出ます。下塗りのあと、仕上げを一発で同時に仕上げる必要があるため、技術を持った職人たちが同時に塗らないときれいに納まらない仕上げです。
「エントランスの通路のレイアウトの仕方、カウンター席のレイアウトや高さ、素材感、 ドリンクカウンターの見せ方、トイレのデザイン全てが考えつくされていて、さらに自分の意見も尊重してくれているところに感動した。」「現在、半年以上先の予約も取れないほど繁盛しているのも、この店のおかげです」というありがたい言葉をいただきました。
今回の空間デザインにとどまらず、今も継続して店舗のトータルのブランディングをさせていただいております。通年を通して、TOのディレクションのもと、おせち、節分、花見、お盆、お月見など、季節のイベントごとに、パッケージやノベルティーのデザインをお手伝いさせていただいております。
店舗デザイン、開業に関するご相談は、お問い合わせフォームまたは、お電話(052-414-4224)にて、お気軽にご連絡ください。私たちは、施主様の想いを汲み取るために「施主様から直接お話を聞く」というフェーズを大切にしております。まずは、施主様の想いを、ありのままにお話頂けますと幸いです。持続可能な店舗を一緒にデザインしていきましょう。