みなさんは、「バー(Bar)」と聞いてどのような店内を想像しますか?
テレビドラマなどに出てくるバーであれば、薄暗い店内に間接照明が設置してあり、バーテンダーがドリンクを提供している場所などとして描かれていることが多いと思います。今回は、バーを開店する場合の店舗デザインと費用について、実績をもとに紹介していきます。
私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。
バーを開業時の初期工事費用
バーを開業するときの工事費用としては、その物件が居抜き物件か、スケルトン物件かで大きく異なります。 居抜き物件の工事費用相場は坪単価が20万円〜40万円程度で、スケルトン物件の工事費用相場は坪単価が35万円~80万円程度となります。
一般的に居抜き物件の場合には、家具や内装が残された状態ですので、電気、ガス、水道、空調などの工事を実施する必要がないため、スケルトン工事の場合に比べると費用が安くなります。
ただし、これはあくまでも一般的な相場感になりますので、あくまでも目安としてお控えください。バーは開業する種類によって、店舗の広さや使用する建築資材、インテリアのグレードなどが異なりますので、必要となる費用が変わってきます。
例えば、お客様がゆったりとお酒を楽しむことを目的としたバーでは、ソファー席を設置したり、木材やタイルなど、高級感のある建築資材を使用したりしますので、設置する家具、内装ともにある程度の予算が必要です。
ジャズバーのように音楽が外に漏れる可能性がある場合には、防音設備を設置しなければなりませんので、内装工事にさらに費用をかける必要があります。
バーテナントの一般的な広さ
バーを開店する場合、どれくらいの大きさの店にするかも考え所です。一般的に、バーでは、1坪で1人~2人分の席を確保できると言われています。客席にできるスペースが全体の8割だと仮定すると、以下のような席数となります。
10坪の店の場合 | 8人~16人分の客席 |
15坪の店の場合 | 12人~24人分の客席 |
20坪の店の場合 | 16人~36人分の客席 |
オーセンティックバーやジャズバーの場合には、会話や音楽を楽しむことを目的としており、一人当たりのスペースは広めにとり、テーブルやソファを設置することが多いので、20坪以上の店舗が適しています。
一方、ショットバーなどカジュアルなバーの場合には、短時間滞在が前提であることが多く、席同士の間隔を狭くし、椅子を設置せず立ち飲みスタイルにすることが多いので、10坪未満~15坪でも営業することができます。
オープンする店の内装やインテリアなどによって客席として確保できる広さが変わりますので、内装を決めて確保できる席数を考えるのか、席数を決めてそれに合うような内装にするのかは、デザイナーと相談しながら決めることをおすすめします。
バーの開業費用相場
内装工事費用について、居抜き物件かスケルトン物件かによって坪単価が変わることは前述しました。これを先程の坪数に当てはめて解説します。内装工事費用は、以下の表に示すようになっています。
店の規模 | 居抜き物件の場合の工事費用の目安 | スケルトン物件の場合の工事費用の目安 |
10坪 | 200万円~400万円程度 | 350万円~800万円程度 |
15坪 | 300万円~600万円程度 | 525万円~1,200万円程度 |
20坪 | 400万円~800万円程度 | 700万円~1,600万円程度 |
ただし、坪数が少ない場合、工事スペースが狭く、必要な設備工事の難易度が上がりますので、その分坪単価が高くなる傾向があります。また、建築資材に関しても、大量に仕入れる方がボリュームディスカウントされる可能性が高く、店舗面積が狭いほうが割高になる可能性があります。
バーの内装はお金をかけるべき
バーは一般的な飲食店と比べ、狭い店舗で大きな利益を出すことができる業態です。例えば、同じ広さのラーメン店とバーで比べてみます。ラーメン店の客単価は700円~1,500円ほどですが、バーの客単価は1,500円~5,000円であると言われています。つまり、高単価であり、狭い店舗でも大きな利益を生む可能性があります。
お客様側の心理として、それなりのお金を払って行く店では、一定以上のサービスと内装のグレードが求められます。特に、バーの客層は高めであり、これらのサービスや内装が重要です。店の雰囲気を気に入ってもらえれば、そのお客様はリピーターとなり、リピーターが増えれば安定した収入を見込めるようになります。
また、前述したようにバーは10坪程度でも十分に営業でき、店の規模が狭ければその分内装にお金もかけることができるようになります。来店したお客さまがまた来たいと思うような内装づくりを心がけましょう。
バーの種類とデザイン
先にも少し述べましたが、バーには様々な種類がありますので、簡単に説明していきます。開業を目指される方は、自分のバーがどの種類に近いか、イメージしてみましょう。
オーセンティックバー
オーセンティックバーは、ホテルに併設されているバーや会員制のバーなど、熟練のバーテンダーがいる高級なバーのことです。ホテルやビルの上層階に位置し、綺麗な夜景を売りにしている所も多く、ドレスコードが設定されていることもあります。基本的には高級感のあるくつろげるデザインであることが多いです。
ショットバー
グラス一杯単位で注文でき、気軽にお酒を飲めるバーのことです。短時間の滞在を想定しているため、基本的には立ち飲みで椅子があっても簡易的なものです。若年層が好むスタイリッシュで、モダンなデザインが多く、ピンクやブルーのLEDライトやブルーのライトでガラス柱を照らすなど照明にこだわっている店が多いです。
ジャズバー
ピアノやサックスなどの生演奏が聴けたり、BGMとしてジャズが流れているバーのことです。音楽をゆったり聞くことを目的としているため、座席数スペースを広く取り、長時間滞在できるようなデザインが重要です。また、ライブスペースなども必要なため、比較的広い物件が必要になります。さらに、音漏れしないようにしっかりとした防音設備も必要です。
スポーツバー
大画面のテレビやスクリーンに野球やサッカーなどの試合が映し出され、試合を鑑賞しながらお酒を楽しむことができます。雰囲気としては、カジュアルに近く、他のバーと比べると明るくにぎやかな印象を持つデザインが多いです。カウンターのほかに、テーブル席が充実していることが多いです。
バーにも取り入れることができる「和モダン」
近年ではリノベーション物件も増加しており、古民家バーなど和のテイストを取り入れた空間の人気が出てきています。和の要素を取り入れるおすすめの方法は、木材を利用することです。伝統的な日本家屋には木材が多く使われていることからも、木材を使うことで日本らしさ、和を感じることができます。
私共がデザインした例を挙げると、カウンターに無垢材を使用し、床や天井の木材をそのまま活かして使用することで、和のテイストを取り入れています。さらに、壁には土壁や漆喰などを使用することで、木材と競合したバランスの取れた空間となります。
照明は裸電球とダウンライトを組み合わせて、明るすぎず暗すぎない空間にしています。バックバーには、それぞれのラベルが見えやすいようにする工夫もしています。
バー開業時のポイントまとめ
今回は、バーを開店するときのデザインと費用について説明してきました。バーといっても様々な種類があり、どのような種類のバーを開店するかによって内装が異なりますので、ある程度のコンセプトを決めておくことが必要です。
また、予算を元にデザイナーとどのような雰囲気の店づくりにするかを、早め早めに相談したほうが成功の近道になることもあります。バーの開業やリフォームのことなら私たちにTOにご相談ください。経験豊富なデザイナーがデザインから開業のご相談まで一貫してサポートいたしますので、安心してお任せください。皆様からのご連絡をお待ちしております。