オフィスや店舗の開業、またはリニューアルの際に行う店舗デザインの内装工事ですが、そこにかかる費用の仕訳の仕方が分からない方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、店舗デザインを含む内装工事にかかる費用の仕訳の仕方を解説します。仕訳の仕方次第で節税対策にも繋がります。
坪単価や施工費など店舗設計の費用区分に関しましてはこちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご参照ください。
店舗工事費用の勘定科目は主に4つ
結論から申し上げると、店舗の工事費用の勘定科目は主に「建物」「建物付属設備」「備品」「諸経費」の4つに仕訳られます。勘定科目をまとめると、以下のようになります。
- 建物:基礎工事、造作工事、木工工事、防水工事など
- 建物付属設備:空調設備、冷暖房設備、グリーストラップ、ボイラー、配電盤など
- 備品:厨房機器、家具、什器など
- 諸経費:物件調査費、人件費など
※デザイン設計費は建物、附属設備、備品等(資産科目)に加算する場合が多い
それでは、それぞれの科目をそれぞれ解説します。
建物
「建物」に分類されるのは、その建築物に完全に固定されていて可動しないものです。木工工事やガラス工事、造作工事、防水工事など、建物そのものに対して行われる工事はこの勘定科目に仕訳されます。
また、一見は諸経費に分類されそうな「デザインの設計料」は、建物や備品などと同じ資産科目に計上することが多いです。諸経費は基本的に少額であることが前提となるため、比較的高額となるデザイン設計料は経費計上が認められない可能性が高いです。
建物付属設備
建物に付属して機能する工作物のことををいいます。具体的には、冷暖房などの空調設備、照明等にかかる電気設備、自動防火シャッターなどの防災設備、パーテーションなどの可動間仕切りなどがあります。
建物と建物付属設備を混同しないように、両者の違いをしっかり覚えておきましょう。建物は土地の上に建てられた工作物で、建物付属設備は、建物と一緒になって初めて機能するものです。
備品
デスク、椅子などの家具や、消耗品、壁に後付けしたものなど作り付けではないもの、その他消耗品関係で、20万円以上するもののことを指します。
10万円以上20万円未満のものは「備品」ではなく「一括償却資産」という勘定科目で計上することになります。ただし、「備品」の基準に満たない備品購入費を統合(合算)して「備品」で計上することも可能です。
諸経費
店舗デザインにかかる費用や、それに伴って発生する人件費がこの勘定科目に仕訳されます。ただし「諸経費」は経費計上のため、少額であることが前提で詳細は適宜確認する必要があります。
デザイン設計費用は基本的に高額になるため、経費計上は認めてもらえない可能性が高いです。その場合は建物や備品(資産科目)に按分します。
内装工事にかかる費用の仕訳のポイント
デザイン設計費用は建物や備品(資産)に按分する
デザイン設計費用は諸経費、としている記事もいくつかありますが、先程述べたとおり、数十万円以上になるデザイン設計費用は経費計上しても認めてもらえない可能性が高いです。そのため、建物(資産科目)に費用を加算して計上します。一括せずに計上する場合は、建物、建物付属設備、備品とそれぞれの科目に按分して計上します。
最初に建物付属設備から仕訳する
仕訳作業を効率的に進めるためには、まず「建物付属設備」から分類していきましょう。「建物」に仕訳されるものの方が多いので、「建物付属設備」から仕訳をする方が効率がいいです。
リフォームした場合は修繕費
建物をリフォームした場合にかかった費用は「建物」「建物付属設備」もしくは「修繕費」に仕訳することもできます。「修繕費」に仕訳することで、経費として計上できます。
また、内装工事とリフォームの違いですが、内装工事はそれによって建物の価値が増加するので「資本的支出」として判断されます。一方、リフォームをして、設備の最初の状態に戻す場合は「修繕費」として判断されます。
勘定科目の分類で耐用年数が変わる
内装工事にかかった費用の計上の仕方によって、耐用年数が変わってしまうことがあります。基本的に耐用年数が短い方がより多く経費として計上できるため、節税に役立ちます。
例えば防水工事は「建物」に分類されます。ただし配管工事は「建物附属設備」に分類されます。どちらも水道工事として処理できますが、勘定科目を変えるだけで支出を減らすことができるのです。
減価償却を行う
減価償却とは、耐用年数に応じて建物の金額を数年に分けて経費化していく方法です。「建物」と「建物付属設備」は耐用年数にあわせて減価償却を行う必要があります。
減価償却の例
例えば、2,000万円の建物を購入した場合、その年に2,000万円を経費として計上をするわけではありません。その建物の耐用年数が10年であれば、毎年200万ずつ、10年かけて計上するの、というのが減価償却の考え方です。
減価償却せずに、2,000万円をそのまま形状とすると、その年だけ支出が収入を上回り、赤字となる可能性があります。減価償却の方法で費用を分割することで、毎年の利益を正確に表すことができます。
また、減価償却をすることは節税対策にも繋がります。購入した年の収入が600万円だった場合、その年には減価償却費として200万円の支出があります。そのため、収入と支出の差額である400万円分の所得税を払えばいいのです。
費用を耐用年数に応じて分割して計上することで、毎年200万円分所得税の負担額を少なくする事ができます。
以上が減価償却のメリットになります。
内装工事と減価償却に対する節税対策に関してはコチラの記事で詳しく解説しております。これから店舗オープンをご検討の方は、ぜひこちらも合わせてご参照下さい。
店舗の建設工事にかかった費用は「建物」「建物付属設備」「備品」「諸経費」の勘定科目に仕訳されます
いかがでしたでしょうか。店舗デザインを含む内装工事にかかった費用は「建物」「建物付属設備」「備品」「諸経費」の勘定科目に仕訳されます。仕訳する際には、「建物付属設備」から仕訳すること、減価償却をすることに気を付けましょう。
また、内装工事の費用に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。