飲食店の人手不足を解決するポイント|店舗デザインの観点から業務の効率化や人件費を抑えるポイントを解説します

飲食店の店舗デザイン
飲食店の店舗デザイン

飲食店の人手不足は、コロナ禍を境に深刻になってきました。経済が活発になったにも関わらず、飲食店による人出は需要と供給が追い付いていないのが現状です。

求人を出しても思うように従業員が集まらないのは何故なのでしょうか。人手不足に陥る主な理由から、飲食店の課題が見えてきます。店舗デザインの観点から、飲食店の人手不足を解決するためのポイントや業務の効率化を図り、スムーズな運営ができるようになる解決策を解説していきます。

株式会社TOは店舗デザインを通して、お客様の最も身近なパートナーとして、企画段階からオープンまでサポートいたします。私たちのデザインへの姿勢やお客様との関係性をご確認ください。

飲食店が抱える人手不足の主な理由5選

日本フードサービス協会の令和5年による外食産業市場動向調査によれば、外食需要の全体売上は前年比で114.1%まで回復しました。

ここで課題となっているのが飲食店による人手不足です。多くの飲食店では売上が回復しているものの、サービスを提供できる従業員が補えていません。なぜ人手不足に直面しているのでしょう。その主な理由は、以下の5つに絞られると思います。

賃金が労働力に見合っていない

飲食店の業務内容と賃金が見合っていないと感じるため、人出が集まらないという理由があります。飲食店の業務内容は多岐に渡ります。一口にホールスタッフと言っても、覚えることはたくさんあり、初めのうちは苦労する従業員も多いでしょう。

以前私も飲食店でアルバイトをした経験がありますが、メニューを覚えるだけでも大変でした。また、メニューによって副菜を付ける付けないといった決まりがあり、それはホールスタッフの仕事として決められており、苦労したのを覚えています。

慣れると単純な仕事でも、一度に覚える業務内容が多いと労働力に見合っていないと感じてしまう方が多いのも事実です。また、飲食店は賃金が安いというイメージを持たれています。賃金が安いうえに労働力が課せられると、働きたいという意欲も湧いてきません。

時間外労働が多い

オフィスワークは、比較的時間内の退社がしやすい業種ですが、飲食店になるとそうとは言い切れません。お客様が退店されなかったり片付け業務が残っていたりすると、必然的に時間外労働が発生してしまいます。

片付けや翌日の仕込みまでが1日の業務内容としている飲食店も多いため、働き手にとっては拘束時間が読めないというデメリットが出てしまいます。その結果、飲食店は時間内に退勤できないというイメージを持たれているのが現状です。

休みが取りづらい

飲食店は休みが取りづらいというイメージを持たれています。飲食店のサービスをスムーズに提供するためには、人員確保はとても大切です。そのため、繁忙に備えて、必要な従業員をあらかじめ揃えておく必要があります。

飲食店の多くは、ギリギリの従業員で運営していることが多いため、自由に休みを取りづらい雰囲気が出ているのでしょう。飲食店で働くアルバイトやパートは、本業の合間に働いている方が多いです。本業を優先できないと感じると、飲食店で働くメリットを感じられないのです。

休憩時間が曖昧

飲食店では、大まかな休憩時間は決められているものの、お客様の入店状況によってずれ込むことがあります。店内が忙しい場合は、現場を優先するよう言われる飲食店もあるため、決まった時間に休憩を取ることは難しいです。中には、休憩時間を短縮して働き続けている現場もあります。

この場合、十分な休憩が取れないだけでなく賃金が加算されないケースもあるため、飲食店で働くことに懸念を抱いている方もいます。

クレーム対応がキツイ

飲食店に来店されるお客様の中には、不当な要求や暴言を吐くといったクレーム行為をする方もいます。とくにお酒を提供している飲食店では、そのような場面に遭遇することが多くなるでしょう。

クレームの一次対応は現場のスタッフに任せられることが多いため、従業員がストレスを感じ離職につながる可能性もあります。また、経験の浅い従業員はスキルが乏しいため、クレームに発展する可能性も考えられます。重度の責任を負わされることにストレスを感じるため、飲食店に魅力を感じなくなってしまうのです。

飲食店の人手不足を解消する5つの対策

人手不足を解消する対策として5つあげてみます。飲食店の人で不足は、先程の理由や不満を紐解いて、従業員の目線に立って運営すると、自然に人手不足も解消されると考えています。賃金など待遇を改善することを考える前に、今ある不満の原因を取り除くことが重要だと思います。

従業員が働きやすい環境を提供する

飲食店の環境づくりはとても大切です。働きやすい環境を作っていれば、従業員も気持ちよく業務をこなせます。店舗オーナーや店長は、スタッフとの密なコミュニケーションを取ることも必要です。また、融通の利くシフト制度の導入や業務を細分化することも、従業員にとってはメリットになります。

また、「働きやすい環境」を作るためには店舗内のスムーズな動線設計やバックヤードの設備の充実などが挙げられます。従業員が働きやすくなる店舗へのリフォームは私たちTOへご相談ください。豊富な飲食店のデザイン経験から、デザイン性を担保しつつ、働きやすいお店をデザインいたします。

業務内容を見直し無駄を排除する

無駄な業務がないか、今一度業務内容を見直すのも効果的です。実はムダな作業によって、本来必要でない従業員を雇っている可能性があります。掃除や設備メンテナンスなど、細部にわたって業務内容をチェックしてみてください。「無駄だ」と思える業務があれば、それらを解決する設備やサービスの導入を検討しましょう。

また、無駄を省くリフォームを検討しましょう。

・オープンキッチンを導入し、調理スタッフから直接料理を提供する

・バックヤード(倉庫)を広くし、在庫を取り出すのを簡単にする

・掃除がしやすいフラットなタイルシートに張り替えて掃除の時間を短縮する

など、店舗の改装で業務効率化を図れる箇所はたくさんあります。業務の効率化に関しては、後ほど詳しく解説します。

評価制度を見直す

働き手の多くは、いつまで経っても賃金が上がらないことに不満を感じています。それは飲食店も例外ではありません。そのため、従業員の評価制度を設けるようにするといいでしょう。評価制度を設けることによって、従業員のモチベーションも向上します。また、評価が上がる基準や条件を明確にしておけば、従業員にとっても条件の良い働き口だと認識されます。

雇用する層を広げる

飲食店で雇用される層の多くは働き盛りの世代です。アルバイトであれば、学生や20代がメインです。もともと人口が減少している働き盛り世代は、どの業界もほしい人材です。条件のよい業種で働く可能性も高いため、雇用する層を広げてみるのも解決策の一つです。

例えば、シニア世代を雇用してみるのもいいでしょう。シニア世代とはいえ、現代のシニアは体力もあり十分に働き手の仕事をしてくれます。それ以外には、外国人労働者の雇用も検討してみるのもおすすめです。近年では日本語が上手な外国人労働者も多いため、人手不足の解消につながる可能性があります。

雇用条件を見直す

雇用条件を見直すのも、人手不足を解決する要因になります。飲食店は賃金が安いというイメージが付いているため、競合店の賃金をリサーチし同水準に合わせるのも有効な手段です。

とはいえ、賃金を上げるのが難しいということもあるでしょう。その場合は、福利厚生の充実度を検討してみても良いと思います。また、飲食店であれば「賄いつき」という条件も選ばれるポイントになります。賃金に反映できない場合は、賄いで特典をアピールしてみても良いかもしれません。

店舗デザインの観点からみる飲食店の業務の効率化

飲食店は業務の効率化を図ることで、従業員が働く際のストレスを軽減できます。どのような効率化を導入すればいいか、店舗デザインの観点で3つのポイントを紹介していきます。

オペレーションの無駄を洗い出す

オペレーションとは、業務を管理する一連の流れのことを指します。現状のオペレーションに無駄がないか、一つひとつ洗い出してみましょう。主にキッチン、フロア、バックヤードに分かれますが、それぞれの問題点を挙げていきます。

従業員の動線はスムーズなのか、作業に支障がでないスペースを確保できているか、また食材や食器類などの置き場所も改善点が出てくるでしょう。これらの改善点を洗い出したら、それが人力で解決できるのか、リフォーム等が必要なのか考えます。改善点一つ一つに対して、どのような対処ができるのか、考え抜きましょう。

また、無駄を洗い出したら、早い段階でデザイン事務所などのプロに相談されることをおすすめします。店舗デザインの経験が豊富な業者は、施主の悩みに対して様々な解決方法をもっています。予算などの相談にも真摯に対応してくれる、頼れるデザイン会社は恒久的に店舗をサポートしてくれる存在になります。

セルフサービスを導入する

従業員の業務を減らすために、セルフサービスを導入するのもおすすめです。例えばラーメン屋さんなどにある券売機や、うどんそば店の受け渡しカウンター、ファミリーレストランで用いられるドリンクやスープ、サラダなどが代表的な例です。

これまでこれらのサービスは、比較的リーズナブルな大衆的なお店でよく導入されてきましたが、近年では、居酒屋やカフェ、レストランなどでも積極的に用いられるようになってきています。

ただし、セルフサービス方式を採用した場合、顧客は自分で水を取ったり、食事後の食器を片付けたりするために店内を移動する必要があります。そのため、人が集まる場所ができたり、通り過ぎる際に顧客同士が接触することがないように、店舗のレイアウトや顧客の流れに注意を払う必要があります。

ITシステムを導入する

従業員の業務負担を減らす上で欠かせないのがITシステムです。近年では、飲食店でもさまざまなITシステムが導入されています。ITシステムは、導入コストはかかるものの、長い目で見ると経費を削減できます。

まずは、POSレジやモバイル決済システム、モバイルオーダーなどの導入から始めてみるのはいかがでしょうか。どちらも従業員とお客様の利便性を考慮したシステムのため、スムーズな接客が期待できます。

ただし。ITシステムを導入するときに気をつけたいのが、お客様との距離が生まれすぎてしまうことです。特に固定客をメインターゲットにしているお店は注意しましょう。見通しが良いレイアウトに変更するなど、これまで以上にお客様とコミュニケーションを取りやすい環境にしたうえで、導入されることをおすすめします。

まとめ

飲食店の人手不足は深刻な問題ですが、人手不足を解消する大きなポイントは、従業員が働きやすい環境を作ることです。これらは店舗デザインなどでかなり改善される場合があります。従業員が「働きにくい」と思う理由は、お店によってさまざまですので、まずはお店のオペレーションを見直し、不便に感じる点の洗い出しから始めてみてください。

その理由の解決に向けて、早い段階でデザイン事務所などに相談されることをおすすめします。もちろん、私たちTOにお気軽にご相談ください。

私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。