モルタル造形とは?独特の質感と風合いを持つ壁面仕上げを店舗デザインに活用しましょう

建築設計デザインの基礎知識
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突然ですが、「モルタル造形」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?私たちの身の回りの生活になじんでいるもので、普段見慣れている場所にも使われているかもしれません。今回は、モルタル造形とは何なのか紹介していきます。

和風(和モダン)の店舗をデザイン・施工する場合の考え方と費用、デザイン事例については、下記バナーの特集ページでより詳しく解説しています。私たちTOは、和の伝統を現代に息づかせる和風の店舗デザインを得意としています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。

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モルタルとは?

そもそもモルタルとは、セメントに砂(細骨材)を加えて、水で練り合わせたもので、セメントモルタル、またはプレーンモルタルと呼ばれます。ちなみに、コンクリートとはセメントに砂(細骨材)と砂利(粗骨材)を加え、水で練り合わせたもののことを指します。

モルタルに使う砂は、荒目(5mm以下)・中目(3mm以下)・細目(0.6mm以下)に分かれ、モルタルの使い方によっては、砂の粒度によって仕上がりが変わってきます。

モルタル造形とは?

モルタル造形とは、モルタルを壁などに塗りつけた後に削ったり、着色したりすることで、自然石やレンガ・枕木・タイル・金属などの雰囲気をリアルに表現した工法のことです。

もともとは、テーマパークや映画セットを作る際に、アメリカから伝わってきたものと言われており、大型テーマパークや映画のセットとして使われていました。

しかし、まるで本物のように見せることができ、屋内、屋外問わずに施工することができるため、現在では大型商業施設やアミューズメントパーク(テーマパーク)、映画のセットなどだけでなく、ホテルや飲食店、店舗、一般住宅の外装や内装、お庭に至るまで様々なところで使われています。

モルタル造形の特徴

モルタル造形は、コンクリートに近い素材であるため、耐水性が求められる屋外の床や壁材に使用できるほか、プールなど水のかかる可能性がある場所でも使用することができます。玄関周り、ブロック塀、物置、犬小屋、建物の外壁、建物の内装など、セメント系の材料が塗れるところであればどこでも使用可能です。

また、既存のものを解体することなく製作可能ですので、コストを抑えることができるだけでなく、モルタルは不燃材ということもあり、消防の指導を受けている施設や防火地域などでも制限なく使用することが出来ます。

さらに、モルタル造形に決まった形はなく自由にデザインできるため、複雑なデザインにも対応できます。一般的に、建物や庭を作る時には、主にタイルやレンガ、塗装、木、石、金属などが一般的で、工事の方法は昔から変わっていないため、同じような空間が出来上がってしまいます。

しかし、モルタル造形では、レンガや天然石、岩、石積み、丸太、鉄、木製ドア、噴水、モニュメント、オブジェなど様々なものを表現することができるため、ヨーロッパの古城のような独特な雰囲気、メルヘンチックな雰囲気、時を経て朽ちた雰囲気などオリジナルのデザインを表現できます。

モルタル造形に使用するのは、セメントと砂がメインとなりますので、レンガや天然石を使用するよりも安価に仕上げることができます。

モルタル造形のやり方

最後にモルタル造形の基本的な流れを開設します。私たちTOではモルタル造形を用いた店舗デザインを多数対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

下地作り

まずは、下地に刷毛やスプレーでモルタル用シーラーを塗り、しっかりと乾いたらモルタルを塗りつけていきます。下地に塗りつけるモルタルは、乾きやすく厚塗りできる軽量のものが扱いやすい場合が多いです。また、テーマパークのような場所で表現するものには、20mm以上の厚みが必要になるため、塗り付けるモルタルの重量に耐える下地を作ることが必要です。

モルタル用シーラーを塗布することで、下地の急激な吸水を防ぐことができ、下地とモルタルの接着力を高める効果も期待できます。モルタルを塗る前に下地に塗布するほかに、モルタルに混ぜることでも効果が出るものもあります。

造形

モルタルの表面がある程度乾燥し、表面を触ってもべたつかなくなったら、ブラシやコテなどでレンガや石など好みの形を細かいところまで作っていきます。使用するモルタルや表現したいものによっては、完全に乾ききる前のやわらかい状態から削りだすこともあります。コテに関しては様々な種類・形のものがあるため、その時々の用途に合わせたものを使用していきます。

乾燥

造形が完成したら、1~2日ほど放置し乾燥させます。しっかりと乾燥したら、ホワイトブラシなどで削りカスやバリを掃除してきれいに仕上げます。

シーラー塗り

モルタルが乾燥したら、塗装前にシーラーを塗布します。シーラーを塗布することで、下地への吸い込みを防止する効果があったり、防藻や防カビ効果があったりするものもあります。

エイジング(色付け)

ベース塗りしてしっかりと乾いたら、塗料を使用して色付けしていきます。レンガ造りや石の質感を出すために、あえて汚していくことで本物そっくりのできになります。エイジング塗装をすることによって、月日が経ったような古びた質感をリアルに再現でき、実際に外国に来たような古い街並みやノスタルジックな非日常の雰囲気を作り出すことができます。

仕上げ

カラーが乾いたら、完成です。完成後に水性ウレタンクリアを塗ると、塗膜保護することができます。

まとめ

今回は、モルタル造形について紹介してきました。モルタル造形がどのような場所に使われているのかを知れば、意外と普段から目にしている部分ももしかしたらモルタル造形かもしれないと思った方もいたかと思います。

実際に、現在では店舗の内装や外装に使われることも増えてきましたので、リフォームなどを考えている方は、モルタル造形を取り入れてみることを検討してみてください。

こちらの記事で掲載している店舗の画像は、すべて私たち株式会社TOでデザインいたしました。気になるデザインがございましたら、お気軽にお問い合わせください