2021年から著しい高騰が続いている建築資材。世界情勢も相まって、その勢いは止まりません。建築資材の値上がりは業者のみならず、顧客にとっても頭の痛い悩みです。
この値上がりは、いったいいつまで続くのでしょう。また、なぜ建築資材がここまで高騰したのでしょう。一筋縄にはいかない建築資材の値上がりの理由を解説します。
建築資材の値上がり問題の概要(ウッドショック)につきましてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
建築資材の値上がり
一口に建築資材といっても、さまざまな資材があります。そのほとんどが値上がりしたといっても過言ではありません。
ここ数年で値上がりした建築資材
- 木材
- 鉄鉱石
- 鉄鋼
- 銅
- ニッケル
- 石炭
- ガラス
- 内装材
実際に値上がりされた建築資材は、ザッと挙げてみてもこんなにたくさんあります。中でも群を抜いて値上がりされているのが「木材」「合板」「鉄鉱石」です。どれも建築では欠かせない資材ばかり。これだけの資材が値上がりすると、必然的に商品も値上がりの対象になります。また、急激な値上がりにより、最初に見積もりした時よりも追加請求されるという問題も起こっています。
建築資材が値上がりした理由
なぜ、こんなにも建築資材が値上がりをしたのでしょう。その理由は大きくわけて3つあります。どの問題も、日本国内の製作だけではだけではどうすることもできず、世界の動きを見なければいけないというのが実情です。
資源のない日本は輸入がメインであること
残念ながら、日本には十分な建築資材がありません。そのため、建築に必要な原材料は輸入に頼るしかないのです。その輸入もウクライナ情勢によりスムーズにいかなくなりました。世界情勢で原材料が高騰したのと同時に円安が追い風となり、メーカーも建築資材を値上げせざるを得ない状況となっています。
資材の輸入商戦に後れをとった日本
輸入の割合が特に多い木材や鉄鉱石。これらの輸入を他国が大量購入したことも建築資材が値上がりした原因となっています。コロナ禍の影響で、世界中で広まったテレワーク。そのおかげで住宅需要が急激に増えました。そこに目を付けた他国は、住宅に欠かせない木材や鉄鉱石を大量に輸入。国内の資源だけではとてもまかなえない日本にとって、かなりの痛手となりました。
日本に十分な資材が輸入できない状況に追い込まれた結果、建築資材の値上がりにつながっていったのです。木材は国内でも多少補えますが、それでも満足いく量ではありません。鉄鉱石に限っては、100%輸入に頼っているため、他国の大量輸入は日本にとって辛い現象です。
コンテナ輸送と原油価格の高騰
輸入するためにはコンテナが必要です。そのコンテナも他国に優先されているため、コンテナの確保も難しくなりました。他国はコンテナ輸送にも多額の金額をつぎ込むため、日本に十分なコンテナが回らないという現象が起きています。またウクライナ情勢により、ロシアからの原油供給が減少。各国がこぞって原油を買い集めた結果、原油価格の高騰と二重の負のスパイラルが起きてしまいました。
建築資材はいつまで値上がりが続く?
2021年から目まぐるしい値上がりが続いている建築資材ですが、今後もしばらくは値上がりが続く状態が続くことが予想されています。
まずは、ウクライナ情勢が収まることが先決です。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が収まったとしても、簡単には建築資材が値下がりすることはないでしょう。というのも日本をはじめ、各国がロシアへの経済政策を進めています。この経済制裁は長期化するという見方が強いこともあり、原油価格の高騰をはじめ、すぐには元の状態に戻らないという意見が強いです。
2022年に入ってからも、3月4月と立て続けに建築資材の価格上昇が起きている日本。当面の間は、建築資材は右肩上がりの価格、または据え置きと考えておいた方がよいでしょう。
建築コストの増加を踏まえたプランの策定が重要
建築資材の値上がりは、さまざまな要因によって起こっています。どの理由も世界情勢が関係してくるため、容易なことでは解決できないのが現実です。ロシアのウクライナ侵攻が早急に収まれば、状況も少しは変わってくるかもしれません。しかしその見通しが経つのはしばらく先になるでしょう。
だからこそ、予め建築コストの増加を踏まえた上で、これまでの予算感をアップデートして新しい予算感でお店づくりに取り組んでいくことが重要です。お店作りにかかるコストだけではなく、お店ができたあとのランディングコストも見据えた建築プランを考えましょう。
私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。お客様と「持続可能なお店」を作り上げることを理念として、店舗デザインに対して真摯に向き合い、長く続けられる最適なプランニングをしております。私たちと一緒に、もう一度プランを考え抜きましょう。