内装における集成材と無垢材の違いとは?特徴やメリットデメリットをご紹介

木材種類 建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

新しい店舗の内装設計にともない、内装の素材に集成材(しゅうせいざい)と無垢材(むくざい)のどちらを使用するべきか悩まれているオーナーの方は、多いのではないでしょうか。

集成材と無垢材はどちらも内装設計には欠かせない素材です。しかし、集成材と無垢材の特徴やメリット・デメリットを理解していないと、劣化が早く進んでしまったり内装にかける金額が高くなってしまう可能性も。

そこでこの記事では、内装の素材で人気のある集成材と無垢材の特徴からメリット・デメリットまでを解説していきます。ぜひ最後までお読みください。

また、こちらの記事では店舗の内装に使われる木材の種類について解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。

集成材(しゅうせいざい)と無垢材(むくざい)の違いとは

集成材と無垢材の違い

集成材を一言で表すと「人口木材」です。小さく切り分けた複数の木材を乾燥させて、接着剤で組み合わせて作ります。

一方、無垢材は「自然の木材」です。伐採した木材を乾燥させてそのまま使用します。自然の木材をそのまま使用するか、人工的に木材を作って使用するかが、集成材と無垢材の違いです。

集成材の特徴

ラーメン店のカウンター

一般的に内装で使用される集成材の種類は以下の3つです。これらの集成材は、それぞれ使用する用途が異なります。どの部分に適している集成材なのかも含めて、これから解説していきます。

①構造用集成材

構造用集成材は強度が高い素材です。一般的には、建物の柱や梁、桁、土台などの構造部分に使用されます。国土交通士省の公示に基づいて材料強度が定められており、強度性能や耐火性能、耐久性能を求められる建物には、必要不可欠な材料となっています。

②造作用集成材

見た目の美しさが特徴的な造作用集成材。無垢材の中から、短いものや幅の狭いもの、反りや節の多いものを使えるように加工し、寄木して貼り合わせた集成材を指します。

主に、階段や壁面、床、カウンター、食卓のカウンター、和室の敷居などに使用されます。豊富な木材の種類と色柄に加え、特殊なサイズや形状にも対応できるのが、造作用集成材のポイントです。造作用集成材を使用したカウンターの種類に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。

③ハイブリット集成材

集成材の中でも新素材の位置付けになるのが、ハイブリット集成材。内部に鋼材を内蔵した集成材です。内装には軽くて粘りのあるスギを使用しているものが多いです。

外装には強くてたわみのあるベイマツがよく用いられます。内部に鋼材を含んでいることにより、耐火構造の条件となる「燃えどまり」が起こるのがポイントです。火災が起きても全焼しません。建築基準法の一つである耐火建築物の基準を、木造建築でクリアできる部材として注目を集めています。

集成材を使用するメリット

アパレルの店舗デザイン

品質が安定している

厳選した木材を使用し加工するため、品質のバラツキがなく大きさや色味などを統一できます。品質バラツキがないため、綺麗な内装を作ることが可能です。しかし、集成材といえども木であることには変わりありません。反りや狂いを防ぐためにも、DIYなどで使用する際はしっかりと乾燥させることが需要です。

素人でも加工できる

しっかり乾燥している木材を使用し加工してある集成材は、反りやひび割れが起こりにくいのも特徴です。湿気の多い場所でも変形する可能性が低いため、DIYで使用しやすい素材になります。また、施工後も壁やフローリングなどにすき間ができるリスクも抑えられるのもメリットの一つです。

強度が高い

一般的な木材の場合は、使用する部位によって強度が異なり、内部割れを起こす可能性もあります。しかし、集成材の場合は、建築基準法によって定められている基準を超えた素材になるため、一定以上の強度が保たれています。強度面にもバラツキができないのが集成材のメリットです。

集成材を使用するデメリット

木材特有の温かみが薄れる

集成材は強度が強い分、無垢材と比べて肌触りが硬く温かみを感じられにくいです。冬場などは、フローリングが冷たく感じられ、底冷えする可能性が高いでしょう。タイルシートやカーペットなどで底冷え対策をする必要があります。

木材が持っている調湿効果が劣る

人口的に加工して作っている素材のため、自然の木材特有の調湿効果もあまり期待できません。梅雨時期や夏場の室内は、湿気でジメジメしやすくなります。エアコンや除湿機などで湿度調整する必要があるでしょう。

体に悪いモノも存在する

一昔前までは、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドが出る接着剤を使用していたため、社会問題となっていました。現在は、安全基準が設けられたのをきかっけに、ホルムアルデヒドがでない接着剤を使用しています。

しかし、すべての集成材が安全というわけではありません。集成材も種類が多く存在するので、どれが安全なのかは業者に確認してみるといいでしょう。

無垢材の特徴

無垢材の特徴

無垢材の特徴はなんといっても、木材ならではの風合いが出ること。天然の木材を加工せずに使用するので、木材特有の香りや肌触りを感じることができます。

デザイン性が求められる壁やフローリング、家具、インテリアの使用に向いています。また、ダイナミックな木目や経年変化から高級感を演出できるため、非日常感を求められるお店の内装の使用にも向いているでしょう。

無垢材を使用するメリット

無垢材の特徴

身体に優しい素材

無垢材は自然素材になるため、集成材に使用する化学接着剤を使用していません。有害な物質を発することがないため、身体に優しい素材です。

調湿機能がある

天然の木材からなる無垢材は、空気中の水分を吸放出し、湿度を一定に保つ調湿機能を持っています。湿度の高い梅雨時期や夏でも、快適な環境を作りの一翼を担うでしょう。

心地よく感じる

夏に無垢材に触れると、ひんやりした冷たさを感じることができます。冬は木が持っている低熱伝導率により、暖かく触れても冷たさを感じません。人が心地よく感じる過ごしやすい空間を作り出してくれます。

無垢材を使用するデメリット

無垢材のカウンター

木材が変形してしまう可能性がある

調湿機能を持っている分、木材が伸び縮みしてしまいます。壁やフローロングに隙間ができてしまったり、テーブルなどの家具やインテリアが反ってしまう可能性があるでしょう。特に、湿度が高い環境にあると反りが起こりやすくなるので、内装設計の段階での素材選びは入念におこなってください。

キズや汚れがつきやすい

無垢材は表面加工が施されていないため、汚れや傷がつきやすい難点があります。キズや汚れをあじと感じられる場合は大丈夫ですが、目立つキズや汚れは取り除きたいものです。

綺麗な状態を保つためにも、無垢材の補修方法の知識を頭に入れ、定期的なメンテナンスを欠かさずおこないましょう。料金はかかってしまいますが、専門の業者に依頼するのも一つの手です。

高価なものが多く入手しづらい

集成材と比べて無垢材は価格帯が高いものが多く、希少な種類の木材だと部材を揃えるのに時間がかかってしまう場合があります。価格が高くなる最大の要因は、大量生産ができないこと。また、内装工事に手間がかかるためです。

人件費が余分にかかる分、価格が高くなってしまいます。とはいえ、無垢材の価格もピンからキリまであるので、さまざまな種類をみた上で、予算と相談しながら決めるといいでしょう。

まとめ

集成材の内装

この記事では、内装の素材で人気のある集成材と無垢材の特徴からメリット・デメリットまでを解説してきました。集成材と無垢材はそれぞれ異なった特徴を持っています。どちらを内装に使用するかは予算と表現したい内装によるでしょう。上記のポイントを理想の内装作りに活かしてみてください。

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