店舗建築にかかる実際の費用はどれくらい?平均予算はどれくらいあると安心?これまでのデザイン経験と事例をもとに紹介します

デザイン設計費用の計算方法
デザイン設計費用の計算方法

店舗を建築して開業する場合、どのくらいの費用が必要なのでしょう。店舗開業では、居抜き物件やスケルトン物件を利用することが多いため、新築の店舗建築では費用相場が分かりにくいのが現状です。

店舗建築の予算を組むにあたり、実際に必要な予算についてさまざまな視点から解説していきます。また、店舗建築費用を抑えるコツについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

店舗デザイン費用の計算方法や相場感については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。

店舗デザイン・設計費用の料金相場の決め方|計算方法と相場感をわかりやすく解説します
店舗を新しく開業したり改装する際、工事を行う前に店舗のデザイン・設計を考えなければいけません。開業前の資金はできるだけ安く抑えたいのではないでしょうか。今回はややこしい店舗デザイン・設計の料金相場の決め方をシンプルにわかりやすく解説します。デザイン設計の料金は施工業者に設計も一括で依頼する場合は、工事内容や業者によって変動してきます。

店舗建築の費用は構造別によって大きく異なる

店舗建築にかかる実際の費用

店舗建築でまず決めておきたいのが店舗の構造です。どんな構造にするかによって、店舗建築の費用は大きく異なります。以下は2022年度の全国の平均建築費です。店舗の建築費用の予算を組むうえで、どんな構造で建てるのかここで吟味しておく必要があります。

構造別 全国平均の坪単価
鉄筋コンクリート造 約121万円
鉄骨鉄筋コンクリート造 約69万3,000円
鉄骨造 約57万9,000円
木造 約57万1,000円

鉄筋コンクリート造の特徴

鉄筋コンクリート造はRC造とも呼ばれている構造です。鉄筋コンクリート造の特徴は、耐火性・防音性・耐震性・気密性・耐風性・耐水性が高いことです。

本来、鉄は火に弱い性質ですがコンクリートに覆われているため、耐火性に優れています。また、温度が上昇し高温状態が続いても、鉄筋コンクリートの強度は落ちません。

一方で、夏は暑く冬は寒くなりやすいという特徴も持っています。そのため、店舗として私用する場合は、光熱費が高くなるというデメリットがあります。また、結露やカビが発生しやすいため手入れが必要です。

鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴

鉄骨鉄筋コンクリート造はSRC造とも呼ばれています。鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴は、耐震性や耐火性に優れていることです。あらゆる構造の中でもトップクラスのため、高層建築に多く使われます。少ない本数の柱で大きな空間を作れるのも、鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴です。

一方、複雑な構造のため工期が長くなるというデメリットがあります。高層建築以外に使われることは少ないため、店舗の規模によっては不向きな構造と言えるでしょう。

鉄骨造の特徴

鉄骨造の特徴は品質が安定しており、耐震性や耐久性に優れていることです。また、工場である程度部品を組み立てて現場に運ぶことができるため、短い工期で店舗を完成させることができます。ほかにも、間取りの自由度の高さや害虫被害を防げる点もメリットとして挙げられるでしょう。

しかし、通気性・断熱性が低いというデメリットを持ち合わせています。外気の冷気の影響を受けやすいため、断熱対策を強化する必要があります。

木造の特徴

もっともコストを抑えられるのが木造です。木造の特徴は軽量で設計の自由度が高いことが挙げられます。木造は日本の気候にもっとも適した構造で、断熱性に優れており通気性が良いのも特徴です。

一方、木造の場合、耐震性や耐火性は劣ります。また、白アリやキクイムシは木を食べるため外注対策は欠かせません。木造は耐用年数も短いため、定期的なメンテナンスが必要になります。

広さ別の店舗建築にかかる大まかな目安費用

店舗建築にかかる大まかな目安費用

店舗建築で必要になる費用について、広さ別に解説していきます。建物の構造によって必要な費用に差はありますが、おおよその目安として確認してみてください。10坪の小さな店舗でも、最低1,000万円は予算を組んでおく必要があります。

坪数 費用相場
10坪 約1,000万円~1,500万円
20坪 約1,800万円~2,500万円
30坪 約2,500万円~4,000万円

店舗建築費用の内訳

店舗建築費用の内訳

店舗建築に必要な内訳は、土地代、建物費用、内装費用、設備費用などがあります。それぞれの費目の定義も覚えておきましょう。

内訳 概要
土地代 土地に関わる費用のこと。土地の購入費以外に、地盤調査費用・地盤改良費用などがかかることもある。
建築費用 建物の建築に関わる費用のこと。外構工事費・解体工事費なども含まれる。
内装費用 建物内部の内装にかかわる費用のこと。床・壁・天井表面の仕上げなどが主な内容になる。
設備費用 電気・水道・ガスなどの設備に関する費用のこと。電気工事、水道工事、ガス工事、給排気工事、空調設備工事などが主な内容になる。

建築費用で大きな影響が出るのは土地代です。繁華街や人気エリアは、必然的に1坪あたりの土地代が高いため、おのずとほかの費用にも影響が出てきます。

建築費も構造によって大きく変わるのは、先ほど説明した通りです。店舗を建築する際は、コンセプトに合った構造を選んでみるのもいいでしょう。例えば、古民家風の店舗をイメージしているのに、鉄筋コンクリート造で店舗を建築すると莫大な費用がかかります。

また、内装費も基本的に坪単価で計算されます。内装費の場合、狭い店舗の方が坪単価が高くなりやすい傾向にあるため、見積もり時に確認しておくようにしてみましょう。

業種によって必要な設備費は異なります。設備費がもっとも必要なのは飲食店です。飲食店は厨房設備が必要になるため、ほかの業種よりも高い傾向にあります。また、美容室やエステも設備費は高いですが、飲食店のようにガスや火を使わないため、その分安くなります。

店舗建築の費用を大きく左右する要素

店舗建築の費用を大きく左右する要素

店舗建築の費用では、立地条件や店舗の構造、建築材料によって大きな差が生まれます。これらの要素を把握しておくと、予算がどの程度必要なのか予想がつくでしょう。店舗建築費用に影響する3つの要素について解説していきます。

立地条件

立地条件は土地代を大きく作用する要素です。駅前や交通アクセスの良い場所は人気のエリアとなっており、土地代も高騰します。土地代が高くなると建築費用へ直結するため、店舗建築の費用は相場よりも上がるのが現状です。

また意外に思うかもしれませんが、敷地の狭い土地も建築費用が高くなる傾向にあります。狭い土地はデザインの構造が複雑になりがちなのが大きな理由です。

店舗の構造

店舗の構造については、前述で解説した通りです。木造であれば1坪あたりの単価も安く収まりますが、鉄筋コンクリートだった場合は1坪あたりの単価が高くなります。

店舗の業態やコンセプトによって最適な構造は変わってくるでしょう。どんな構造が良いのかは、施工会社と相談して決めるのがおすすめです。

建築材料

近年の世界情勢によって、建築材料は高騰しています。建築業界ではウッドショックやアイアンショックの影響もあり、今後も建築材料の高騰が予想されているのが現状です。

世界情勢の影響を避けられない建築材料もありますが、それとは別に高級な建築材料を使えば、おのずと建築費用も上がっていきます。耐久性や品質に考慮しながら、廉価な建築材料も検討してみるといいでしょう。

店舗建築費用を抑えるコツ

店舗建築費用を抑えるコツ

店舗建築費用は、先ほど紹介した3つの要素を見直すだけでも費用を抑えられます。それ以外にも、建築費用を抑えるコツがあるので紹介します。

物件探しは施工会社と同行

店舗の物件探しは自分一人で行いがちですが、デザイン会社と同行して探すようにしてみましょう。

その理由は以下の通りです。

  • 希望に沿った工事ができるか判断できる
  • 物件の仮押さえにも大きな影響を与える

立地条件がいくら良くても、希望に沿った建築ができなければ意味がありません。施工業者との同行であれば、素人では分からない視点で判断してもらえます。メリット、デメリットを含めて物件を判断してみてください。

建物自体の仕様変更

施工会社に見積もりを取った段階で、どうしてもコスト削減できないということも考えられます。

その場合は、思い切って建物自体の仕様変更を検討してみるのもおすすめです。例えば、「建物面積を10%小さくしてみる」という提案だけでも、建築費用を抑えられる可能性があります。

10%面積を小さくしてどのくらい営業に影響が出るのか、また小さくすることによって生産性は変化するのかなど確認してみるといいでしょう。

ただし初めから狭い敷地だった場合は、10%面積を小さくすることでデメリットになる場合もあります。可能であれば、複数社に同じ条件で見積もりを取って見比べてみるのもおすすめです。

まとめ

店舗建築の費用相場

店舗建築の費用は10坪でも最低1,000万円はみておかなければいけません。ただし、店舗の構造や立地条件によっては、相場よりも安く抑えられる可能性もあります。

好条件の立地は土地代も高いため、店舗建築費用にも大きく影響してきます。店舗の広さや構造、建築材料なども加味してみるといいでしょう。

また、店舗建築をしても集客につながらなければ意味がありません。コンセプトを明確にし、集客につながる店舗デザインを意識するようにしてみてください。

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