商圏とは?店舗開業時に必ず定義づけすべき商圏調査の考え方をわかりやすく解説します

店舗独立開業のポイント
店舗独立開業のポイント

皆さんは「商圏」や「商圏調査」という言葉を聞いたことがありますか?語感からなんとなく想像できる方もいらっしゃるかと思いますが、きちんと説明できないのではないかと思います。今回は、小売業、飲食業、サービス業などで使われる「商圏」について紹介していきます。

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商圏とは

商圏

商圏とは、店舗ビジネスにおいてその店に来店を見込める顧客が住んでいる範囲のことを指し、エリアマーケティングにおいて非常に重要な概念です。

商圏を把握することは、ビジネスの基本であり、その成否に大きく影響する要因でもあります。商圏の範囲はその店の業態、ターゲットとする地域の人口動態、消費者の移動手段や経済状況、競合店の存在などによって変わります。

商圏の範囲

商圏調査

一般的に商圏の範囲は、店を中心とした「半径の距離」で表現されることが多く、顧客の移動手段によってその範囲は変化します。また、商圏の範囲を「5分~10分」というように移動に要する時間で表すケースもあります。

商圏の範囲は、都心か地方か、駐車場があるかないか、エリアにどのような年齢層の人が居住しているかなどの前提条件が変わることで、それぞれ距離や時間なども異なってきます。商圏範囲の例として以下のようなものを挙げることができます。

業態 範囲 移動手段
コンビニエンスストア ~500m 徒歩
飲食店(定食屋、中華料理店等) ~500m 徒歩
ファミリーレストラン 2~3km 自動車
大型小売店 10~20 km 自動車
ドラッグストア 2~5km 自動車

商圏バリアについて

商圏バリアについて

商圏バリアとは、お客様の来店を妨げる要素と捉えておきましょう。

商圏は店から半径500mや徒歩5分~10分というように円で表現されることが多いですが、山や川などの自然の造形や学校や大型ショッピングモールのような大きな施設によって、歪められることがあります。このように、商圏を歪める要因のことを商圏バリアと呼びます。

また、道路の向かい側にある店舗に行くのに、その地点から徒歩5分ほどのところにある横断歩道や歩道橋を渡る必要がある場合、その分ロスが発生し、面倒だと思うようになります。そのため、道路の反対側は商圏から外れる、と考えることもあります。

このように、物理的、心理的に来店を遠ざける要因が商圏バリアであり、道路状況や川などの自然造形、学校や大型施設などが例として挙げられます。

しかしながら、これらは必ずしも商圏バリアとなるわけではなく、逆に集客のきっかけになることもあります。学校があれば、その分商圏範囲外の人の集客が見込めますし、商圏内に競合店がなければ、商圏バリアとはなり得ません。

商圏分析・調査

商圏分析調査

商圏分析のための方法として、データ分析とフィールドワーク調査を挙げることができます。商圏分析・調査を実施するときには、政府が公開している統計調査のデータをもとにした分析で事足りる、と考える人もいるかと思いますが、人の流れを阻害する川や大きな建造物が存在しているなどの情報はデータからだけでは読み取ることができないため、フィールドワーク調査と組み合わせることが重要です。

商圏分析には、一般的に以下のようなものがあります。

人口動態に基づく分析

人口動態分析

対象エリアの人口動態(人口の流入・流出、出生、結婚・離婚など)の統計調査を利用することで、どのような層(独身者、夫婦、子どもがいる家庭など)が店の周辺に居住しているかを把握することができます。

データ分析をすることで、現在の分析だけでなく、今後の人口も予測可能であり、現在および近い将来のマーケティングに有効活用することができます。

消費者のライフスタイル調査・分析

市場調査で商圏内に居住する人の世帯収入や移動手段、消費動向などを把握することで、居住者のライフスタイルを分析します。また、年齢層や家族構成ごとのライフスタイルなどもあわせて分析し、消費者の消費志向を把握することで、商品開発や店舗の品ぞろえに活用することができます。

競合店の商品やサービスの調査・分析

競合店の立地や規模、販売している商品やサービスを分析することで、そのエリアの消費者がどのような基準で店を選ぶかの参考にすることができます。競合店に対抗できる品揃えや価格帯、営業時間、コンセプトなどを決める際に役立ちます。

商圏バリアの調査(フィールドワーク)

実際の人の流れは、道路の状況や山・川などの自然の造形、学校などの商圏バリアがあるかどうかで変わってきます。そのため、実際に現地に赴き調査することで、事前に商圏バリアとなり得るものがあるかどうかを把握することが重要です。現地に訪問できない場合は、商圏バリアを考慮した分析方法を検討するようにしましょう。

なぜ商圏分析・調査が必要なのか?

商圏調査の重要性

商圏分析・調査を実施するには理由があります。商圏分析を実施し、出店しようとするエリアの消費者ニーズをきちんとつかむことができれば、新規出店の成功につながります。

また、出店後も定期的に商圏分析を実施し、対象エリアの特性や消費動向の変化などを把握することで、経営が立ち行かなくなるリスクを低減させ、店舗の売上を向上させる足がかりとなります。

さらに商圏分析・調査を実施することで、新商品の開発やプロモーションや広報に役立つだけでなく、将来展開を見据えた経営計画を立てることもできます。

まとめ

名古屋の商圏調査サポート

今回は、商圏分析・調査について紹介してきました。店舗を開業するうえで、その後の集客を決める要ともなる調査となることがお判りいただけたと思います。また、開店後も継続して分析・調査を実施することで、売り上げの向上にもつながりますので、継続して実施しましょう。

また私達TOは、ご依頼いただいた施主様と一緒に物件の現地調査や商圏調査に動向します。これまでの多数の出店に関わってきたら経験から、物件選びの段階から、サポートさせていただきます。商圏選びや物件調査でお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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