このように、飲食店を経営する上でマスタープランを作成すべきか悩んでいるオーナーの方は多いのではないでしょうか。結論からいうと、マスタープランは、将来的に5店舗以上の多店舗化を考えているなら作るべきでしょう。
マスタープランを作らないで多店舗化を図ると、店舗デザイン決めに時間がかかり、オープンするまでに長い期間がかかってしまう、なんてことがありえます。
そこで、この記事では、店舗デザインにおけるマスタープランの意味、マスタープランを使用するメリット、マスタープランを作成する際の注意点について、解説していきます。
店舗デザインのマスタープランとは
マスタープランを簡単にいうと、「店舗デザインの設計指示書」です。主に飲食店や小売店などが多店舗化をする際に使用します。チェーン店やフランチャイズ店の物件取得から開業までが早いのは、マスタープランを使用しているからです。
マスタープランを使用して新規出店をする場合は、店舗デザインの大部分が決まっているため、1から店舗デザインを決める必要がありません。デザイン会社や施工会社との打ち合わせを最小限にできるので、新規出店までの期間を大幅に短縮できます。
また、店舗設計に関するもっとも基本的な基礎知識は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらの記事も合わせてご参照ください。
店舗デザインのマスタープランで決めるべきこと
マスタープランでは以下8つを決めておくといいでしょう。
- 店舗のコンセプト
- 店内レイアウトの概要
- 厨房レイアウトの概要
- 家具やインテリアの大きさや素材
- 内装のテーマカラー
- 壁や床、天井の素材
- 照明器具
- 厨房機器・設備リスト
マスタープランを決める上でのポイントはゆとり幅をもたせること。物件によって広さや形状がことなるため、アレンジや臨機応変な対応ができるように、ガチガチに決めすぎないようにしましょう。
最初のうちは、優先順位を決めるなど、その都度対応できるマスタープランを作成してみてください。基本的に、上記8つを決めておけば問題ありません。
より細かく決めたい場合は、外観のイメージやレジカウンターのレイアウト、トイレの内装などをマスタープランに組み込んでみてもいいでしょう。
店舗デザインのマスタープランのメリット
マスタープランを作るメリットは以下3つです。マスタープランがあることで、新規店舗を出店する際に上記3つのメリットを得ることができます。これから3つのメリットをこれから解説していきます。
①開業費用の削減
デザイン会社や施工会社の費用は、1から店舗デザインの設計にかけた工程の数で決まるのが特徴です。店舗デザインの設計にかける工程の数が少なければ安くなり、工程の数が多ければ高くなります。マスタープランを使用することで、店舗デザインを1から設計する工程を省けるため、デザイン会社や施工会社に支払う費用を削減できます。
②開業までの時間短縮
店舗デザインのマニュアルがあると、デザイン会社や施工会社との打ち合わせの短縮化、必要な設備や家具、インテリアなどの検討時間の削減など、さまざまな面で時間を短縮できます。マスタープラン次第ではありますが、1から作る店舗デザインより1.5倍以上の早さで開業ができるでしょう。
③店舗に統一性を出せる
多店舗化では、お店ごとに店舗デザインの差をなくすことが重要です。マスタープランを作っておくと、多店舗化をする際にコンセプトやイメージなどを統一できます。お店ごとに店舗デザインがバラバラにならないため、お客さまに対して、どのお店でも同じ雰囲気や安心感のある空間を提供することができます。
店舗デザインのマスタープラン作成の注意点
マスタープランを作成する際は、以下3つのポイントに焦点を当てましょう。マスタープランを効率よく作成できます。また、マスタープランを作成する際に失敗を防ぐことができるでしょう。
①マスタープランの予算
依頼するデザイン会社や設計会社によりますが、マスタープランの作成に充てる予算を決めておきましょう。重要なポイントは「将来的にどのくらい多店舗化を図るのか」です。
何店舗以上からという決まりはありませんが、5店舗以下などの新規出店だと、1から店舗デザインを作成するより、マスタープランを作成する方が高くついてしまう可能性があります。今後の多店舗化の構想を明確にし、マスタープランの作成に充てる予算を決めた上で、専門業者に依頼しましょう。
②マスタープランを一緒に作成する業者
飲食店のマスタープランの作成実績があるデザイン会社や、設計会社に依頼するのが適切でしょう。飲食店の場合、お客さまとスタッフ両方の動線を考えた店内のレイアウトや、飲食店の店舗デザイン特有の厨房設計などがあります。
飲食店のマスタープランの作成や店舗デザインの実績がない設計会社に依頼すると、店内レイアウトや厨房設計が上手くいかず、理想のマスタープランになりません。マスタープランの作成に失敗しないためにも、飲食店のマスタープランの作成実績が豊富なデザイン会社・設計会社を選びましょう。
③マスタープランをどこまで決めるか
チェーン店などある程度の知名度がある場合は、マスタープランで大部分を決めてしまっても問題ありません。しかし、知名度がないお店の場合は、出店する地域によって客層が変わってくるため、臨機応変に対応できるマスタープランの作成が求められます。
まだ、少数店舗で知名度がないのであれば、お店の方針であるコンセプトやイメージ、厨房設備などは固定し、その他の家具やインテリア、素材などはアレンジの効くマスタープランにするといいでしょう。
知名度や店舗数に合わせて、出店の都度マスタープランを変更してみてください。デザイン事務所と相談して店内レイアウトを決めたい場合は、どの様なデザイン事務所を選んだら良いのでしょうか。こちらの記事で解説しておりますので、ぜひご参照ください。
まとめ
この記事では、店舗デザインにおけるマスタープランの意味、マスタープランを使用するメリット、マスタープランを作成する際の注意点について解説してきました。
飲食店で多店舗化をスムーズにするには、マスタープランの作成がポイントとなります。上記のポイントを参考にして、物件や環境に適用できる応用度の高いマスタープランを作成してみてください。
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また、理想のイメージを伝えたと思っても実際、思い通りにならなかったということがあります。こちらの記事ではデザインイメージの伝え方について詳しく解説しています。合わせてご参照ください。