建築物の梁(はり)とは? 柱となにが違う?大梁と小梁の違いなど「梁」を徹底解説します。

梁とは 建築工事の基礎知識

建築物の設計や工事の際に、よく耳にする梁(はり)という部材。柱や壁・屋根と違い、普段聞きなれない言葉であるため「梁とは、何のことなのかわからない」と思う方も少なくないと思います。本記事では梁について、その意味や柱との違い、種類や寸法についてご説明いたします。

梁(はり)とは?

梁(はり)とは

まずは梁の持つ意味についてご説明いたします。梁という漢字は、河川の両端を結ぶ「渡し橋」という意味の由来を持ちます。建築物においては柱同士を水平に結ぶ構造躯体としての意味を持ちます。英語ではビーム(Beam)です。

梁(はり)の重要性

梁(ハリ)の重要性

梁は建築物において水平方向の力を支えるためにとても重要な役割を果たします。日本では、横揺れの発生する地震が頻繁に発生するため、よりその重要性が高いともいえます。

梁は建築物の縦と横の2方向(90度で別れた二つの方向)を支えていますが、斜め方向の力による歪みを防ぐために、縦と横の梁の接合部に斜め45度の梁で補強することが一般的です。

梁(はり)と柱(はしら)の違い

梁と柱の違い

梁と柱はともに構造躯体です。構造躯体とは、建築物の力を主に支える部材のことを言います。梁と柱の大きな違いは垂直方向の力を支えるか、水平方向の力を支えるかどうかです。梁は主に垂直方向の力を支えるために水平方向に伸びている部材で、柱は主に水平方向の力を支えるために垂直方向に伸びている部材です。

垂直と水平という表現が入れ違いになっているため分かりずらいですが、梁は水平方向に伸びている構造躯体という認識で問題ありません。その他、建築工事でこれだけは知っておいてほしい!という知識をまとめました。こちらも合わせてご参照ください。

梁の種類(材料別)

次に梁の種類についてです。梁はその材料(建物の構造)・役割・支持条件によって呼び方が異なります。それぞれについてくわしくご説明いたします。

梁の材料となるものは、木造、鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)の3種類です。それぞれに用途が異なり、建築物の規模や設計により異なります。それぞれの材料の用途、メリットデメリットをご紹介します。

木造梁(もくぞうばり)

近年、木造は住宅や小規模店舗だけでなく、公共施設などの大規模な施設でもその利用がなされています。木造に用いられる梁は、ベイマツや杉・カラマツなどの針葉樹が用いられることが多いです。

昔ながらの民家では、職人の技術によって大きな丸太の形そのままで梁として用いられている事例があります。梁を天井で隠さず、その形状美を魅せることで建物の表情をより豊かに感じさせるなどの創意工夫がみられます。

梁を見せることで天井に奥行きが生まれ、空間に解放感が生まれます。

鉄骨梁(てっこつばり)

鉄骨梁(Iビーム)

大規模な柱スパン(間隔)をとるものはその垂直方向の荷重を支えるために強度の高い梁を設ける必要があります。そのため、大規模な施設や駅などでは鉄骨が用いられることが多いです。

鉄骨梁の多くはIビームと呼ばれる断面がアルファベットのIの形をした部材が多く使われます。I字型が採用される理由は、鉄はその他部材と比べてコストがかかるため、垂直方向の力を支えるために最低限必要な箇所以外の部分をカットしているためです。

RC梁(あーるしーばり)

RC梁

RCとはReinforced Concretoの略で、鉄筋によって補強されたコンクリートのことを言います。いわゆる鉄筋コンクリートですね。ビルやマンション、空港など大規模かつ強い強度が必要な施設で用いられます。

コンクリートは引っ張られる力に弱く、割れが発生してしまう恐れがあります。梁の下端部が、荷重を受けると左右に引っ張られる部分です。その弱い部分を補うために、引っ張られる力に強い鉄筋をコンクリートの中に仕込んだものがRCと呼ばれる構造となります。

梁の種類(役割別)

梁は役割ごとによってその名称が変わります。建物を建てるときに頻出する用語になりますので、それぞれの違い、定義をよく理解しておきましょう。ここでは代表的な3つの梁の呼称をご紹介します。

大梁(おおばり)

大梁(おおばり)の実例

大梁とは、建物自身や建具の荷重による長期的にかかる力と、地震や人の動きによって発生する短期的にかかる力、双方を支える役割を持つ梁のことを言います。一般的に大梁は、柱と柱同士を直接的に繋いでいる比較的大きな梁であるという認識で問題ありません。

小梁(こばり)

小梁(こばり)の実例

小梁とは、建物自身や建具の荷重による長期的にかかる力のみを支える役割を持つ梁のことを言います。一般的に小梁は、大梁と大梁の間にあり、比較的小さな梁であるという認識で問題ありません。

地中梁(ちちゅうばり)

地中梁(ちちゅうばり)の実例

地中梁とは、建物と地面の接合部、つまり地中にある梁のことを言います。地中梁の大きな役割は、建物がもつ大きな垂直方向の力を地面や基礎に分散させることで、建物そのもの及び一部分の沈下を防ぐことです。

支持条件(境界条件、支点条件)別の梁の種類

支持条件(境界条件)とは、建築や物理の業界で、建造物の端部の拘束条件を意味する言葉です。建築学では、この支持条件から、応力や変形の解析を行います。梁は支持条件によって種別されます。

単純梁(たんじゅんばり)

単純梁とは、工事の際の足場のように両端に支持をもつ梁のことを言います。梁を支える箇所(支点)が強く固定されておらず、回転することのできる遊びがあることが特徴です。

抽象的なイメージは、消しゴムと消しゴムの間に定規を橋のように置いたような状態です。代表的な実例は、鉄骨造の大梁に小梁をボルト接合した場合の小梁が単純梁に当たります。接合部は厳密にいうと「置いただけ」では無いですが、支点とみなされます。

両端固定梁(りょうはしこていばり)

両端固定梁とは、橋のように両端に支持をもつ梁のことを言います。梁を支える箇所(支点)が強く固定されている梁のことを言います。わかりやすく言うと、梁の両端がしっかり固定されている梁です。

両端固定梁

一般的な建築物全般に用いられます。皆様が目にする梁の多くは両端が壁や柱に固定されているため、構造力学上は両端固定梁に分類されます。

片持ち梁(かたもちばり)

片持ち梁とは、バルコニーや軒(のき)などで用いられる片側のみの支点をもつ梁のことを言います。英語ではキャンティレバー(カンチレバー)と呼び、現場ではキャンティと呼ばれることもあります。

片持ち梁

抽象的なイメージは、水泳プールにある飛び込み板です。荷重が外側に行けば行くほどてこの原理で支点に多大な負荷がかかってしまうため、強度が求められ、かつ長いスパン(間隔)をとることはできません。

梁(ハリ)の寸法

梁(ハリ)の寸法

最後に梁の寸法についてです。梁の寸法は材料の種類によってその規格が定められています。梁断面の縦方向は梁せい、横方向は梁幅(はりはば)と呼びます。各材料ごとにその寸法の算出方法をご説明いたします。梁は、それぞれの材料の中にも強度や得意とする荷重が様々で異なっています。本記事では一般的な寸法の算出方法を記載していますが、この寸法あくまでも目安ですので、ご承知おきください。

木造梁の寸法

木造建築の場合、梁せい・梁幅ともに、工場で生産された製材を用います。梁せいは10.5cm~14cm、梁幅は10.5または12cmの規格が用いられることがほとんどです。流通材として、全国どこでも手に入ることができるので基本的にはほとんどの木造建築がこの規格の梁材を用いて建設されています。

鉄骨造梁の寸法

鉄骨造の場合、梁せいの寸法は柱スパン(間隔)の15~20分の1の大きさとなります。例えば8mスパンの鉄骨造建築の場合、40cmの梁せいとなります。

S造の梁せいとスパンの比率は下記のとおりです。

    D/L=1/15~1/20

梁せい・梁幅ともに、工場で生産された製材を用います。最も一般的な梁せい40cmの場合、20・25cmの規格となります。

RC造梁の寸法

RC造の場合、一般的に梁せいの寸法は大梁小梁などその種類問わず柱スパン(間隔)の10分の1の大きさとなります。例えば5mスパンの木造建築の場合、50cmの梁せいとなります。

RC造の梁せいとスパンの比率は下記のとおりです。

D/L=1/10

一般的な建物ではスパンが6~8mに設定されています。つまり、梁幅が6~8mのスパンの時、地中梁45・50cm、大梁45・40cm、小梁40・35cmとなります。

おわりに

古民家の梁

本記事では、建築物の設計や工事の際によく耳にする梁について、その意味から種類・寸法をご説明いたしました。梁は普段聞きなれない分、その意味や種類について知っている方はあまり多くいらっしゃいません。

そのため、梁についての知識をもつと、より円滑に建築物の設計施工を進めることができるだけでなく、建築の話を通じて、設計や施工業者の方との親睦を深めることが期待できます。

建築物の設計施工は、様々な人々が関わり、費用や時間が多くかかるため、関わる人々の親睦具合がその質に大きく影響を及ぼします。建築を依頼される方と請け負う方同士が互いの持つ経験や知識に寄り添い、信頼し合える関係性を築けるよう願っています。

また、梁と柱を用いて表現する建築デザインに関しては、こちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。

建築工事の基礎知識建築工事業界の専門用語
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