このように、美容室の独立開業を試みているが、どのような手順を踏めばいいか悩んでいる、オーナーの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、美容室の独立開業の重要なポイントに焦点を当てつつ、大まかな流れを解説していきます。美容室の独立開業は、美容師にとって叶えたい目標の一つでしょう。自分自身が思い描いたお店をオープンできる、ワクワク感がたまりませんよね。
しかし、美容室の独立開業の流れを理解していないとスムーズなオープンができず、多額の費用がかかってしまったり、予定通りにオープンできない可能性が。美容室をスムーズにオープンさせるためにも、この記事をチェックしてみてください。
私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。
開業の流れ一覧
美容室の独立開業の大まかな流れは、以下11つのステップを踏みます。
- コンセプト決め
- 事業計画・資金計画を立てる
- 出店地域のリサーチ
- 資金調達の種類作成・手続き
- 物件の選定・申し込み
- 内装・外装デザイン決め
- 内装・外装の着工
- 従業員募集・採用
- 開業手続き・書類作成
- 保健所検査、営業許可取得
- 集客準備・宣伝
- オープン
上記11つのステップを一つずつ踏んでいくことで、抜けがないスムーズな開業ができるようになるでしょう。
①コンセプト決め
美容室を開業するには、まず開業する美容室のコンセプトを決めることから始めましょう。美容室のコンセプトが決まらないとお店の軸がなくなり、集客や売上の獲得に苦戦する可能性が高いです。
美容室のコンセプトを決めるには、5W2H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって・いくらで)を活用するといいでしょう。5W2Hを深く掘り下げていくことで、開業する美容室のコンセプトが明確になります。
明確なコンセプト決めが、今後の開業を左右すると思っておいてください。やり方がわからない場合は、デザイン設計事務所などに依頼するといいでしょう。
②事業計画・資金計画を立てる
開業には何が必要なのか、美容室の運営をどのようにしていくのかを決めましょう。銀行などから開業資金を借りるのであれば、事業計画が重要なポイントとなります。数字を交えながら、具体的に述べるようにしましょう。
同時に資金計画も一緒に立てるようにしましょう。内装・外装費や物件取得費、運営費、広告費にいくらかけるかの目安を立ててみてください。赤字にならないよう余裕を持った計画が大切です。
③出店地域のリサーチ
開業する美容室のコンセプトにあった客層が住んでいる地域なのかや、競合店が多いのか少ないのかなどをリサーチするといいでしょう。出店地域のリサーチが、開業する美容室の集客・売上にダイレクトに関わってきます。近隣店舗への聞き込みや不動産会社に、情報提供をお願いするといいでしょう。
④資金調達の種類作成・手続き
融資などを受ける場合は、事前に作成した事業計画書と資金計画書を基に、資金調達の書類を作成しましょう。開業資金の大半を融資にする場合は、資金調達の書類作成が重要なポイントになります。念入りにかつ説得力のある内容にするのを心がけてみてください。自己資金のみで開業する場合は必要ありません。
物件の選定・申し込み
出店予定地域のリサーチが終わったら、希望の物件の選定・申し込みをおこないましょう。人気物件の場合は早めに申し込まないと、他の希望者に取られてしまう可能性が高いです。また、物件の希望者が複数いる場合は、支払い能力や借りたい意思などが大きく関わってきます。貸主へのアピールを欠かさず行うようにしましょう。
内装・外装デザイン決め
物件の選定・申し込みと並行して進めていくのが、内装・外装デザイン決め。どのような内装・外装にするのかを、開業する美容室のコンセプトと照らし合わせながら決めていきます。内装・外装は、集客の重要なポイントの一つです。デザイン設計会社などに依頼して、一緒に考えるのが最適な方法になります。
どのようなお店にしたいのか、ターゲットはどのような人になるのかを明確にしておくといいでしょう。同時に、備品の購入やリース契約などの計画も立てておくと、スムーズに開業ができるようになります。
内装・外装の着工
内装・外装のデザインが決まったら、内装・外装業者を手配して工事の着工になります。工事の業者は、自分自身で選ぶもしくは、デザイン会社が斡旋している業者を選ぶになります。工事業者にも得意・不得意があるので、過去の実績を確認して決めるといいでしょう。併せて、費用面も考えながら選定することが大切です。
従業員募集・採用
従業員の採用は、意外と時間がかかります。開業日から逆算して、2・3ヶ月前から始めておきましょう。採用は美容室を開業・運営するに重要なポイントです。従業員と働く環境のギャップが生まれないように、すり合わせを何度もおこなってください。
開業手続き・書類作成「開業届」と「美容所開設届」
美容室の内装・外装を業者が作っている間に、美容室の開業手続きの準備を始めておくのがベストです。一般的な「開業届」と美容室の「美容所開設届」が必要になります。一般的な「開業届」は、管轄の税務署の窓口に行くか国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。提出は、オーナーの住所を管轄する税務署です。
一方、「美容所解説届」は、保健所の窓口やホームページから手に入れることができます。提出先も保健所になるので、一般的な「開業届」と間違わないように注意してください。
国税庁:開業・廃業届(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm)
保健所検査、営業許可取得
前述の通り美容室を開業するには保健所の許可が必要です。内装工事完了後、保健所へ後述する申請書類を提出い、確認検査を予約します。保健所職員立ち会いのもと、検査が完了したあと、要約許可が降りて営業を開始することができます。一般的な流れは以下のとおりです。
①開設届提出(開業の10日前から遅くとも営業開始の1週間前まで)
開業を申請するための必要書類を店舗がある地域の管轄の保健所に提出します。提出と同時に立入検査の日程を決め、検査手数料も支払います。開業届けの審査にはある程度時間がかかるので、開業の10日前には行いましょう。届け出に必要な書類関係は以下の通りです。
(1)美容所開設届
美容室を開業するとき専用の開業届です。保健所ごとに様式が異なるので、保健所に直接行って用紙を貰っておきましょう。
(2)構造設備の概要
こちらも保健所にいくことでもらうことができます。建物の規模、設備の数、窓や照明の数などを記入します。
(3)施設の平面図
施設の平面図は、設計事務所や工事業者から受け取りましょう。保健所の基準を満たしている必要があるため、最初期の物件選びの段階で保健所職員に相談しておきましょう
(4)従業者名簿
こちらも保健所でもらうことができます。一般的な従業員名簿に追加して、美容師免許の取得日などを記入する欄が設けられています。
(5)美容師免許証、管理理美容師の修了証
従業員全員分の美容師免許証の原本が必要です。
(6)医師の診断書
美容師免許を有している従業員全員分の診断書が必要です。結核、伝染性の皮膚疾患などの有無がわかるものが必要です。また断書は3ヶ月以内のものに限られますので、注意しましょう。
(7)手数料
検査のための手数料を支払います。費用は保健所ごとに異なりますが2万円前後です。
②保健所職員の立入検査(開設検査)
前述の書類を提出して受理されたら、保健所の職員が店舗に訪れ、規定が満たされているかを確認します。
③営業許可書発行(開設検査の翌日~営業開始日まで)
立入検査に合格すると、保健所から営業許可証が発行されますので、受け取りにいきましょう。基準を満たしていれば、検査の翌日には発行されます。取得後はきちんと保管しておきましょう。
集客準備・宣伝
昨今の集客の仕方はさまざまあり、悩んでしまうことも多いでしょう。費用をかけられるのであれば、チラシなどを作成して配布するといいでしょう。
費用をかけられない場合は、SNS(TwitterやInstagram、Tiktok、Facebookなど)での集客が主になります。広告・宣伝次第で店舗の売上が左右されるので、戦略を練っておこなうようにするといいでしょう。
オープン
オープンまでにやっておくべき細かな作業(各種保険の加入や消防署への手続きなど)が、多くあります。オープンを万全な状態で迎えるためにも、細かな作業を着々と進めるようにしましょう。美容室をオープンしたら、「どのようにリピーターのお客さまを増やすことができるか」に焦点を当てて、運営することを心がけてみてください。
まとめ
この記事では、美容室の独立開業の重要なポイントに焦点を当てつつ、大まかな流れを解説してきました。この記事の重要なポイントは以下です。
- 5W2H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって・いくらで)を用いて開業する美容室のコンセプトを深掘りする
- 事業計画・資金計画は、銀行などから融資を受ける際に重要なポイント
- 出店地域のリサーチでは、コンセプトにあった客層が住んでいる地域なのかや、競合店が多いのか少ないのかを確認する
- デザイン設計事務所などに内装・外装のデザイン決めを依頼するとスムーズにかつ理想的な空間が作れる
- 内装・外装工事の業者選びは、業者の施工の得意・不得意を実績で確認する
- 物件選びの段階から保健所に相談にいき、保健所の条件を満たす物件を契約する
- 従業員の採用は、2、3ヶ月前から始める
- 美容室の開業は、一般的な事業の「開業届」と美容室の「美容所開設届」が必要になる
- 「美容所開設届」は保健所の立ち会い検査が必要なので余裕をもって手続きをすすめる
- オープンまでに各種保険の加入や消防署への手続きなど、細かい作業を終わらせておく
美容室の開業の手順を知っているのと知らないのとでは、開業までの進行度に大きく差が出てしまいます。予定している開業日に間に合うようにするためにも、上記のポイントをチェックして、各項目を進めてみてください。