このように、飲食店の開業に伴って厨房のデザインを決める際に、クローズドキッチンの導入を検討されている、オーナーの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、飲食店におけるクローズドキッチンのメリット・デメリットから、向いている業態、向いていない業態を詳しく解説していきます。クローズドキッチンは、高級店に導入されることが多いキッチンのタイプ。料理に集中できるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、クローズドキッチンのデメリットを理解しないで導入してしまうと、のちに後悔してしまう可能性が。クローズドキッチンの導入で後悔しないためにも、ポイントを抑えておきましょう。
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飲食店におけるクローズドキッチンとは?
クローズドキッチンは、仕切りや壁などで独立している調理場を指します。お客さまから見えない調理場をイメージするといいでしょう。反対に、お客さまから見えるキッチンをオープンキッチンと呼びます。実際のところ、飲食店の多くは、オープンキッチンよりクローズドキッチンを採用しています。クローズドキッチンのメリット・デメリットは次の章で詳しく解説します。
クローズドキッチン導入のメリット
飲食店でクローズドキッチンを導入するメリットは以下4つです。
- 客席の内装に幅を持たせられる
- 内装の劣化を防ぐことができる
- 厨房設計を自由にできる
- 調理に集中できる
上記4つのメリットを参考にして、クローズドキッチンの導入を検討してみてください。それでは、詳しく解説していきます。
①客席の雰囲気に幅を持たせられる
クローズドキッチンにすることで客席の雰囲気を第一に考えた内装設計にすることができます。照明を暗くしたりして、非日常感のある空間を作ることが可能です。
お客さまと対面式のキッチンだと、安全面を考慮して、調理に必要な明るさを確保しなければなりません。そのため、照明を暗くして落ち着いた雰囲気を出すのが難しいです。客席の雰囲気に幅を持たせられるのは、クローズドキッチンの最大のメリットと言えるでしょう。
②内装の劣化を防ぐことができる
クローズドキッチンは、調理中に発生する煙や油などが、客席に飛んだり流れることがありません。つまり、客席の内装の劣化を防ぐことができます。客席のくろずみ汚れなどを、頻繁に気にする必要もないでしょう。
また、調理場で発生しやすり嫌なにおいも、客席に流れないため、お客さまは料理の香りに集中できます。内装の劣化が早いと、内装のリフォームなどで費用がかさんでしまいます。内装を綺麗に長く保ちたいと考えているのであれば、クローズドキッチンの導入が最適でしょう。
③厨房設計を自由にできる
対面式のキッチンだと、お客さまの目を考えながら厨房設計しなければならないため、作業効率を考えた厨房機器の配置や動線が後回しになってしまいます。しかし、クローズドキッチンの場合は、お客さまの目を気にしなくていいので、作業効率を重視した厨房設計にすることができます。
また、見た目を気にせず厨房機器を配置でき、料理人の作業動線を自由自在に作れます。収納も確保しやすいため、料理に使用する調味料やその他の材料を多くストックできます。
④調理に集中できる
お客さまと話すことがないので、調理に集中できるのもメリットと言えるでしょう。厨房の動線の設計が、料理人のみに焦点を当てて作られているため、多くの料理を効率よくさばくことができます。
ただし、調理に集中できるかどうかは、クローズドキッチン、オープンキッチンに限らず、作業動線の設計次第なので、店舗デザインを決める際に、デザイン事務所のデザイナーにアドバイスをもらいながら決めるといいでしょう。
効率の良い導線設計に関しましてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
クローズドキッチン導入のデメリット
飲食店でクローズドキッチンを導入するデメリットは以下3つです。
- ホールとの連携が難しい
- 衛生面がおろそかになりがち
- 店内の状況がわからない
メリットだけではなくデメリットもしっかり抑えておきましょう。店舗デザインの際にカバーできる部分は工夫して対処してくことが重要です。
①ホールとの連携が難しい
料理をお客さまに提供するまでに、時間がかかってしまいます。厨房と客席までの距離があるため、料理が冷めやすくなってしまいます。対処法としては、デシャップ台を設置することです。デシャップ台を設置することで、ホールスタッフと料理の提供の連携をスムーズにすることができます。調理場にホールスタッフが入らずに済むので、料理人の作業動線を害することもないでしょう。
②衛生面がおろそかになりがち
お客さまに見られていないので、衛生面の注意力が落ちてしまいます。油よごれなどは、ケガの原因となりかねないので注意が必要です。定期的な掃除や内装のメンテナンスを施す必要があるでしょう。
また、厨房デザインの設計時に、汚れのつきにくい壁紙の素材を選んだり、滑りにくい床の素材を選んだりするといいでしょう。加えて、ほこりなどのゴミが入りにくい厨房機器の配置を心がけて設計しましょう。
③店内の状況がわからない
どのくらいお客さまが入っているいるのかや、待ちの人数の把握が基本的にできません。調理するスピード感や、モチベーションを保つのも難しいでしょう。この問題に関しても、デシャップ台の設置が最適な役割を果たします。
デシャップ台から、客席が見えるようにすることで、客数をある程度把握することができます。モチベーションアップに加えて、作業効率の上がる調理順を決めることができるので、プラスになるでしょう。
クローズドキッチンが向いている飲食店とは
クローズドキッチンは、お店の雰囲気を大事にする高級店や一度に大量の料理を作る必要があるファミリーレストラン、解体作業の多い焼肉屋などに向いているでしょう。反対に、お客さまとのコミュニケーションが大事な居酒屋や寿司屋、鉄板焼き屋などには向きません。
開業するお店のコンセプトを考慮しながら、クローズドキッチンを採用するのか、オープンキッチンを採用するのかを検討するといいでしょう。
クローズドキッチンのデザインは私たちTOにおまかせください
この記事では、飲食店におけるクローズドキッチンのメリット・デメリットから向いている業態までを、詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 仕切りや壁などで独立している調理場をクローズドキッチンと呼ぶ
- クローズドキッチンにすると客席のデザインに幅を持たせられる
- 調理場から客席に油や煙が流れないため客席の内装が劣化しにくい
- お客さまの目線を気にしなくていいため作業効率を重視した厨房設計にできる
- ホールのスタッフと動線が被らないので調理に集中できる
- クローズドキッチンはホールとの連携が難しいのでデシャップ台を設置するといい
- 衛生面がおろそかになりやすいため、汚れにくい内装の素材を使用しゴミが入りにくい厨房機器の配置に努める
飲食店のキッチンの形式は、集客と売上に関わる重要な部分であること間違いありません。飲食店の運営を成功させるためにも、上記のポイントを参考にしてクローズドキッチンの導入を考えてみてください。
株式会社TO(ティーオー)は、飲食店の設計を得意とするデザイン設計事務所です。これまで様々な業態の飲食店様のデザインを承って参りました。私たちのデザインしたデザイン事例はこちらのページをご参照ください。