一人客(おひとり様)に選ばれる飲食店の店舗デザインのポイントとは?個食が増加するライフスタイルの変化に対応するポイント

店舗デザインのポイント
店舗デザインのポイント

近年、一人客(おひとり様)で飲食店を利用する方が増えてきました。主な理由は、2020年より世界的に猛威をふるった新型コロナウィルスの影響が大きいと言われています。この出来事から人々の生活スタイルは大きく変わりました。その影響は、飲食店も例外ではありません。

飲食店では徐々に一人客が増加しています。そのため、一人客に選ばれる飲食店は、集客に成功している店舗と言ってもいいでしょう。どのようにすれば一人客に選ばれる飲食店になるのか、店舗デザインの観点からそのヒントを解説していきます。

私たちTO(ティーオー)は、店舗・オフィスなど商業施設の設計を得意とするデザイン設計事務所です。店舗デザインに対して真摯に向き合い、無理のない最適なプランニングをしております。私たちのデザインの流れについてはこちらのページをご参照ください。

コロナ禍で変化した飲食店の一人客(おひとり様)

冒頭でも触れたように、新型コロナウィルスの影響により、飲食店における一人客は年々増加傾向です。これは外食産業だけでなく、あらゆる業界でも一人客が増えています。

今まで一人で行動することを躊躇していた方も、今後は一人で飲食店に行ってみたいという方も多いです。これはライフスタイルが多様化したからと言ってもいいでしょう。一人で行動する気楽さに、多くの方が気付き始めています。

コロナ禍を期に、お一人様向けの座席を用意した飲食店も少なくありません。コロナが終息しても、一人客が途絶えることがないのが現状です。一人客に選んでもらう飲食店になるためにも、今までとは違った観点から店舗デザインを構築する必要があります。

飲食店で一人客をターゲットにするメリット3選

一見すると、一人客よりも二人客の方が売上に直結しメリットがあると思うでしょう。しかし、一人客をターゲットにすると、さまざまなメリットが生まれます。まずは、3つのメリットについて解説していきます。

回転率が上がる

一人客をターゲットにするメリットは回転率が上がることです。一人客の多くは、長くお店に滞在するよりも、食事を済ませるとすぐに退店することが多いと言われています。結果として、お客様の回転率が上がることにつながります。

客単価が高くなる

一人客だと、客単価が低くなるという懸念を抱いている方も多いでしょう。しかし意外にも一人客の方が、客単価が高くなりやすいと言われています。というのも、一人客の方は食べたいものを頼む傾向にあります。ご褒美を兼ねて奮発するお客様もいるでしょう。複数人でシェアして食べるよりは、一人客の方が注文数も上がる訳です。

リピート率が上がる

一人客の多くは、一人でも居心地よく食事ができる飲食店を探しています。そのため、店舗を気に入ればリピーターとして利用してくれる可能性が高くなります。TOスタッフである筆者も一人でランチする機会がありますが、一人客を歓迎してくれる飲食店はとても行きやすいです。自分の中で「一人でも行きやすい飲食店」にリストアップされるため、結果として何度も足を運んでいます。

一人客に選ばれる飲食店の店舗デザインのポイント6選

一人客に選ばれる飲食店は、一人でも入店しやすい店舗デザインです。一人客をターゲットにするとメリットも生まれます。一人客を集客するために大切な店舗デザインのポイントを見ていきましょう。

カウンター席を設ける

一人でも気兼ねなく食事ができるよう、カウンター席を設けるようにしましょう。

中には広いテーブル席を好む一人客もいますが、多くの一人客の場合、広いテーブル席は居心地が悪いと感じます。また店内が込み合うと、一人で広いテーブル席を使っていることに引け目を感じてしまいます。

そのような観点から、カウンター席を設けるのはおすすめです。カウンター席なら他のお客様の視線も気にすることなく食事を楽しめます。ただし、プライベート空間は保ちたいもの。隣の人との距離はつめ過ぎず、可能な限りカウンター席は余裕を持たせた感覚にすることをおすすめします。

間仕切り席や半個室を設置する

一人客の多くは、広々としたテーブルは落ち着きません。また、一人の外食に慣れていない方は他人の視線が気になってしまい、食事に集中できないということもあります。

このようなお客様にも配慮するため、間仕切り席を設置するといいでしょう。また、店舗の広さに余裕があれば、半個室を設けるのもおすすめです。

適度な狭さを演出するのは大切ですが、隣のお客様との距離が近すぎるのを嫌がるお客様もいます。その場合は、座席の近くに荷物置きの場所を確保し、座席間隔に余裕を持たせるといいでしょう。

一人客も歓迎する雰囲気を出す

一人客にとって行き慣れた飲食店でないと、入りづらいという心理が働きます。そのため、店側から一人客も歓迎する雰囲気を出してあげることが大切です。

例えば、エントランスには「カウンター席あり」「お一人様歓迎」などのキャッチコピーでアピールするのもいいでしょう。

筆者が利用する飲食店の中には「一人席あり」と、わざわざ一人客に言及している店舗もあります。このような提示は、一人客にとって敷居が低くなり入りやすくなります。

外から見えるようガラス窓を設ける

一人客が歓迎されているか店側のアピールも大切ですが、店内の雰囲気が分かるようにするのも大切なポイントです。一人客の場合、一人でも入店しやすいか気になるもの。外からお店の雰囲気が分かれば、一人客でも利用しやすい飲食店なのか判断できるでしょう。

店内の雰囲気が分かるようガラス窓を設置すると、女性の一人客も入りやすくなります。筆者が一人で飲食店を利用する際も、店内の様子を外から伺って入っています。

私たちがデザインしたこちらの店舗も、大きなガラス窓を採用しています。店内の込み具合も見えるため、ガラスの設置はおすすめです。

電子メニューや注文用のタブレットを設置する

一人客の多くは、自分の時間を楽しみたいと思っています。中には、なるべく人との接触を避けたいという方もいるでしょう。

店員との適度な距離感は、一人客を居心地の良い飲食店と印象付けます。そのため、店員と接触する機会を減らすのも有効な手段です。

ファミリーレストランによく導入されている、注文用のタブレット設置もその一つと言えます。自分が注文するメニューを人に聞かれたくないという方もいるため、タブレットの設置はおすすめです。

近年では、座席に添えられているQRコードを読み取ってメニューを注文するパターンも増えてきました。注文用タブレットの設置にコストがかかるなら、QRコードの導入を考えてみてもいいでしょう。

充電用のコンセントを設置する

一人客は話し相手がいないため、ついスマートフォンを見てしまいがちです。そんな方に配慮して、充電用のコンセントを設置するのもおすすめです。

近年では一人で行動する方も多くなり、充電用コンセントがあるなしでは、集客にも大きく影響するようになりました。特にカフェなどではお店選びの重要なポイントになってきています。

一人の時間を有意義に過ごすためにも、充電用コンセントが設置してあるお店は一人客にも大変喜ばれます。

一人客に選ばれる飲食店はメニューの工夫も大切

ここまでは店舗デザインの観点から解説してまいりましたが、一人客に選ばれる飲食店になるには、メニューにも一工夫するようにしましょう。客単価を上げたい飲食店は、一人客向けにハーフサイズのメニューがおすすめです。

特に夕食時に一人で来店されるお客様は、複数人で来店するよりも多くの品数を注文できません。夕食で注文するメニューの多くはボリュームのある料理のため、いろいろな料理を食べたいという一人客には不向きです。

そのため、通常よりも量が少ない一人用サイズを提供してみてください。少量のサイズのメニューが豊富にあれば、結果として一人客の客単価も上がります。

お客様にとっては「一人でも行きやすい飲食店」という印象を与えるため、口コミで広がることもあるでしょう。最終的には、集客にも繋がる戦略になります。

まとめ

近年では複数人客よりも一人客をターゲットにした飲食店が増えてきました。その理由は、回転率や客単価のアップ、リピート率が挙げられます。

コロナ禍の影響でライフスタイルが変わった今、SNSでも一人で飲食店に行った様子が多く挙げられており、今後、一人客の割合も増えてくると思われます。

店舗デザインを考える歳、一人客にも配慮したお店作りを考えてみてはいかがでしょうか。こちらの記事で掲載している店舗の画像は、すべて私たち株式会社TOでデザインいたしました。気になるデザインがございましたら、お気軽にお問い合わせください。