このように、飲食店の物件を借りる際の契約方法について疑問に思っている方は、多いのではないでしょうか。飲食店の賃貸借契約の種類を間違えてしまうと、繁盛していても突然閉店しなければならなくなる可能性があります。
この記事では、飲食店の物件の契約に係る普通賃貸借契約と定期借家契約の内容やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。飲食店を成功させ長く運営するためにも、この記事を最後までお読みください。
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飲食店の賃貸借契約は2種類
飲食店の物件で結ぶ契約は「普通賃貸借契約」と「定期借家契約」のどちらかです。それぞれ特徴が異なるため、開業する飲食店にあった契約を結ぶ必要があります。開業後に後悔しないためにも、それぞれの契約方法を把握しておきましょう。
普通賃貸借契約とは?
普通賃貸借契約は、居住用の賃貸を借りる際に結ばれる一般的な契約です。契約期間は1年以上で設定されるのが多く、契約期間の満了後に借主が希望すると契約が更新されます。
貸主の自己都合での一方的な解約は禁止されています。借主の権利が保護されている契約になるため、長く借りることが可能です。
定期借家契約とは?
契約期間が決められているのが定期借家契約です。基本的に契約の更新がありません。契約期間が満了すると借主は退去する必要があります。ただし、貸主と借主の双方が契約条件で合意することで、契約期間が満了しても再契約は可能です。
普通賃貸借契約と定期借家契約5つの違い
普通賃貸借契約と定期借家契約の違いを把握することで、どちらの契約が開業する飲食店に最適かがわかります。それぞれの違いをみていきましょう。
契約の更新時の対応
普通賃貸借契約の場合、借主が契約違反をしたり建物に問題があるなどの正当な事由がない限り、貸主は契約更新を拒否できません。原則として、借主が希望すると契約は更新されます。
一方、定期借家契約は貸主が契約更新の有無を決められます。借主が契約更新を求めても、貸主が拒否をすれば退去しなければなりません。貸主と借主のお互いが契約更新を希望すれば、再契約できます。
賃料の増減の請求
普通賃貸借契約と定期借家契約ともに賃料の増減額請求権が認められています。ですが、定期借家契約は、賃料の増減額請求権をなくす特約を定めることが可能です。
一方、普通賃貸借契約は、賃料の増減額請求権をなくす特約を定められません。しかし、賃料を上げないことについての特約は認められています。
賃料の増減額請求権とは
現在の賃料が近隣の相場と比較して、大きく異なる場合に賃貸借契約の相手に対して賃料の減額や増額を求められる権利です。不動産の価格は築年数や近隣の開発などによって変化します。不動産の価格の変化に対応するための権利が賃料の増減額請求権です。
契約方法
普通賃貸借契約は書面でも口頭でも契約が可能です。しかし、定期借家契約は公正証書などの書面で契約を交わさなければなりません。加えて、定期借家契約は賃貸借契約書の他に契約の更新がない旨を書面で交付した上で、説明する必要があります。
契約期間の定め
普通賃貸借契約は1年以上の契約期間を設定しなければなりません。1年未満で設定すると、期間の定めのない賃貸借契約とみなされます。
一方、定期借家契約の場合は契約期間の制限がありません。1年以上の定期借家契約は、貸主が契約期間の満了の1年〜6ヶ月前までに借主に契約終了の通知をする必要があります。通知をしなかった場合、急な解約の申し出は通りません。
中途解約の定め
普通賃貸借契約の場合、貸主からの正当な理由がない中途解約はできません。借主からの中途解約はいつでも可能です。一方、定期借家契約は、貸主と借主どちらも中途解約はできません。
ただし、床面積200㎡未満の居住用建物でやむを得ない理由がある場合は、借主からの中途解約が可能です。飲食店は事業用建物になるため、定期借家契約では中途解約ができないと思っておくといいでしょう。なお、中途解約の特約がある際は、特約に従う必要があります。
普通賃貸借契約のメリット・デメリット
普通賃貸借契約のメリット・デメリットは以下です。
・物件数が多い
・中途解約ができる
・契約更新ができる
・定期借家契約より賃料が高い
・賃料更新の可能性がある
普通賃貸借契約は、借主にメリットが多いです。飲食店を同じ場所で長く営業したい場合は、契約更新ができる普通賃貸借契約を選ぶべきでしょう。また、定期借家契約よりも物件数が多いため、理想の物件に出会える確率が高くなります。
定期借家契約のメリット・デメリット
定期借家契約のメリット・デメリットは以下です。
・短期間の契約ができる
・家賃が安く借りられる
・賃料が上がることはない
・必ず期間内に退去する必要がある
・中途解約ができない
・損害賠償を請求される可能性がある
・物件数が少ない
定期借家契約は、借主へのメリットが少ないです。飲食店が繁盛していても契約期間が満了すると退去しなければなりません。
また、契約期間の満了後に使用し続けていると損害賠償を請求される可能性があるため、注意が必要です。期間限定でオープンするか一時的なテスト開業に定期借家契約は有効でしょう。
まとめ
飲食店を同じ立地で長く営業する場合は、普通賃貸借契約で借りるのが最適です。一時的なテスト開業は、定期借家契約も視野に入れてもいいでしょう。飲食店の物件選びで迷った際は、弊社TOまでご相談ください。
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