飲食店の内装作りで悩んでいるオーナーの方は多いのではないでしょうか。飲食店の内装作りを失敗してしまうと、思うように売上が上がらない可能性があります。また、従業員が働きにくいと感じることもあるでしょう。
店舗の内装デザインは、5つのポイントを抑えることで失敗を防ぐことができます。そこで今回は、店舗の内装デザインで失敗しないコツ5選を解説していきます。
また、こちらの記事で掲載している店舗の画像のほとんどは私たち株式会社TOでデザインいたしました。気になるデザインがございましたらお気軽にお問い合わせください。
飲食店の内装デザインが重要な理由
まずは、なぜ飲食店は内装デザインが重要なのか理解を深めておきましょう。飲食店が群雄割拠する時代、単純な「味」だけで差別化を図ることは簡単ではありません。そこで重要な差別化ポイントが内装のデザインです。
例えば同じような味、価格帯の飲食店があった場合、お店の雰囲気が良かったり、清潔感があったり、内装を楽しめるお店のほうが魅力的だと感じる方が多いと思います。中には、味や価格よりも素敵な空間を重視されている人もいます。
スマートフォンの普及もデザインの重要性を高めた要因
また、近年はスマートフォンの普及で、多くの人が料理や内装の写真を撮り共有する文化が生まれています。内装デザインが優れたお店はつい人にシェアしたくなります。
飲食店の集客では、人を呼び込むための宣伝が重要です。優れた内装デザインは自然と宣伝の役割を果たします。このように飲食店の内装デザインは、お店の集客や売上にも影響をもたらすビジネス上でも非常に重症な要素です。
飲食店の内装デザインのコツ①店舗のコンセプトを決める
まずは、店舗のコンセプトを明確に決めることがもっとも重要です。じっくり時間をかけてコンセプトを練り上げましょう。どのような場所で、何を提供する店舗なのか、どのようなお客様に利用してもらいたいのか、理想の店舗デザインを紙に箇条書きで書き出してみてください。
理想の店舗デザインを紙に文字として表すことにより、頭でぐるぐるしている理想を簡単にまとめることができます。また、書き出すことでデザイナーや不動産屋へ理想を伝え忘れることが防げます。例えば、
- 仕事や勉強ができるような機能性が備わったカフェ
- 仕事終わりにサラリーマンが立ち寄るにぎやかな大衆居酒屋
- 大切な人と二人きりで過ごすことができる隠れ家風のバー
など、できる限り細かくイメージを書き出しておくと、人通りの多い駅前の店舗がよいのか、住宅街などにある店舗がよいのかなど、より店舗のイメージが掴みやすくなります。
飲食店の内装デザインのコツ②店舗全体の動線とレイアウトを意識する
飲食店の内装デザインで失敗しないためには、まずはレジ、インテリア、厨房を適切にレイアウトすることが重要です。3つを適切にレイアウトできると、お客さま・従業員の両方から好感を持たれるお店になります。
①飲食店のレジのレイアウト
飲食店で重要なレイアウトの1つ目はレジです。レジの位置を決めてしまえば、店舗の他のレイアウトを決めやすくなります。お客さまに居心地のいい環境を提供するなら、お客さまが食事をする空間とお金を支払う空間を切り分けることが重要です。
そのため、飲食店のレジは、入口付近に設置するのが望ましいでしょう。入口が狭く感じない、従業員がレジにすぐ入れる動線を意識した配置がポイントです。
②飲食店のインテリアのレイアウト
インテリアのレイアウトが、お客さまの印象や店舗の雰囲気を左右します。そのため、理想の店舗デザインに沿ったインテリアを選択し、適切な位置に配置することが重要です。
③厨房のレイアウト
厨房のレイアウトは「料理を作る」「片付け」「飲料提供」3つの動線を意識した配置を考えましょう。3つの動線を意識することで、料理を作る段階から片付けまでが早くなります。
料理を作る動線
料理を作る動線では以下の順番を意識してみてください。コンセントやガス、水道、食器を置く位置などを考慮しながら、料理を作る動線を意識したレイアウトにしましょう。
②食材の下処理をする場所
③加熱や盛り付けする場所
④お客さまに提供
片付けの動線
片付けの動線のレイアウトで意識するポイントは、お客さまに配膳をする動線と被らないことです。料理を提供する側と料理の片付けをする側が、ぶつかってしまったりすると、食器を割ってしまったり、料理を落としてしまうなどに繋がる可能性があります。
飲料提供の動線
ドリンクの提供は、移動距離と移動時間を考慮して考える必要があります。例えば、ドリンクコーナーが調理場の中にあると、移動距離が長くなります。そのため、ドリンクを作ってから提供するまでに時間がかかります。移動距離と移動時間を考えた上で、ドリンクコーナーのレイアウトをするなら、厨房の外側に設置するのが適切でしょう。
飲食店の内装デザインのコツ③店舗の雰囲気は照明で変わる
店舗デザインで失敗しないためには、照明を意識することも大事。照明は、店舗の雰囲気を左右します。店舗の照明で意識することは、「照明の明るさ」「照明の色」の2つです。2つのポイントを店舗のコンセプトと合わせることで、理想の店舗を作り出すことができます。
店舗照明の明るさ
照明の明るさは、飲食店の業態によって変える必要があります。あくまで一例ですが、高級感を出したいお店やビンテージ感のあるお店を開業したい場合、天井に近い部分を明るくし、下にいくに連れて暗くするバリエーションを採用するといいでしょう。反対に、回転率を重視するラーメン屋やファミレスなどは、店舗全体の照明を基準値より明るくし、不本意な長い滞在に向かないようにすべきです。
店舗照明の色
照明の色は、店舗の雰囲気と料理の見た目を大きく左右します。オレンジ色に近い照明の色は、お客さまに暖かさ・温もりを与えます。そのため、ゆったりとした長時間の滞在に向いている照明の色です。
反対に、青色に近い色の照明は集中力が増す色のため、脳が疲れてしまうと言われています。長時間の滞在をコンセプトにしている飲食店には、向かない色と言えるでしょう。また、演色性が高い色(自然の光に近い色)は、料理を美味しくみせます。
反対に、演色性の低い色は、赤い肉を黒くしてしまうなど、食材の色味を変えてしまうため、飲食店には向きません。お店に適切な照明の色を選ぶことで、リピーターの増加や売上アップに繋げることができます。
飲食店の照明に関しましては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
飲食店の内装デザインのコツ④店舗デザインは内装の配色が重要
内装の配色は、お客さまのお店に対する第一印象や、居心地の良さを判断する基準になります。そのため、お客さまに居心地が悪いと思われない配色を選ぶことが重要です。内装の配色を決める上で重要なポイントは以下2つです。
使用する色は多くても3色
さまざまな色を使いすぎてしまうと、お客さまの視界を困惑させてしまい、脳を疲れさせてしまいます。そのため、ある程度は色の統一感が必要です。ベースの色を1つ決めておき、多くても3色になるような色使いをすることで、お客さまに不快感を与えない配色の内装にすることができます。
色のアクセントを上手く使う
飲食店でよく採用される白を基調としている内装だと、なにか物足りない印象をお客さまに与えてしまう可能性があります。そのため、白と一緒でも映える原色などを用いて、色のアクセントをつけるといいでしょう。
色のアクセントをつけることで、お店の個性を出すことができます。お客さまの印象にも残りやすいため、おすすめです。白だけでなく、他の色でもアクセントは作ることができるので、店舗の内装で取り入れてみてください。
飲食店の内装デザインのコツ⑤適切な空間デザイナーを選ぶ
適切な内装業者を選ぶポイントは、「理想の内装ができるか」と「金額」です。内装の設計やデザインを担当する空間デザイナーにも得意・不得意の内装があります。そのため、空間デザイナーが、自分自身の理想のお店を実現できるかを、しっかり見極めることが必要です。
また「金額」という面にも着目する必要があります。空間デザイナーはそれぞれ独自に価格設定をおこなっているため、大きく金額に差が生まれてもおかしくありません。「理想の内装ができるか」と「金額」をしっかり見極めて、適切な内装業者を選んでみてください。
まとめ
この記事では、店舗の内装デザインで失敗しないコツ5選を解説してきました。重要ポイントを抑えて店舗の内装デザインを成功に導きましょう。
株式会社TO(ティーオー)は、内装設計を中心に活動しているデザイン事務所です。主に店舗や施設の内装を手がけており、空間演出の一環として照明設計もプロデュースしております。上記でご説明した通り、内装設計には光の演出は非常に重要で、お店の印象を操作する鍵にもなります。
そのため「店舗のイメージを変えたい!」というときは、まず照明の色や明るさを変えてみるとよいでしょう。TOでは照明設計や空間設計に関するご相談を承っております。皆様からのご相談を心よりお待ちしております。
また、店舗のデザインを依頼するとき、伝え方を誤ると、自分の思い通りのデザインにならない場合があります。こちらの記事では店舗デザインのイメージの伝え方を詳しく解説しています。これからデザイナーを探される方は、こちらの記事も合わせてご参照ください。