せっかくクリニックを新たに開業するならば、おしゃれで患者さんの来やすいクリニックにしたいですよね。また、毎年約1万弱のクリニックが開業しています。
他のクリニックと差別化して個性的なクリニックにしたいところですよね。ただし、どんなにおしゃれなクリニックでも法的に守っていかなければならないポイントがあります。どんなことに注意するべきか見ていきましょう。
クリニックと病院の違いとは?
まず初めに、クリニックと病院って何が違うのかご存知ですか?クリニックと病院、どちらも病気になったらお世話になる場所ですよね。
その違いとは、医療法で記されている病床数の違いです。病院は、病床数が20床以上であるもの。診療所(クリニック)は、0〜19床のものを言います。この病院と診療所の差で、必要となる医師達の人数や届出、これから説明する法律でも違いが生まれてきます。
新築のクリニック開業に必要となる法律とは?
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てる際に最低限必要となる設計や構造、設備、用途等に関する基準を定めたものです。
改装する場合は、建物の用途変更が必要となる場合があるため注意しましょう。次に、建物を建てるための制限が病床数によって異なります。病床数が一つでもある場合、その建物は「特殊建築物」という扱いになります。
人が寝泊まりする場所になるからです。また、災害があった時に病人の方が逃げることは困難である事からより安全な建物にするための基準が設けられています。
特殊建築物で注意すべき点は?
特殊建築物となった時、3階以上の階を有する場合、または、2階部分≧300㎡であり患者の収容施設が2階にある場合、延床面積や階数によって耐火建築物や準耐火建築物にしなければなりません。
その場合、構造体などに規定の耐火の材料を使わなければならず、より費用がかさんでしまう場合があります。特殊建築物を建てる場合は、こういった費用感と相談して建物のボリュームを決めていくことをおすすめします。
都市計画法
まず、建物を建てる時に土地探しから始めますよね。しかし、建てる地域が制限される場合があります。
19床以下であればどの地域にも建てる事が出来ます。ただし20床以上の病院の場合は、建てられる地域に制限があります。
「第一種低層住居地域」「第二種低層住居地域」「田園住居地域」「工業地域」「工業専用地域」には病院を建てることはできません。病院を計画している方は専門の建築士や不動産担当者、各行政の都市計画課の方等に計画地の用途地域を確認してみてください。
医療法
医療法とは「医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする」ものです。(参照:厚生労働省より)
医療法では、クリニックの種類によって、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第3章にてとても細かくの構造設備の基準が設けられているため、どんなクリニックを経営されるか次第で確認してみてください。
消防法
消防法とは、「火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする」ものです。(参照:総務省消防庁より)
有床の場合、「消火器具」、「自動火災報知設備」、「消防機関へ通報する火災報知設備」、「避難口誘導灯・通路誘導灯」は必ずつける必要があります。
無床の場合、「消火器具」は300㎡以上、「「自動火災報知設備」は300㎡以上、「消防機関へ通報する火災報知設備」は500㎡以上、「避難口誘導灯・通路誘導灯」は全ての場合、設置義務が課せられます。
その他にも、延床面積や階数、収容人数などによって必要となる消防設備がありますので設計者や消防機関と確認を行ってください。
バリアフリー法
バリアフリー法とは「高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図 り、公共の福祉の増進に資すること」を目的としている法律です。つまり、どんな方でも快適に過ごしやすい社会を創っていくことを目指しています。(参照:国土交通省より)
クリニックは延床面積が2000㎡未満の場合、努力義務となっています。しかし地方公共団体によっては義務化されている地域もあります。
愛知県では「人にやさしいまちづくり条例」というものがあります。詳しくは下記の記事をご覧ください!

まとめ
今回は、クリニックを開業される方が基礎知識として必要になってくる法律についてご紹介させて頂きました。この他にも地域によって様々な規制があるかと思います。基準をクリアしつつ、おしゃれで利用しやすい愛されるクリニックつくりを目指しましょう。
私たち株式会社TOでは店舗だけではなく、クリニックや施設など様々なデザイン、設計を行っております。ぜひお気軽にご連絡ください。