【国産材】日本の木造建造物で使われる木材の主な産地|日本林業の歴史と多様性を店舗デザインの観点から紐解きます

建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識
「建築物に使用されている木材の産地はどこなんだろう?」
「日本で採れる木材を詳しく知りたい」

このように、日本の建築物に欠かせない木材の産地について詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。

この記事では、日本で採れる木材の産地について詳しく解説していきます。日本の建築物に欠かせない木材には有名な産地があります。

産地を知っておくことで、店舗を建てたり改装をしたりする際に木材選びで困らないでしょう。日本の木材の歴史と産地の知識を深めるためにも、この記事をチェックしてみてください。

木材に対する想い・木を使用したデザインの強みはこちらの特集ページでも詳しくご紹介しています。建材としての木材には、デザイン性の他にも様々なメリットがあります。木がお店に与えるデザイン的な効果と、部材としてのメリットを解説します。

日本の木造建造物で使用される木材の種類とは?

日本の木造建造物

日本の木造建造物では主に以下9種類の木材が使用されています。

ヒノキ
スギ
サクラ
クリ
マツ
タモ
ケヤキ
パイン
チーク

挙げた9種類の内チークとパインは日本で採ることができないため、外国からの輸入で補っています。残り7種類は日本で昔から使用されている歴史ある木材です。現在では外国からの輸入に頼る木材もありますが、国産材も多く存在します。

日本の歴史ある木材7種類の産地と特徴

日本の歴史ある木材

日本で古くから利用されてきた木材7種類の特徴と産地を詳しく解説していきます。7種類の特徴を知っておくと、店舗をデザインする際に役立つでしょう。

ヒノキ

ヒノキ

お風呂やお寿司屋のカウンターのイメージが強いヒノキは、国産材として古くからの歴史があります。現存する多くの神社仏閣の構造材や内装材として利用されてきました。

三重県の尾鷲ヒノキは日本一といわれており、農林水産省が認定する日本農業遺産にも指定されています。ヒノキは内部まで乾燥しているため、反り返りなどの狂いが起きにくい木材です。

また、強度も高いため地震にも強い木材でもあるため、現代の木造建築物にもひんぱんに利用されています。

産地:三重県尾鷲
使用用途:構造材、内装材、建具材
有名な使用建造物:法隆寺や明治神宮神楽殿など

スギ

スギ

花粉で有名なスギは日本で昔から利用されてきた木材のひとつです。加工が容易にできるため、建造物の構造材から造作材まで幅広く活用されています。

スギの産地でもっとも有名なのが奈良県の吉野スギです。吉野杉は室町時代からの歴史を持つ日本最古の造林地とされています。

産地:奈良県吉野
使用用途:構造材、内装材、建具材
有名な使用建造物:新国際競技場(スギの集成材)など

サクラ

サクラ

日本のサクラはソメイヨシノが有名ですが、木材として利用されるのはヤマザクラです。加工性がよく木材としての狂いが少ないため、屋敷や邸宅に利用されてきました。

しかし、現在は採れる量が少なく、高級材となっています。代替素材としてシュリザクラやミズメザクラ、カバザクラなどが海外から多く入ってきています。ヤマザクラの産地は主に北海道や北東北地方です。

産地:北海道や北東北地方
使用用途:内装材、床材、建具材

クリ

クリ

食材としてなじみの深いクリは、耐水性に優れており雨や雪の多い地域で昔から利用されてきました。縄文時代から建造物に使用されていたという説もあります。現在、クリの産地とされているのは岩手県や福島県、宮城県などの東北地方です。

産地:岩手県や福島県、宮城県などの東北地方
使用用途:床材、土台
有名な建造物:白川郷や青森県三内丸山遺跡(6本のクリの掘建て柱)

マツ(地マツ)

マツ(地マツ)

海岸沿いに多くみられるマツも古くから神社や寺などの建造物に使用されてきました。1990年に発生したマツクイムシの問題から、生産されるエリアが限られてしまい、希少な木材となっています。

長野県や岐阜県、岩手県、福島県の一部で生産されていますが、生産量は年々減少しているのが現状です。生産量は減少していますが、見た目の美しさから床材として注目されています。

産地:長野県や岐阜県、岩手県、福島県の一部
使用用途:梁や桁、床材
有名な使用建造物:日本最古の民家とされる神戸市の「箱木家住宅」や飛騨高山市にある「吉島家住宅」

タモ

タモ

野球のバットに使用されるタモ材は、アイヌの発展を支えた木材でもあります。内装材や床材として昔から利用されてきました。素材としての欠点が少なく、建築材として使いやすい木材です。

タモの産地は主に北海道で東北地方でも生産されています。しかし、現在はロシア産のタモに近い木材が多く出回っています。

産地:北海道や東北地方
使用用途:内装材、床材、建具材

ケヤキ

ケヤキ

木材の中でもっとも建築材料として向いているのがケヤキです。強度に優れており、耐水性があるため、昔から構造材や内装材として利用されてきました。

現在は流通量が少なくなっており構造材として利用されず、内装材や家具用材として利用されています。ケヤキの産地で有名なのは宮城県と福島県の境の阿武隈山地や伊豆天城山などです。

産地:宮城県と福島県が有名
使用用途:内装材、床材、建具材、家具用材
有名な使用建造物:清水寺

まとめ

日本の歴史ある木材

日本の歴史ある木材の多くは生産数が減少傾向にあり、希少材となっています。国産材は海外から入ってくる木材と比べて、耐久性が優れており木目などの表情が美しいものが多いです。店舗を建てたり改装する際は、国産材の利用を検討してみるといいでしょう。

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