組子細工を用いた店舗デザインのポイント|伝統的な組子を現代の店舗に取り入れるコツを実例をもとにご紹介します

店舗デザインのポイント
店舗デザインのポイント

細かい木の部材を組んで作る組子細工は、日本の伝統的な工芸であり、店舗デザインのアクセントとしても人気です。和モダンな空間にはぴったりなので、ぜひ取り入れてほしい工芸品です。

店舗づくりの参考になるよう、店舗デザインに組子細工を使う際のポイントや、使用できる箇所の例などを紹介していきます。掲載している店舗の画像は、すべて私たち株式会社TOでデザインいたしました。気になるデザインがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

日本の伝統工芸「組子細工」

細く裂かれた木の部材を釘を一切使わずに、幾何学的な紋様を組み上げてできたものを組子細工と言います。

組子細工の歴史はなんと、聖徳太子がいた時代、飛鳥時代からはじまったと言われており、その当時を伝える木造建築である法隆寺にも組子細工があしらわれています。

菱形や正三角形、正方形などの直線的な形を組み合わせて植物を模したデザインを組むことがメジャーですが、風景や動物などを表現したものまであり、幅広い紋様が楽しめます。

組子細工が使用できる箇所

店舗をデザインするにあたって、組子細工を使用する一般的な箇所を紹介します。もちろん、紹介するのはあくまで参考です。趣向を凝らしてさまざまな使い方ができるのも組子細工の魅力のひとつなので、「こんな使い方はできる?」という相談も気軽にお問い合わせください。

組子細工を壁の装飾として使うと、壁面に豊かな表情が生まれます。

壁面の一部を飾るだけでも、空間が一気に和風な雰囲気に変化します。組子細工の隙間から壁の表情も見ることができるので、土壁などの雰囲気ある壁にもマッチします。

絵画のようにコンパクトに飾るもよし、天井から床までの縦長で飾るもよし、組子細工のサイズ感によって空間の印象を自由にコントロールできます。

パーテーションや建具

組子細工の透け感を最大限に活かすなら、パーテーションや建具として使うことをおすすめします。

細かい紋様が施されているので、目隠しとしての機能も果たしてくれる上に、紋様の目によって圧迫感を感じることはありません。パーテーションや建具を閉じられたデザインにしてしまうと、空間の区切りがはっきりしてしまって窮屈な印象になってしまいます。

店舗が狭い場合や広々とした雰囲気を活かしたい場合では、組子細工のような透け感のあるデザインを採用することで、行き止まってしまう感覚が防げます。

照明

組子細工を照明の代わりに使うと、組子の紋様が影となって、光と影の豊かな表情が空間に広がります。

照明器具を作ってしまうのもひとつの方法ですが、和紙などを貼った組子細工の背面に照明を反射させたり、組子細工を間接照明で照らしたりしても、和モダンな雰囲気が演出できます。

組子細工と照明はとても相性がいいので、組子細工の取り入れ方を考える時はぜひ照明にも注目してみてください。

什器

受付やレジ、カウンターなどの什器の立ち上がり部分に装飾として組子細工を使ってもおしゃれに仕上がります。

店内の要素としても、大型の什器が占める割合は少ない店舗が多いので、さりげなく組子細工を使いたいという場合には、什器に取り込むのも良いかもしれません。

重たい印象になりがちな什器を、軽やかに空間に溶け込ませる効果もあります。

組子細工を店舗に取り入れるポイント

比較的どこにでも使える組子細工ですが、取り入れる際の注意点などはあるのでしょうか。組子細工を取り入れる時のポイントを知っておくと、せっかくのこだわりを台無しにしてしまったり、失敗してしまったりすることが防げます。

他の要素を増やしすぎない

組子細工は、繊細な紋様を組み上げているため、華やかさもあり、視覚的な情報も増えます。そのため、気をつけたいこととして、他の要素を増やしすぎないという点が挙げられます。

例えば、カラーリングがカラフルな空間や、柄物の壁紙やアートを多用した空間に組子細工を合わせてしまうと、目に入る情報が多すぎて疲れる空間になってしまいます。特に、柄物と並んでいるとせっかくの組子細工が目立たないということにもなりかねません。

組子細工を使う時は、組子細工の美しさを魅せる気持ちで、他のデザインはシンプル目に仕上げた方が、落ち着きある和モダンな空間が演出できます。

木の色を引き立たせるカラーを選ぶ

組子細工は木の色合いが美しいため、それを引き立てるカラーをメインカラーに設定するとより美しさが引き立ちます。

白や黒、グレーといったモノトーンは木の色や風合いを引き立てて、照明も映えるので高級感が演出しやすいカラーです。

逆に、ブラウン系は木の色味と同化しやすいため、ブラウン系をコンセプトカラーにしている場合は、組子細工を使用している部分にはあまりカラーを使わず、別のポイントで使っていくとお互いを活かせます。

その他のカラーでも、色数を増やしすぎないことや、色のトーンに注目して配色を行えば、組子細工を効果的に引き立てることができます。

照明を味方にする

組子細工と照明の相性は抜群です。組子細工を店舗デザインに使用する時は、組子細工をどう照らすかや、周りの照明計画に力を入れましょう。

照らされた組子細工の目からこぼれる光や、紋様から落ちる影は本当に美しいので、光はもちろん、影までデザインするつもりで照明計画を楽しんでください。

昼夜ともに営業している飲食店などでは、ランチタイムとディナータイムで照らし方を変えると、お店の雰囲気もガラリと変えられてディナータイムの特別感も演出しやすいです。

組子細工を使った店舗の実例

私たちTOがデザインした、組子細工を使った店舗を実際にご覧ください。実際の実例写真をご覧いただくことで、組子細工を店舗に使用することの良さも伝わればと思います。

組子をふんだんに使った歯科クリニック

クリニック全体に組子細工をふんだんに使用しています。照明を仕込んだ組子細工が、受付の上部にあしらわれており、非常にシンボリックかつインパクトのあるデザインとなっています。

診察スペースと廊下を仕切る間仕切りも組子細工で統一されており、目隠しとしての役割も果たしながら、緊張する方が多い歯科クリニックの癒しとしても活躍しています。

外観の塀にも幾何学の紋様を配置しており、一際目を引くデザインが魅力的です。

照明で組子を印象的に魅せる焼き鳥専門店

シックな色合いと照明により浮かび上がる組子細工が美しい焼き鳥専門店です。高級感溢れる店内は、グレイッシュなトーンで統一されており、落ち着いた雰囲気で食事に集中できます。

個室に配置されている組子細工は、実は足袋がモチーフになっています。店内のデザインに「足袋」を組み込んで欲しいとご依頼をいただき、表現の仕方に悩んだ末、組子細工で表現することにしました。

組子細工職人さんがイメージやたたき台を基に丁寧に組み上げた、ここにしかない足袋の組子細工は必見です。

組子細工を用いた店舗のまとめ

繊細でありながら、周りの雰囲気をパッと華やかに彩る組子細工は、和モダンな店舗を作る際の要素のひとつとして検討したい伝統工芸です。古くから日本人に愛されてきた工芸品を取り入れることで、店舗をより愛着の湧く空間にできます。

私たちTOは、組子細工をはじめとする日本の伝統工芸を使用した店舗の内装デザインを得意としています。日本の伝統が織りなす和モダンな空間に仕上げたいとお考えの方は、ぜひ、私たちTOにご相談ください。

私たちTOは木材を使ったデザインにこだわりを持っています。木材に対する想い・木を使用したデザインの強みはこちらの特集ページでも詳しくご紹介しています。建材としての木材には、デザイン性の他にも様々なメリットがあります。木がお店に与えるデザイン的な効果と、部材としてのメリットを解説します。