鴨居(かもい)や敷居(しきい)、長押(なげし)とは?その種類と和風な店舗デザインでの活かし方をご紹介します。

建築設計デザインの基礎知識
建築設計デザインの基礎知識

和な雰囲気のお店つくりをしたい。だけどどうしたら和風のお店になるのかわからない、鴨居、敷居といわれても何なのか分からない、という方もいらっしゃるかと思います。

今回はその日本らしい内装を構成するもの一つである、鴨居(かもい)と敷居(しきい)についてご紹介していきます。どんなものがあるのか見ていきましょう。

鴨居(かもい)とは

鴨居(かもい)

鴨居とは、一般に障子(しょうじ)や襖(ふすま)などの引き戸の上部にある枠で引き戸をはめ込むための溝がついている部材の事をいいます。溝の深さは約15㎜(5分)が基本となっています。

長押(なげし)とは

長押(なげし)

鴨居と混同しやすいものとして長押(なげし)があります。「長押」とは、本来柱と柱をつなぐ水平に通った構造材のことです。開口の上部に水平に通っている化粧材を内法長押(うちのりなげし)といい、一般に内法長押を「長押」と呼びます。そのため鴨居は長押に沿って取付けられています。

近年では、建築技術が向上し、長押の構造材としての必要性は薄れ、壁の装飾として利用されることが増えてきています。長押の部分に金物などをつけて装飾することもできます。

一方でデザイン的に一面の壁を分断してしまうため、部屋の高さが低見えてしまうかもしれなません。その空間のデザインの見せ方次第で利用するかを検討してもよいかと思います。

書院造りのような格式のある部屋の場合は長押に二段するなど、座敷の格式を表していました。一方、茶室では一般に長押を付けません。

鴨居(かもい)の種類とデザインの違い

鴨居といっても実は様々な種類があります。どんな用途があるのか見ていきましょう。

無目鴨居(むめかもい)

無目鴨居とは、溝を掘っていない鴨居のことです。鴨居の下に襖などを設けず、床の間など開口のある場所に使われます。この時、引き戸の上にある鴨居の位置に合わせて無目鴨居をつけます。

薄鴨居(うすがもい)

薄鴨居とは、欄間を差し込むための鴨居のことです。一般的な鴨居よりも厚みが薄くなっています。欄間は部屋の仕切りの上部にあり、採光や通風、部屋の装飾として使われるものです。

差鴨居(さしかもい)

差鴨居とは通常の鴨居よりも高さ(厚み)のある鴨居をいいます。梁として構造体の役目も果たしていて、柱としっかり接合させてあります。古民家などで開口を大きくとりたい場所などに使われています。

付け鴨居(つけかもい)

付け鴨居とは、いわば装飾用の鴨居です。開口などのない壁に他の鴨居の高さに合わせて取り付けるものです。
これを付けることで部屋の一体感を出すことが出来ます。

敷居(しきい)とは

敷居(しきい)

敷居とは、引き戸の枠の下部にあたる溝の掘られた部材の事を指します。溝の深さは、約3~4.5mm(1分~1分5厘)が基本となります。また、扉の開け閉めによる摩擦が多くかかるため強度が必要な部材となります。

「敷居が高い」「敷居をまたぐ」などといった言葉があるほど、日本の文化に根付いた部材であることが分かります。

バリアフリーで敷居を作らない?

近年では、車椅子利用やつまずき防止のために敷居を設けず、上吊りタイプの引き戸を選ばれる方も増えてきています。また、既存の建物で敷居がある場合は段差解消のためにスロープ状のレールなどをつける等の対策方法もあります。

店舗のデザインで和の要素を取り入れよう!

竹ひご欄間

今回は、鴨居と敷居について詳しくご紹介させていただきました。店舗の入り口やお店の個室の仕切りなどに鴨居・敷居を取り入れることで和風の店舗をデザインすることができます。和食店だけでなく、和の要素を取り入れたバーやクリニックなどでも活用できる要素ではないでしょうか。

私たちTOでは和の要素を取り入れた店舗のデザイン設計を得意としています。ぜひお気軽にお問合せください。私たちのデザインしたデザイン事例はこちらのページをご参照ください。