旬の食材と特別感のあるおもてなしでお客様を満足させる寿司店をつくるには、高級感あふれる和モダンな空間に仕上げることがポイントです。
しかし、独立や改装、多店舗展開するにあたり、内装について「和テイストをどうデザインに取り込めばいいのかわからない」「味に集中できる空間とは」とお悩みの方も多いと思います。今回は、寿司店をデザインする時に重要となるポイントを解説していきます。
こちらの記事で掲載している店舗の画像は、すべて株式会社TOでデザインいたしました。気になるデザインがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

TOにご依頼いただいた施主様の感想をYouTubeでも公開しております。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
寿司店のデザインにおいて特に力を入れたい場所
店内の空間で、入念に計画したいのはお客様が使う場所です。つけ場の使い勝手はもちろん重要ですが、お客様の居心地も同時に考えてデザインしていきます。
カウンター

ミシュラン掲載店「すし昇」のカウンター
カウンターは寿司店の顔、職人の舞台となる場所として、内装をデザインする上でもまさに力の入れどころとなります。木の材質で雰囲気もガラリと変わるため、色や木目はもちろん、木の香りまで含めて選定したいところです。
また、カウンターに合わせた椅子にもお客様目線で考えたいポイントが複数あります。座面の高さで視点も変わるため、お店全体や職人の見え方が大きく変化します。椅子の素材や高さ、座面の大きさに至るまで、じっくりと選ぶことが居心地の良さを生み出すコツと言えます。店舗に合わせて椅子を特注することもでき、とことんこだわり抜けるポイントです。

エントランス

マレーシアミシュラン掲載店「鮨おり」のエントランス
お店のエントランスはいわば、お店がつくりあげた「世界」への入り口です。一歩足を踏み入れることで出会える、すてきな味や思い出を予感させる場所としてデザインしていきます。
店内のキャパシティーが多い場合には、お客様同士が出入りの際にすれ違えるゆったりとしたスペースを確保するなど、収容人数に合わせてデザインを考えることも大切です。また、コースをメインとする寿司店の場合は、ウェイティングスペースを設けるかを検討しておきましょう。

お手洗い

マレーシアミシュラン掲載店「鮨おり」のお手洗い
食事スペースと同じくらいお客様に注目されるスペースとして、お手洗いが挙げられます。お手洗いも和テイストを取り入れて、落ち着いた雰囲気にするとお客様からの好感度が得られます。
シンプルで清潔感を保ちやすいフラットなデザインを意識すると、洗練された印象になると同時に、掃除の手間も省けるため従業員の負担が抑えられます。特になまものを扱う寿司店において、清潔さは重要事項です。簡単にきれいな状態を維持できるようなデザインを取り入れることで、お店の印象も格上げできます。
「味」に集中できる和モダンな空間にするためのポイント
寿司店において、お客様に楽しんでほしいことはなんといっても提供する寿司や料理の「味」です。味に集中できる空間をつくるためのデザインのポイントを挙げていきます。
木の種類

鉄材と木材を組み合わせた高級鮨屋「かわ村」
木は種類によって色や香り、お手入れの方法が異なるので、それぞれの気が持つ特性を知っておくと選びやすくなります。木材加工で一番こだわりたい箇所はやはりカウンターではないでしょうか。
カウンターには、一般的にはヒノキなどの白木を選ばれる方が多いですが、一口にヒノキと言っても、銘木であるかや樹齢など、さまざまな要素によってグレードが変わっていきます。上質な木材は寿司や料理の見た目や味を引き立てます。お店のコンセプトや目指したい雰囲気などを加味して、ぴったりの木を探していきましょう。

内装の色味や色数

直線が美しい鮨屋「鮨 てんび 錦店」
空間の雰囲気は色彩計画が重要です。白を基調に白木を使った内装は、清潔感と明るさを兼ね備えた上質な空間になります。黒やグレー、焦茶色などをアクセントカラーとして使用してもおしゃれに仕上がります。色味を足す場合に注意したいことが、色数と色の割合です。
基調となる色や什器などの色を除いた色味でアクセントカラーを1色選び、アクセントカラーを使用する割合は全体の5%くらいにするとバランス良く仕上がると言われています。色数やアクセントカラーの割合が多いと視線が散ってしまい、味に集中できなくなる可能性があるので注意しながら計画します。

日本の伝統的な形

ミシュラン掲載店「すし昇」の和家具
カラーをシンプルにした場合、少し寂しい印象になってしまうことがあります。その際は、木の格子や伝統紋様の透かし彫りパネルなどを部分的に取り入れることで、落ち着いた空間を維持しながら視覚的な変化が楽しめる和モダンなデザインに仕上がります。
広範囲に使用するのではなく一部分にさりげなくあしらうと、情報過多にならず上品にデザインとして組み込めるでしょう。和を感じながら日本の伝統的な食を味わう特別な空間は格別です。
照明計画

10mのカウンターがある鮨屋「鮨 てんび 赤萩本店」
味に集中させたい、と考えた時に重要になってくるのが、ほどよい情報の遮断です。視覚や聴覚をはじめとする感覚に作用する情報が多いと、ひとつのことに集中できなくなってしまうので、見せたい部分と見せたくない部分を照明でうまく演出していきます。
見せたくない部分は照明を落とし目に、見せたい部分に間接照明やスポットを使用するなど、明かりを上手に活用して集中できる空間をつくります。

和モダンな寿司店の店舗デザイン事例
私たち株式会社TOがデザインした寿司店の店舗デザインを3つ紹介いたします。どの事例もスペースやコンセプトを活かした特徴的なデザインに仕上げております。気になる事例がございましたら、私たちTOにぜひご相談ください。
ミシュラン掲載高級寿司店「すし昇」の店舗デザイン

すし昇の店舗デザイン
大梁を隠すとなると天井が低くなってしまうため、あえて大梁を魅せる方法を採用しています。実際の大梁に加えて擬似大梁を渡し、間接照明で際立たせることにより、扱いの難しい大梁を空間のアクセントとして成り立たせるデザインに。また、目線やカウンターの高さを考慮し、お客様が座る椅子はすべて特注品で揃えています。

10mのカウンターが魅力的な「鮨てんび赤萩本店」の店舗デザイン

鮨てんび 赤萩本店の店舗デザイン
圧巻の10mカウンターは「ミシュランクオリティーのお鮨をリーズナブルに!」というコンセプトに沿って、一枚板ではなくヒノキの柾材で作りました。一方通行の導線や暗さで魅せる照明計画は、入店から退店までをひとつのストーリーとして楽しめる演出につながっています。

直線美で魅せる寿司店「鮨てんび錦店」の店舗デザイン

鮨てんび 錦店の店舗デザイン
照明はカウンターの天板のみとし、暗めの空間が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。ライン照明を採用し、直線の美しさが強調されたスタイリッシュさが特徴的な空間に仕上げました。接客のスタイルに合わせたコンパクトなL字のカウンターはを採用しています。

築地エリアのすし屋「なか山」の店舗デザイン

なか山の店舗デザイン
築地近くの物件で、ビルの中に位置しながらも、白木を基調とした上品な雰囲気を醸し出しています。店内は静かで落ち着いた空間が広がり、カウンター席では寿司職人の技を間近で楽しめます。ビルインの制約を超えて、本格的なすし屋の体験を提供しています。

古民家改装「寿司向月別館」の店舗デザイン

寿司向月別館の店舗デザイン
既存店舗の奥に倉庫として使われていた古民家を改装した案件です。座敷席を多く設けつつ、すりガラスで区切ることにより開放感のある空間を作り出しています。居心地を高めるため、座敷席には掘りごたつを採用しています。

鉄材と木材を組み合わせた高級鮨屋「かわ村」の店舗デザイン

かわ村の店舗デザイン
鉄の加工を主に社業の中心とされている施主なので、店内に鉄の加工した仕上げを採用するよう心掛けました。日本製鉄のフェリーチェと呼ばれる材料を使い、それと、桟(黒)を組み合わせることで、新しい素材の使い道と見せ方を考えた案件でした。

マレーシアミシュラン掲載店、鮨屋「鮨おり」の店舗デザイン

鮨おりの店舗デザイン
現地の施主の強い希望により、今回のカウンター天板には檜を使用したいとのことでした。弊社の協力業者に依頼して、立派な檜の天板を現地に搬入しました。今回のプロジェクトでは、現場監督が非常に良心的で、多大な助力をいただきました。

寿司店の店舗デザインはTOにご相談ください
様々な感覚を研ぎ澄ませて食を楽しむ寿司店は、落ち着きのある洗練されたデザインがおすすめです。私たち株式会社TOは、「こんなお店にしたい」というご要望をしっかりと伺い、空間、コンセプト、想いを活かした和モダンなデザインを考案いたします。
初めて開業する方でも、思い描いた理想の店舗で営業をスタートさせることができるよう、全力でサポートしてまいりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
長く愛される店舗づくりのコツをYouTubeでもご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。